2013年3月21日木曜日

Grade 8 エド・シーラン (Ed Sheeran)

実は何か月も前に取り上げようと決めていたのですがかなかなかそれができませんでした。理由は「Your body is my ball-point pen」という一文の意味がわからなかったから。そのまま文字通り「君の体はボールペン」と訳せばよかったのかもしれませんが,それでは自分の求める訳文とは違います。半年以上ただひたすら待って(寝かせて),やっとここが一種の「インスピレーション」という意味だと思えるようになりました。曲を書くとき,彼Ed Sheeranがボールペンを使うのかどうかは不明ですがそれでも筋は通ります。
ところで,タイトルの「Grade 8」ですが,これは私が想像したような10代の子どもを指すのではなく,UKで非常に優れたスキルを持つ生徒に与えられる評価のようです。
Actually I decided to pick up this song months before but couldn't do that because the line "Your body is my ball-point pen" didn't make sense at all.  I could have translated the part literally but that's not what I was looking for my translation.  So I waited.  After spending more than six months on just waiting, which I hate most, I finally convinced myself that it means some sort of inspiration.  I'm not sure if Ed Sheeran writes a song with a ball-point pen but it makes sense anyway.  By the way, the title "Grade 8" doesn't mean a teenager which I conjured up the image of but a credential/grade given to a student with an excellent artistic skill in the UK.
Grade 8  (Ed Sheeran)
(Live)
My mind is a warrior,
My heart is a foreigner,
My eyes are the colour of red like a sunset,
I'll never keep it bottled up,
Left to the hands of the coroner,
Be a true heart not a follower,
We're not done yet now,

I see it in your movements tonight,
If we should ever do this right,
I'm never gonna let you down,
Oh I'll never let you down,
Now keep it on the down low
And I'll keep you around so I'll know,
That I'll never let you down,
I'll never let you down.

You're strumming on my heart strings like you were a grade 8 but I never felt this way,
I'll pick your feet up off of the ground and never ever let you down,
You're strumming on my heart strings like you were a grade 8 but I never felt this way,
I'll pick your feet up off of the ground and never ever let you down,

My eyes are a river filler,
This drink is a liver killer,
My chest is a pillow for your weary head to lay to rest again,
Your body is my ballpoint pen
And your mind is my new best friend,
Your eyes are my mirror to take me to the edge again,

Now I see it in your movements tonight,
If we should ever do this right,
I'm never gonna let you down,
Oh I'll never let you down,
We'll keep it on the down low
And I'll keep you around so I'll know,
That I'll never let you down,
I'll never let you down,

You're strumming on my heart strings like you were a grade 8 but I never felt this way,
I'll pick your feet up off of the ground and never ever let you down,
You're strumming on my heart strings like you were a grade 8 but I never felt this way,
I'll pick your feet up off of the ground and never ever let you down,

Hold my heart to stop me bleeding now, now, now, and I'll never let you down [x4]
'Cause You're strumming on my heart strings like you were a grade 8 but I never felt this way,
I'll pick your feet up off of the ground and never ever let you down,
You're strumming on my heart strings like you were a grade 8 but I never felt this way,
I'll pick your feet up off of the ground and never ever let you down,

頭の中は冷静で,戦略だって立てられるのに
気持が全然ついてかなくて,どうすればいいのかわからない
まるで自分じゃないみたいだ
燃え上がる心の炎を消せなくて
目の色まで夕焼けみたいになりそうだ
だけど想いも打ち明けないまま
恋い焦がれて死んじゃって
検死されるなんてイヤなんだ
だから自分の気持ちに素直になって
周りの声なんて聞くことないよ
まだ2人には先がある

今夜のその動きを見てればわかる
もしこれが上手くいったら
もうがっかりなんてさせたりしない
ウソじゃない
ただ他の人にばれないように
このことはちゃんと秘密にしてよ
その代わりいつもそばにいて
ちゃんと約束が守れるように

一緒にいると気持の揺れが止まらない いつもハラハラしっぱなし 
ギターの達人の手にかかって,激しく震える弦みたい
こんな気持ちは初めてなんだ
だからその体を抱え上げ,足を地面から持ち上げて *
幸せにしてあげる

涙が溢れてしかたない まるで川みたいだ
飲んじゃったら体に悪いよね
もし疲れたら,また一緒に横になって
この胸に頭を乗せて休めばいいよ
その体を抱いてると,ボールペンを持ってるみたいに
次々曲が浮かんでくる
自分の事をこんなにわかってくれる人も他にはいない 
その目を見てると,またどうしようもなくなっちゃうよ

今夜のそのそぶりを見ているとわかる
もしこれが上手くいったら
決して後悔はさせないから
本当だよ
周りにはヒミツにして
わからないようにするつもりだけど
それでもよそ見なんかしたりしない
約束がちゃんと守れるように
自分でも頑張るから

一緒にいると気持の揺れが止まらない いつもハラハラしっぱなし 
ギターの達人の手にかかって,激しく震える弦みたい
こんな気持ちは初めてなんだ
だからその体を抱え上げ,足を地面から持ち上げて
幸せにしてあげる(2回繰り返し)

