2012年12月24日月曜日

I Burn For You スティング (Sting)

I Burn For You  (Sting) / tetz

この曲を数千、いや数万回は聴いた、自称「日本一のSting狂(笑)」から、この曲に関する薀蓄をいくつか。。。

この曲、"I burn for you" は元々2つの別の曲でした。

Stingは1976年にThe Policeを結成する前は、地元New Castleの高校で英語(即ち国語)教師として働きながらLast Exitというバンドで歌ってました。"I burn for you"はその当時に書かれた曲で、高校の教室で生徒達に試験をやらせている間に書いたという逸話が残っています。
そのオリジナルがこれです:http://chirb.it/I5072M

最後まで聞けば判りますが、オゥマー・ハキムがドラムを叩いてるライブ映像で演奏されてる、曲の最後に繰り返されている8小節の「ウォウォッウォー」というリフ(ハキムが凄いドラミングで盛り上げてる部分)は元々"I burn for you"という曲の一部ではありませんでした。

その数年後の1982年、The Policeで成功したStingは、"Brimstone and Treacle"という映画に主役俳優として出演しました。(映画のトレイラー) 
この映画でStingは「羊の仮面を被ったインキュバス(ie. 美しい顔をした悪魔)」という役柄を演じていますが、後のインタビューで「僕は演技をする必要がなかった。マーティン(役名)は僕自身だよ」と語っています。

その"Brimstone and Treacle"のサントラはSting自身(The Police)が担っていて、そのテーマ曲がこれです;http://youtu.be/OUbGuerSE8o
お気付きでしょうか? あのライブバージョンで曲の最後にベースに持ち替えて「ウォウォッウォー」と繰り返しているメロディは、この映画のテーマ曲として、"I burn for you"とは別に作られたものなのです。(曲名は"Brimstone and Treacle")

そして、この2つを最初に合体させた、The Policeのバージョンがこれです: http://youtu.be/7cpkTT3W1V8
映画のOSTにも挿入歌として入っていて、たしか"Message In A Bottle"のB面としてリリースされています。 炎がメラメラと燃え上がる感じがして、私はこのバージョンが一番好きです。
epicといえば、私はコウプランドの、このドラミングもセンスが光ってて凄いと思います。

更にこのThe Policeバージョンを数年後、ソロになってからリアレンジしたのが、映画"Bring On The Night"で使われた(ハキムの)ライブバージョンというわけです。

歌詞の解釈ですが。。。
映画より先に作られた"I burn for you"という楽曲と、"Brimstone and Treacle"という映画は双方とも「2極の相反する概念の同居」がコンセプトになっています。(水と炎 vs 蜜と硫黄)
楽曲と映画いずれも、「表面上は涼しげだが、中身は激しく燃え滾っている」様子を表現しています。
実は前途Last Exitオリジナルでは、歌の核心部分とも言える2行のブリッジがあります: http://is.gd/26aQbY
"Deep in my heart theres a whole world that's turning
and inners to you which has kept my soul yearning..."
心の奥底では、君を切望し続けた内なる世界があって。。。

この短いブリッジ部分は、The Policeのバージョン以降、なぜかなくなっていますが、「外観はクールだが実は内面では燃えるようなLustが渦巻いている」という状態を、水と火のコントラストによって印象派的な手法で描いている歌詞全体に対して「結局、言いたいことを要約すると、こういうことだよ」と注釈をつけている感じがします。

というわけで、あの8小節のリフの強さと、ギリシャ神話でも描かれた古典的なイメージをロックという手法で見事に表現したこの曲が生み出されたこと自体が、私にとってepicです。

3 件のコメント:

  1. 以前からたまにこのサイトを覗かせていただいていたのですが、今日初めて管理人さんが「日本一のsting狂」と知って思わずコメントさせていただきました。私も大昔、ポリスのファンクラブに入っていましたwこの曲、必死で探し当て、初めて聴いた時の静かな衝撃は忘れません。謎めいた、暗い激しさを感じるこの曲、大好きです。これからも楽しみにしていますね。

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    1. コメントありがとうございます。基本的に匿名様にはお返事を差し上げないことになっているのですが,今回ばかりは誤解を解いておかねばならないと思ったのでこのようにしております。
      この回「薀蓄の館」というタイトルがついていることからもおわかりのように,通常の投稿とは多少趣が異なり,私ではなくtetz様と言う方が記事をお書きになっています。そして私ではなくこの方が「日本一のSting狂」でいらっしゃいます。
      元々は前日に投稿したI Burn For You(こちらは私が書いています)にコメントをくださったのですが,①そのコメントがあまりに詳細で興味深いこと,さらに②コメント欄にリンクやヴィデオが埋め込めないことが理由で,こうして「薀蓄の館」というタイトルでひとつの独立した記事にしております。
      さて,この「薀蓄の館」には同じくPoliceのEvery Breath You Takeの記事もございますので,よろしければそちらもご覧ください。

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  2. 管理人様、お返事ありがとうございます。どうりで歌詞がないわけですよね・・・あわてんぼうですみません。お二人の蘊蓄、すばらしいです! 理解が深まりました。英語の勉強にもなります。お手間とらせました、これからも楽しみにしております!

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