2013年1月15日火曜日

Survival ミューズ (Muse)

この曲を聴いていると,誰かがお経を唱えているような気がするのは私だけでしょうか?それはともかく,この曲は昨年2012年のオリンピックの公式曲なので,大会期間中何度も耳になさった方も多いと思います。
この曲,歌詞は一見シンプルかつ直球ですが,果たして本当にそうでしょうか?私にはそうは思えません。なぜなら,ここ本館では,すでにMuseのUprising,Madness,Follow Meと,Museの曲を3曲取り上げていますが,そのどれもがシンプルとは言えない,ある意味何かを「皮肉った」曲だからです。
したがって,その点を考えれば,この曲のメッセージはむしろ逆なのではないかと思います。言い換えれば,「生き残るために戦う必要はない」ということです。しかもこの考え方は,近代オリンピックの父であるクーベルタン男爵(Pierre de Couvertint)の信念にも非常上手くに合致します。すなわち「たとえ敵同士であっても,スポーツ競技においては連帯することができる」ということです。
Am I the only one who feels as if someone is reciting a Buddhist sutra, listening to this?  Well, as you know, this is the theme of 2012 London Olympic Games and many of you must have heard this so often at that time.
The lyrics seem to be quite simple and straightforward but is it?  I'm not sure about that.  I've already posted their "Uprising", "Madness" and "Follow Me" here and none of them is plain nor straightforward, and they're all sarcastic in a way.
Considering this, the message the song carries is, I think, rather opposite.  In other words, we shouldn't fight to survive and that fits fairly well to the philosophy/idea of Modern Olympic Games, advocated by Baron Pierre de Couvertint who strongly believed in the Olympic ideal that even enemies could be united in sporting competition.
Survival  (Muse)
Race, life's a race
And I am gonna win
Yes, I am gonna win

And I'll light the fuse
And I'll never lose
And I choose to survive
Whatever it takes

You won't pull ahead
I'll keep up the pace
And I'll reveal my strength
To the whole human race

Yes I am prepared
To stay alive
And I won't forgive,
Vengeance is mine
And I won't give in
Because I choose to thrive

Yeah, I’m gonna win!

[guitar solo]

Race, it's a race
And I'm gonna win
Yes, I'm gonna win

And I will light the fuse
I'll never lose
And I choose to survive
Whatever it takes

You won't pull ahead
'Cause I'll keep up the pace
And I'll reveal my strength
To the whole human race

Yes I'm gonna win

[guitar solo]

Fight! Fight! Fight! Fight!
Win! Win! Win! Win!

Yes I'm gonna win!

競争だ 人生は競争(レース)なんだ
だから勝ってやる
そうだ 勝ってみせる

導火線(フューズ)に火を点けて
闘志を燃やすんだ
負けるもんか
最後まで勝ち残ると決めたんだ
たとえ何があっても

抜かせてなんかやるものか
ぴったりとついていって
この実力を見せてやる
世界中の人間に

覚悟はもうできている
あとは勝ち残っていくだけだ
あの時のことは忘れない
今度はこっちが借りを返す番だ
決して負けたりしない
栄光を掴むたと決めたんだから

きっと勝利を手にしてみせる!

競争だ 人生は競争(レース)なんだ
だから勝ってやる
そうだ 勝ってみせる

導火線(フューズ)に火を点けて
闘志を燃やすんだ
負けるもんか
最後まで勝ち残ると決めたんだ
たとえ何があっても

抜かせてなんかやるものか
ぴったりとついていって
この実力を見せてやる
世界中の人間に

とにかく戦え!
勝利を掴め!

きっと勝利を手にしてみせる!

(余談)

この曲,額面通り取ると,体育会系の監督や先輩などが檄として飛ばしていそうな感じがします。個人的にこういうノリが非常に苦手なので,最初は投稿を迷ったのですが,よくよく考えてみれば,かのMuseがそんな昭和な曲を作るとも思えません。訳文は100%まじりっけなしの直球勝負ですが,おそらくMuseのメッセージはその正反対でしょう。

人生は競争や戦いではないし,復讐が何も生まないことはもう誰もが知っています。そう言う意味のアンチ・テーゼ(antithesis)として,大変意味のある曲だと思います。

それにしても,ロンドン五輪の関係者はこの曲をこのまま真に受けたんでしょうか?それとも裏の意味を理解した上で,「敢えて」この曲を選んだんでしょうか?おそらく後者だと思うのですが(というより後者であってもらいたい),そう考えるとこれは一種の「プレイ」ですね。まあオリンピックですから,「プレイ」もありか・・・・・。



4 件のコメント:

  1. お、Muse
    鉄拳という芸人のおかげで一般の人にも知られるようになりましたね
    一瞬室伏さんが映ったような・・・嬉しくなりますね
    にしてもオリンピック主題歌にさえこんな意味があったとは・・・

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます。おおSutan様,お久しぶりです。お元気でしたか?
      TVを全く見ないので「鉄拳」という芸人さんは存じませんでした。そもそも私の中で「鉄拳」といえばあのゲームの鉄拳なので,最初は「鉄拳/Muse」のつながりが全く理解できず当惑した覚えがございます。
      それにしても,かのCouvertint男爵,まさかパラパラ漫画が近代オリンピック絡んでくるとは夢にも思っていらっしゃらなかったと思います。

      削除
  2. Vestige様、お久しぶりです。
    MUSEをまた取り上げていただいて、ありがとうございます(笑)

    この曲の意味もまたしかりですが、メロディーがまず、私には「軍隊」のように聞こえました。
    なんというか・・・こう、北朝鮮の映像でよく映るような、足の角度に1°もズレがない行進をしているような。

    そういう意味でも、サウンドからvestige様がおっしゃるような「連帯感の必要性」を感じます。

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます。一度そのように伺ってしまうと,もう軍隊のイメージが頭から離れないばかりか,曲の合間に「マンセー」と空耳さえ聞こえてくるような気がいたします。

      削除