だからこの気持ちを受け止めて
もうこれ以上苦しめないでよ
がっかりなんてさせないから(4回繰り返し)

だって一緒にいると気持の揺れが止まらない いつもハラハラしっぱなし 
ギターの達人の手にかかって,激しく震える弦みたい
こんな気持ちは初めてなんだ
だからその体を抱え上げ,足を地面から持ち上げて
幸せにしてあげる

一緒にいると気持の揺れが止まらない いつもハラハラしっぱなし 
ギターの達人の手にかかって,激しく震える弦みたい
こんな気持ちは初めてなんだ
だからその体を抱え上げ,足を地面から持ち上げて
後悔なんかさせないよ

(補足)

歌詞に登場する*「I'll pick your feet up off of the ground」の部分について説明したいと思います。訳文をご覧になるとおわかりかと思いますが「その体を抱え上げて」という部分は,原文にはそれに対応する箇所がありません。とはいうものの「その足を地面から持ち上げて」と和訳しただけでは,その部分だけがあまりに唐突で,何故「地面から持ち上げ」なければならないのかがわかりません。

無論,本当のところはEd Sheeran本人に聞かない限りわからないのですが,個人的にどうしてもこのままにすることができずに悩んでいたところ,海外のSongfactというサイトで,この曲はEd Sheeranが17歳のときに付き合っていた彼女について書いた曲だという記述を発見しました。しかも,彼の「+」には,この彼女のことを題材にした曲が多数存在するそうです。

This song finds Ed telling the story of the first time that he realized he was in love. "Your body is my ball-point pen," he sings, "and your mind is my new best friend." Like many of the songs on +, this was inspired by a teenage romance. "I had a wicked girlfriend at 17. ... She was great," he told MTV News. Actually [my]+ album is pretty much about her. So she spawned off a lot of songs."

したがってこの彼女は, Wake Me Upに登場する相手である可能性がかなり高い。このWake Me Upでは結婚指輪にそれとなく言及していますが,仮に同じ相手であるとすると,この曲でも心理的には同じ状態であろうと考えられるので,*の「I'll pick your feet up off of the ground 」の部分を「その足を地面から持ち上げて」と直訳せず,新居に入る際に新郎が新婦を抱え上げるアレを意識させる「だからその体を抱え上げ,足を地面から持ち上げて」という訳文にしています。

(余談)

1年前の今日,代官山にあるUNITでEd Sheeranを見ました。ギグの前にふらっと外に出てきた彼は本当に「普通の人」で,ファンからプレゼントのお菓子を貰ったり,CDケースにサインをしたり,一緒に写真を撮ったりする様子も,その辺によくいる若い男性という感じでした。トレード・マークの赤毛がむしろブロンドに近い感じの色だったのが意外でした。

サインを貰うためにそばに近づいた時,彼からタバコの匂いがしたことと,不思議なことに彼の周囲だけが,まるで水彩画で描いたように淡くぼんやり見えたことだけを今でも覚えています。

それはさておき,何故Ed Sheeranの曲の時に限って,様々な「問題」が生じるのか。Kiss Meの時の「インナー問題」に始まり,先日のWake Me Upの「ルビコン川問題」。

そして今回は「ボールペン問題」です。

問題はこの箇所:

Your body is my ballpoint pen

直訳すれば「君の体は僕のボールペンだ」という意味ですが,無論メタファーです。リード文でも述べたように,インスピレーションの源という意味でボールペンであろうとは思うのですが,その「君の体」で何をすればインスピレーションが湧くのか?

この点については:

①「君の体」がそばにあるだけでインスピレーションが湧く
②それだけでは不十分で,ボールペン同様,実際に「使って」初めてインスピレーションが湧く

の2つが考えれますが,ただ最初のインナー問題の時点から,一貫して「非インナー」「(ルビコン川は)渡った」説を主張している私としては,今回も「②実際に使った」説を支持したいと思います。

理由は2つ:

① 「you」ではなく敢えて「your body」と表現している
② Ed Seeranの歌詞において,こういう「関係」が意外に何度も登場する

第一,非インナーで,ルビコン川を渡っておきながら,何故今回に限り「実際には使わない」でいられるのか。それでは一貫性を欠いてしまうではありませんか。

したがって,今回も訳文は「実際に使った」説に基づいて作成しております。当然邪心持ちの誹りは甘受いたします。

・・・・実は他にも色々ツッコみたくなる箇所はあって「疑惑の箇所」はここだけではないのですが,それを始めてしまうと収拾がつかなくなる恐れがあるので敢えてここでは何も申し上げません。どの箇所にどのような地雷が埋まっているのかは,皆様ご自身で英文歌詞をじっくりとご覧になってお考えください。

9 件のコメント:

