2012年10月15日月曜日

Red テイラー・スウィフト (Taylor Swift)

歌詞には,ブルー,ダーク・グレイそして赤という色が使われていますが,和訳をする上で最も手こずったのが,この「赤」という色の象徴するものを訳出することでした。ブルーやダーク・グレイには,精神的なものを表す落ち込みや悲しみや憂鬱さなどの意味がありますが,これらとは異なり,赤には,「過激な」という以外にそういった明確な意味がありません。
この赤という色,アメリカでは主に「情熱」や「混沌(ケイオス)」というものを連想させるようですが,中国では逆に「純粋さ」や「静謐さ」といったものを連想させるそうです。ただ,この曲を書いて歌っているのがアメリカ人のTaylor Swiftなので,ここの意味はやはり前者と考えるべきでしょうし,またその方が歌詞の文脈にも合致するような気がします。
The lyrics are full of colors: blue, dark gray and red.  In translating them into Japanese, the hardest part was decoding the metaphor of 'red'.   Unlike, blue and grey, which represent something mental like depressive/sorrowful/gloomy, the word 'red' doesn't seem to have such a clear-cut  metaphorical meaning except for radical/extreme.
This color is associated with passion and chaos in the US while it's with purity and serenity in China.  Considering it's written by an American singer/songwriter Taylor Swift, it's most likely to represent passion and chaos, which fit perfectly in the context of the lyrics.
Red  (Taylor Swift)
[Verse 1:]Loving him is like driving a new Maserati down a dead-end street
Faster than the wind, passionate as sin ended so suddenly
Loving him is like trying to change your mind once you're already flying through the free fall
Like the colors in autumn, so bright just before they lose it all

[Chorus:]
Losing him was blue like I've never known
Missing him was dark grey all alone
Forgetting him was like trying to know somebody you never met
But loving him was red
Loving him was red

[Verse 2:]
Touching him was like realizing all you ever wanted was right there in front of you
Memorizing him was as easy as knowing all the words to your old favorite song
Fighting with him was like trying to solve a crossword and realizing there's no right answer
Regretting him was like wishing you never found out that love could be that strong

[Chorus:]
Losing him was blue like I've never known
Missing him was dark grey all alone
Forgetting him was like trying to know somebody you never met
But loving him was red
Oh red
Burning red

[Bridge:]
Remembering him comes in flashbacks and echoes
Tell myself it's time now, gotta let go
But moving on from him is impossible
When I still see it all in my head
Burning red
Loving him was red

[Chorus:]
Oh losing him was blue like I've never known
Missing him was dark grey all alone
Forgetting him was like trying to know somebody you never met
'Cause loving him was red
Yeah, yeah red
We're burning red

[Post-Chorus:]
And that's why he's spinnin' 'round in my head
Comes back to me, burning red
Yeah, yeah
His love was like driving a new Maserati down a dead-end street

付き合ってる時は,行き止まりの道を新車のマセラティで飛ばしてるような気がしてた
あっという間に加速して,後ろめたいほど夢中になるけど,ある日突然終わりが来るの
その間,やめとけばよかったって思いもしたけど
地上に向かって真っ逆さまに落ちはじめるみたいに,好きになっちゃったらもうどうしようもない
一緒にいると,色づく秋の景色のように,その時は世界が輝くけど
やがてみんな消えてしまうの

別れた後,今までないほど落ち込んだ
会えないとこの世から色が消えたみたい
忘れようと頑張ってもできないの
初めて会う人を人混みから見つけようとするみたい 
どうすればいいのかわからない
なのに,好きって気持ちが抑えられない 
いけないって思ってるのに,どうしようもなくて,彼への想いを止められない

触れるだけで,欲しかったものが,すぐ目の前にあるって気がしたの
彼のことなら,もう知ってる曲の歌詞を覚えるくらい,なんでもスラスラ頭に入るの
だけどケンカすると,どうしていいのかわからなくなって
最初から答えなんてない出来そこないのクロスワードを必死に考えてる気になった
彼とのことで,ああしなきゃ良かったなんて考えてると
こんなにものめり込んでる自分に気づいて悔しくなった

別れた後,今までないほど落ち込んだ
会えないとこの世から色が消えたみたい
忘れようと頑張ってもできないの
初めて会う人を人混みから見つけようとするみたい 
どうすればいいのかわからない
なのに,好きって気持ちが抑えられない 
いけないって思ってるのに,どうしようもなくて,彼への想いを止められなかった
まるで燃え上がる炎みたい

