2013年1月12日土曜日

The New Year デス・キャブ・フォー・キューティ (Death Cab For Cutie)

クリスマスや大晦日といった日は特別な感じがするけれど,それ以外の日は「ただの一日」。こんな風に我々は日頃考えています。多くの人にとって,10月23日や7月3日といった日は,特に何の意味もないありふれた普通の一日。しかし私にとっては「特別な日」です。
このように考えると,どんな日も誰かにとっては「特別な日」だということになります。初めてデートに誘った日,結婚記念日,子どもが生まれた日。仕事で大きな取引をまとめた日,試験に合格した日,そして大切な人を失った日。
今日1月12日も,私にとってはさして意味を持たない一日ですが,他の誰かにとっては違います。その人にとっては,クリスマスや大晦日以上に大切な一日かもしれません。
こう考えると,どの一日も特別な一日ですね。たとえそうは思えなくても。
We usually think that some specific days like Christmas and New Year's Eve are special but not other days.  Days like October 23rd or July 3rd is just an ordinary day and seems nothing special to most of you.  Well, they ARE special to me.
That means every single day is special for some people.  The day they first asked to go out, married, or their baby was born.  The day they closed a big business deal, the day they pass an exam and the day they lost their loved one.
Today January 12th doesn't mean much to me now but it does to someone.  To him or her, the day could be more important than Christmas or New Year's Eve.
Thinking this way, every single day of a year is special even if you think it's not.
The New Year  (Death Cab For Cutie)
So this is the new year.
And i don't feel any different.
The clanking of crystal
Explosions off in the distance (in the distance).

So this is the new year
And I have no resolutions
For self assigned penance
For problems with easy solutions

So everybody put your best suit or dress on
Let's make believe that we are wealthy for just this once
Lighting firecrackers off on the front lawn
As thirty dialogs bleed into one

I wish the world was flat like the old days
Then i could travel just by folding a map
No more airplanes, or speed trains, or freeways
There'd be no distance that could hold us back.

There'd be no distance that could hold us back [x2]

So this is the new year [x4]

で,年が明けたわけだけど
取り立てて何かが変わったわけでもない
クリスタルのグラスを鳴らして乾杯する音や
はるか彼方から爆発音が聞こえてくるだけ(ずっと遠くの方からね)

で,新年になったわけだけど
「新年の抱負」なんてものを口にして
自分の首を絞めるつもりもないし
今こうして抱えてる問題に
安易な答えを出す気もない

だけど新年だから,みんな一番いい服を着ろ
そして今だけは,金には困ってないってふりをしよう
玄関の前の芝生の上で爆竹のひとつでも鳴らしたら
大して会話しなくてもすむ

昔の人が思ってたみたいに,地球が平坦だったらなって思うんだ
それなら地図さえあれば旅できたのに
飛行機も,特急も,高速道路ももうなしだ
どんなに遠くたって,そんなのちっとも気にならない

どんなに遠くたって関係ない
行きたいところへ行けるはずだ
(2回繰り返し)

年が明けて
年が変わって
新しい年が始まった
で,これが新年ってわけだ
こうして年が明けたんだ

(余談)

それにしても,自分で取り上げておいて,こういうのもどうかと思いますが,「だから何だよっ!」とツッコミたくなるほど,この曲とにかく歌詞に「オチ」がない。いや歌詞に「オチ」を求める時点ですでに何かが間違っていることは確かなのですが,別の言いかたをすれば,メッセージがとにかくわかりにくい。

ただ確かに,大人になってからは年末年始のスペシャル感がかなり薄れました。子どもの頃は,それはもう新年,とりわけ大晦日が楽しみでした。明日の元旦を機に,世の中が変わるんだ!くらいの勢いで楽しみにしていたのですが,ある日ふと新年が来たからと言って,特に何かが変わるわけではないと気づいてしまいました。衝撃でした。

まあニーチェならこの辺りで「神は死んだ」とか言うのかもしれませんが,それほどの教養がないので,「別に昨日と何が違うんだよ。ただの一日じゃん」とグチってお終い。

しかし,流石アーティストは違います。「新年になったからといって何も変わらない」という至極当たり前の事実から出発したところまでは同じでも,そこから先の発想が(当然のことながら)私とは全く違います。

おそらく主人公は,大晦日を一緒に過ごしたい「誰か」がそばにいないのだと思われます。仕事のせいでそうなのか,あるいはそれ以外の事情でそうなのかはわかりませんが,周囲が華やかに浮かれ騒ぐ中で,孤独を感じています。(「クリスタルのグラスを鳴らして乾杯する音」という箇所からパーティに出ているとわかります)。

また,ミュージック・ヴィデオも,多少ニュアンスは違えど,華やかな雰囲気のなか,黙々と仕事をせねばならぬ人々の気持とささやかな年越しを描いています。

余談の冒頭で「オチがない!」と憤慨した私ですが,このように考えれば,新年が来ることが素晴らしいのではない。その新年を一緒に喜べる人がいるからこそ,大晦日の夜に意味があるのだ,ということがこの曲のオチ(メッセージ)なのかもしれません。

2 件のコメント:

  1. はじめまして。
    以前からこのサイトは拝見しており、訪れる度にサイト主様のすてきな訳に感嘆しています。
    私は最近デスキャブが大好きになり、そのときどきで好きな曲を訳したりもしているのですが、今回この"The New Year"を訳してみて、訳がつかみ切れない部分はサイト主様の訳を参考にさせてもらい、やはりサイト主様の訳はすばらしいと思いました。
    リリックメーカーのボーカル・ベンはまさに詩人ですよね。

    これからも訳を楽しみにしております。
    リクエストは受け付けていないことは承知ですが、もっとデスキャブの曲の訳が投稿されることを願います。

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    1. コメント並びに過分なお言葉ありがとうございます。Death Cab for Cutieは私も好きなアーティストなので,機会があれば今後も取り上げたいと思っております。その際は是非またお声をお聞かせください。

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