  1. また彼の曲を和訳してくれて本当に嬉しいです!
    Ed SheeranはThe A teamを聞いた時から(和訳はこちらで拝見させていただきました)心を奪われ、私のお気に入りのアーティストのひとりです。パーカッションやギターを叩いて、サウンドから緻密に手作りしていく彼の音楽は、今までにない新鮮さを感じる素晴らしい音楽だと感じています!
    さて、Grade8ですが、歌詞を見てに「I'll pick your feet up off of the ground」ついて疑問に思い謎の曲でしたが、vestige さんの解釈で納得できました。ボールペン問題は私も同じことを思っており同じ解釈の人がいて嬉しいです。
    Edの曲は、ものを使って複雑に気持ちを伝える曲が多いように感じます。深く理解することで一層彼の曲の魅力が分かりますね。そして「+」は17才の時に愛し合った彼女との思い出の詩集のようなものなのかな、と思います。改めて素敵なアルバムですね!その彼女が初めての彼女だとしたらより素敵だなーなんて思ってしまいました笑

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    1. コメント並びに温かいお言葉ありがとうございます。私の解釈が正しいかどうかは甚だ疑問ですがそういってくださると苦労も報われるような気がいたします。特に意図したわけではないのですが,本館では既に彼の「+」の曲の大半を取り上げております。おそらくCD対訳者の方を除けば,日本で最も彼の曲を和訳しているかもしれません。

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  2. え~、Edの曲の諸問題に関しましては、「インナー」は着用で「ルビコン川」は渡らない、プラトニック派のわたしです。しかし、今回の「ボールペン問題」は非常に説得力があります。vestigeさんの解説にも力が入ってますね!
    個人的にも、この曲はEdの曲の中で1、2を争うセクシーな曲であると思います。師匠やミダス王の有名曲ほど、あからさまな歌詞ではないんですが、こう、その、一言でいうと、テクニシャン(笑)
    ということで、この曲はまぎれもなく「ボールペン」を「使って」作られた曲でしょう!!
    (・・・ああ、この「使う」っていう表現、妙に恥ずかしい。)

    あの(個人的には伝説の)ギグから1年、もう、なのか、まだ、なのかは人それぞれでしょうが、Edの飛躍はすごいものでした。
    アーティストとしての成功を喜ぶ一方、あまりセレブっぽくならないでほしいと思ってしまいます。いつまでも、香水じゃなく、たばこのにおいでいてほしいな、と。

    最後に、日々の投稿や管理、本当に本当にお疲れ様です。
    非常に多忙な中で、この日にこの選曲をしていただき、感激です。ありがとうございました~!

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    1. コメント並びに温かいお言葉ありがとうございます。あの同じ会場にai_i様がおいでになったのだなと今更不思議な気がしております。昨日の8時頃,1年前はまだ会場にいて,帰りの電車の中では,酔っ払いのオヤジを目の前に,脳内はまだギグの第二部が続いていたことなどを思い出しました。
      さて例のボールペン問題ですが,ai_i様までが「使った」とお考えになる以上,ここはもう「使わない」というセンは考えられなくなって参りました。個人的に百万の味方を得たような気がいたします。

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  3. grade 8ってこんなステキな歌詞だったのですね…!うっとり。ふふふ。 edの歌詞は色々な想像を膨らまされる歌詞ですね。そして、vestige様の対訳は、美しく、その想像をより明確にしてくれます。
    さて、ボールペン問題ですが…使ったんでしょうなあ…今までなんとなく意味をつかんで聴いていたので、まさか、edがこんな感じだとは知らず(笑) ルビコン川、インナー問題… edの風貌?から、ただの田舎の素朴な少年だと思っていたので、ある意味ショッキングです。やり手ですね、edにやられっぱなしです。彼女になりたいです。(笑)

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    1. すみません、匿名になってました。yukoと申します。

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    2. コメント並びに過分なお褒めのお言葉ありがとうございます。
      ところでこのコメント欄,ご覧のようにこれまでのところ,インナー・ルビコン川・そしてボールペンという連繋プレイで「流れ」がキッチリつながっており,ポテンシャルとしては,Lucky Strikeに迫る勢いになっております。
      当初はyuko様が匿名でいらしたため,流れが中断されることを大変残念に思っておりましたが,こうして名前をお知らせくださったことで,一度は切れかけたパスあるいはタスキがまたつながった形になりました。ありがとうございます。

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  4. この曲、コメントするのをちょっと躊躇してしまいますね。(といいながら、せずにはいられませんが)メタファーが新鮮で騙されてしまうのですが、地雷?と思いつつ詩を読んでみると、読めば読むほど、う~む・・・。ai_iさんが「この曲はEdの曲の中で1、2を争うセクシーな曲」と言われていますが、本当にその通りです。そういうことですから、もちろん、ボールペンは使っているに決まってます。これ以上何か言ってると、自分のコメントがR-指定になりかねないので、このへんでやめておきます・・・。

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    1. コメントありがとうございます。お話のR指定ですが,多くの皆様とは異なり,私の基準はかなり「緩め」なので,「オチ」または「笑い」があれば少々のコメントでは指定はつきません。なによりそうでなければ,Usherの曲のほとんどで,私の訳文自体がR指定になってしまいます。どうかその点はご安心ください。

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