2012年10月28日日曜日

I'm Yours ザ・スクリプト (The Script)

大抵のアーティストには,その人(あるいはバンド)なりの「色」や「芸風」があり,それが彼らをアーティストたらしめているのだと思っていますが,なかには複数の「色」や「芸風」を持つアーティストが存在します。Professor GreenやJason Mrazはその一例ですが,このThe Scriptもそうかもしれません。3月に彼らの'Nothing',そして9月に'Hall of Fameをこちらで取り上げましたが,この曲はこの2つのどちらとも全く毛色が違います。
歌詞に関しては,これは母と息子の関係を歌ったものであるというコメントを見つけました。その人にはこの話の出所としてYouTubeを挙げていましたが,それを踏まえて歌詞を見てみると,なるほど普通の恋愛関係を歌った曲と考えるよりもはるかに説得力があります。
I think most artists have their own 'color' or 'signature' and that makes them an artist.  Some of them, however, .have their own 'colorS' and 'signatureS.'  In my opinion, Professor Green and Jason Mraz are one of them and maybe The Script, too.  Last March I posted my translation of their 'Nothing' and 'Hall of Fame' in September.  This one is similar to neither of them.
As for the lyrics, I found a comment saying that they are about mother-son relationship.  The person who posted it mentioned YouTube as the reference.  Looking at the lyrics in this light, you'll find they would make much more sense than just regarding it as a simple love song about a boyfriend-girlfriend relationship.
I'm Yours  (The Script)
You touch these tired eyes of mine
And map my face out line by line
And somehow growing old feels fine
I listen close for I'm not smart
You wrap your thoughts in works of art
And they're hanging on the walls of my heart

I may not have the softest touch
I may not say the words as such
And though I may not look like much
I'm yours
And though my edges may be rough
I never feel I'm quite enough
It may not seem like very much
But I'm yours

You healed these scars over time
Embraced my soul
You loved my mind
You're the only angel in my life
The day news came my best friend died
My knees went week and you saw me cry
Say I'm still the soldier in your eyes

I may not have the softest touch
I may not say the words as such
And though I may not look like much
I'm yours
And though my edges may be rough
I never feel I'm quite enough
It may not seem like very much
But I'm yours

I may not have the softest touch
I may not say the words as such
I know I don't fit in that much
But I'm yours

疲れ切ったこのまぶたに優しく触れて
それから少しずつゆっくりと顔を撫でてくれる
そうすると,なぜか大人も悪くないなと思えるんだ
1を聞いて10を知るようなキャラじゃないから
じっくり話に耳を傾ける
聞いてると,かけてくれる言葉のひとつひとつが
何か素晴らしいものになって,この心に響いてくる
芸術作品が
美術館の壁を飾るようにね

そんなに優しくなれないし
気持ちも素直に言葉にできない
大したことのない人間だけど
誰よりも感謝してるんだ
不機嫌な時はひどいことするし
まだ自分に自信も持てないヤツだから
こんなこと言われても別に嬉しくないかもしれない
だけど一番大切な人なんだよ

傷ついた時も時間をかけて治してくれた
こんな人間でも受け入れて
こんな性格なのに大切にしてくれた
こんな自分を救ってくれる「天使」はこの世でただ一人
一番大事な友達がこの世を去ったと知った時
体中の力が抜けて立ってられず
そのまま大泣きしてしまったけど
そんな姿を見せられても
「男のくせに情けない」なんて言わないで
立派な男だって言ってくれた

そんなに優しくなれないし
そんな素晴らしい言葉もかけてあげられない
大したことのない人間だけど
誰よりも感謝してるんだ
不機嫌な時はひどいことするし
まだ自分に自信も持てないヤツだから
こんなこと言われても別に嬉しくないかもしれない
だけど一番大切な人なんだよ

そんなに優しくなれないし
そんな素晴らしい言葉もかけてあげられない
世の中からもちょっと浮いてるけど
誰よりも信頼してるんだよ

(余談)

ああこの曲は母の日に取り上げれば良かったと後悔するところですが,いくらなんでもあと半年以上も寝かせるわけにも参りません。

それにしても,こうして曲として冷静に聴くといい曲なのですが,これを実生活で聴いてるところを彼女に見つかったら,先日のOne Step Closerよりももっと大変なことになりそうな気がするのは私だけでしょうか。

無論,その時はこれが母親と息子の関係を歌ったものではなく,普通の恋愛関係を歌った曲だと言い張ればいいのかもしれませんが,仮に彼女がこの本館を見て事情を知っていたら,また一層こじれそうな気もいたします・・・・いやいやそれでもそこは迷わず相手のことを思いながら聞いていたと一世一代の大嘘をつきましょう。その方がお互いのためです。

いいですか,Veritas Vos Liberabitは前提ですが,時にはIgnorance is Blissですからね。


2 件のコメント:

  1. 一般に、男の子は幼い時から、母親に執着する傾向があると思います。父親など眼中になく、5秒に一回「おかあさん」と言い、慣れない環境下ではまとわりついて決して離れない。幼時からクールに一人立ちしている女の子とは大違いです。だから、男の子の子供は母親には可愛い。幼児の時の可愛さで一生分です。大きくなって、何かフォローしてくれる必要はない気がします。そして、「大きくなっても相変わらず?」の、この歌を聴くと、うれしい気持ちよりも、なんだか照れるし、私の育て方はこれでよかったのか、本当にこれで大丈夫なのか、と、不安が先にたちそうです。ここは、やはり、あえて普通の恋愛関係を歌った曲、ということにしておきましょう!きれいな詩だし、訳も申し分ない。その方が断然おススメです。これが恋愛関係を歌っているとした場合、この曲を聴いた女性たちは本来持っている(と思われる)母性本能をくすぐられ、秒殺されてしまうこと請け合いです。このThe Scriptという方々は、彼のようなladie's manではないのでしょうか?わかって書いてるとしたら、そちらの方向でいっても成功されそうな気がします。

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    1. コメントありがとうございます。母親になった経験がないので私にはわかりませんが,息子さんをお持ちのoak様がそう仰るのですから,それはもう信じるよりほかありません。
      さて,The Scriptですが,本館で取り上げたNothing, Hall of Fame, Break Even, Six Degrees of Separation, Moon bootsなどを見る限り,その方面の芸風ではないような気がいたしますが,それとて彼らのアルバムを聴いたわけではないので確証はございません。
      この曲の場合,和訳にかかる前に母親に宛てた曲だというバイアスがかかってしまったので,それ以上深く考えることもなく訳してしまいましたが,改めて見直すと,確かに対恋人用としても大変な威力を発揮しそうな曲ではあります。

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