バラ色の回顧(rosy retrospection)という言葉をご存知でしょうか?これはバイアスの一種で自分の過去を実際よりもよく思い出すことです。
Have you ever heard of rosy retrospection? It's a bias in which we recall our past more positively than it actually was.
Roll Back (George FitzGerald)
Is it cold when you're dreaming?
Is it cold when you're under?
And wanna roll back
Roll back to yesterday
夢を見てたり
ぼーっとしてる*時はどうでもよくなるの?
戻りたい
あの頃に戻りたいって気持ちになるの
(補足)
* under ・・・ 催眠状態で,無意識で
(余談)
「逃した魚は大きい」という言葉があるように,もう手に入らないと思った途端に物の価値は急騰します。例えば昭和の高度成長期。
確かに当時は将来に対して夢が持てたかもしれませんし,コミュニティとの繋がりも今よりも緊密であったかもしれませんが,ほとんどの人の現実の生活は貧しく,夏は暑く冬は寒い部屋で,汲み取り式のトイレで用を足して過ごしていました。男はこうあるべき女はこうあるべきといった「決めつけ」も今よりも強かったかもしれません。コミュニティとの強い繋がりも裏を返せば常に周囲にあれこれ言われるということかもしれません。
これに対して現代は,そういった「決めつけ」は(少なくとも外から見れば)減っています。トイレは洗浄機能つきであり,スーパーやコンビニに行けば,ローストビーフやチキン南蛮,グリーンサラダ,デザートとしてケーキやチョコレート,アイスクリームなどが容易に手に入ります。冬は暖かく夏は涼しい部屋で,サブスクの映画やドラマを見ながら食べるといった,300年前であったなら王侯貴族であっても到底叶わぬ生活も日常です。
そう考えると「バラ色の回顧」というものはいわば雪景色のようなものかもしれません。雪が積もっているうちは大層美しく見えますが,一旦雪が溶けてしまえばその下にあるゴミなどの「さほど美しいとは言えない」ものも見えてくるからです。
・・・とはいうものの,雪が溶けなければ景色は美しいままなので,それを心の支えにすることも不可能ではありませんが。
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