彼との思い出が,ふとした拍子に蘇る それも何度も
もういい加減忘れなきゃって自分でもわかってるはずなのに
どうしても彼のことが吹っ切れない
あの頃の思い出が消えてかなくて
そうなると胸の辺りが熱くなる
考えるだけで,好きって気持ちが燃え上がって,どうしようもなくなっちゃうよ

別れた後,今までないほど落ち込んだ
会えないとこの世から色が消えたみたい
忘れようと頑張ってもできないの
初めて会う人を人混みから見つけようとするみたい 
どうすればいいのかわからない
なのに,好きって気持ちが抑えられない 
いけないって思ってるのに,どうしようもなくて,彼への想いを止められなかった
あんなに幸せだったことなかったから

だから今も頭を離れない
こうしていても,あの頃の熱い気持ちが蘇る
そうだよ
行き止まりの道を新車のマセラティで飛ばしてる
そんな風な恋だったの

(余談)

歌詞の最初の連に登場するマセラティ,この名前を聞いて我々がイメージするのはやはり「赤い車」でしょう。個人的にはイタリアの車は何故か「赤い車」のイメージ。「最高の車ですがその状態が長続きしません」とTop GearのJeremy Clarksonに言われたアルファ・ロメオのイメージもやはり赤い車です。これがR&Bやヒップホップ系の曲に登場するリムジンなんかだと黒か白なんですけどね。

これまで見てきた限り,彼女の曲作りの芸風は「私小説」。だとすれば,この「彼」も実在の人物(おそらくガイシャの一人)なのでしょうが,それにしても,あのTaylor Swiftをしてここまで言わしめる「彼」とは一体誰なんでしょうか。個人的に非常に気になります。



4 件のコメント:

  1. ああ、わかる・・・女子が好きだろうな、この曲。破滅的な恋にのめり込んでる感じがヒロイン的で、むくわれないからいいんですよね(笑)そして、イタ車が出てくるあたりでかっこよさもプラスされて、申し分ない!さすがっ!!
    女子目線でも素敵なところがTaylor Swiftのすばらしいところだと思いました(vestigeさんの和訳のTaylor Swiftは特別に魅力的な気もします)。

    そういえば、彼もよく「My Eyes of Red」と歌っていて「俺の目は燃えている」だと思っていたんですが、当たってますか?



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    1. コメントありがとうございます。さて,My Eyes of Redですが,前後の文脈がわからないとお答えするのは難しいように思います。というのも,彼の曲の歌詞にはよくアルコールが登場するのですが,二日酔いの充血した眼を「red eye」と言うからです。したがって,仮にこういう文脈だと,ai_i様の「俺の眼は燃えている」とは微妙にズレた,やや情けない意味である可能性もございます。
      それはともかく,ai_i様からいただくコメントは,入口はその曲のアーティストについてでも,出口は必ず「彼」なのですね。なんだかAdam Levineの破局ソング(詳細な背景は違えど破局という点は同じ)を思い出しました。

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  2. この曲は、メタファーとシミリー満載ですね。Taylor Swiftの訳は安定感があると思います。一連目の2行目、難しく思いましたが、「あっという間に加速して,後ろめたいほど夢中になるけど,ある日突然終わりが来るの」で、簡潔なのによくわかる。Taylor Swiftが日本語で書いたら、この言葉で書きそうです。redも「情熱」ということで納得です。マセラティですか。ラテン系の車のデザインって、色っぽくて素敵だと思います。私の個人的な意見ですが、ゲルマン系の車や日本車は、性能は良いようですが、デザインが若干武骨だったり子供っぽかったりするような。なぜか。それは、中年以上の世代に、そういう車が似合うような色気のある人がどれだけいるか、ということに関係するのではないでしょうか。やはり、はじめに人ありき、でしょうし。車のことはよくわからないし、あまり興味もないのですが、デザインについては外から見えるので、たまに、そんなことを考えてみたりします。(対訳にあまり関係なくて失礼)

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    1. コメントありがとうございます。何故かTaylor Swiftの曲は訳しやすいのですが,この曲はその中では比較的和訳が難しい部類に入ります。近いうちに彼女の曲をまた取り上げる予定になっておりますが,和訳としてはそちらの曲の方が容易でしたし,曲としてもそちらの方が好みであったように思います。

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