2013年3月1日金曜日

I Dreamed A Dream レ・ミゼラブル (Les Miserable)

X factorやGleeでこの曲を聞いた時,さほど感動しませんでした。無論,歌詞の内容はわかったのですが,正直に言うと「確かに気の毒だけど,だから何?」といった感じでした。
ただ今回は違います。決して「泣いた」わけではありませんし,実際本当にそうなのですが,Anne Hathawayが歌うのを聴いていたら,涙目になってしまいました。その時の気持ちを言葉で十分に表現することはできません。
普段,言ってもなんの足しにもならないのであまりグチや批判は口にせず,そういう人々にはあまり近づかないようにしているのですが,グチなのに,彼女の歌には何故か完全に引きつけられてしまいました。いまだに理由がわかりません。
When I heard this song sung in X factor and Glee, I wasn't much impressed.  I understood what it's about of course but I admit I was thinking like "Oh, I feel sorry for you but so what?." Not this time.  I won't say I cried and technically I didn't but my eyes welled up listening to Anne Hathaway sing.  Words are not eloquent enough to describe what I felt then.
I usually don't complain much knowing it won't change anything.  I don't criticize much either and try to keep away from those who do them often.  Her song, however, hooked me completely despite the fact what she's doing is whining.  I still don't know why.
I Dreamed A Dream  (Les Miserable)
There was a time when men were kind
When their voices were soft
And their words inviting
There was a time when love was blind
And the world was a song
And the song was exciting
There was a time
Then it all went wrong
I dreamed a dream in times gone by
When hope was high
And life worth living
I dreamed that love would never die
I dreamed that God would be forgiving
Then I was young and unafraid
And dreams were made and used and wasted
There was no ransom to be paid

No song unsung
No wine untasted
But the tigers come at night
With their voices soft as thunder
As they tear your hope apart
And they turn your dream to shame
He slept a summer by my side
He filled my days with endless wonder
He took my childhood in his stride
But he was gone when autumn came

And still I dream he'll come to me
That we'll live the years together
But there are dreams that cannot be
And there are storms we cannot weather
I had a dream my life would be
So different from this hell I'm living
So different now from what it seemed
Now life has killed
The dream I dreamed

昔は男も優しかった
声や口調も穏やかで
つい心を許しそうになる,そんなことも言ってくれた
あの頃は,誰かを好きになってしまうと
自分の周りが見えなくなった
世の中にはステキなことが溢れていて
とにかく見るもの聞くものが楽しかった
だけどある時
なにもかもが変わったの
昔は将来を夢見てた
ああしたいこうしたいって夢がたくさんあって
生きているのが楽しかった
愛する気持ちはずっと変わらない
神様だって過ちは許してくれると信じてた
あの頃,若くて怖いものなど何もなかった
夢だってたくさんあったけど
いいようにされて擦り減って
結局何も残らなかった 

楽しいことはなんでもやったし
興味のあることはみんな試した
だけど夜になると恐ろしい虎の群れがやってきた
雷鳴のように良く響く穏やかなその声で
その希望を粉々に打ち砕いたの
気が付くと,夢見ていたのとは全然違う
ひどい人生が待っていた
ひと夏あの人と一緒に過ごした
一緒にいると,毎日が楽しい驚きの連続で
あっという間に大人になった
なのに秋が来たらいなくなったの

今でも夢のなかで信じてる あの人はきっと戻って来て
2人でずっと暮らすんだって
だけど叶わない夢もあるし
自分ではどうしようもないこともある
昔思い描いていた人生と
今のこの人生とは,天と地ほどの開きがある
思っていたのとは全然違う
こんな人生を送ったせいで
昔の夢は跡形もなく消えてしまった
今はもう夢を見ることさえできないよ

(余談)

歌唱力とは何なのでしょうか?単純に音楽的な歌の上手さ,例えば「声がいい」,「声量がある」,「音域が広い」,「音程にブレがない」などの条件で言えば,本職でないAnne Hathawayは劣るのでしょう。

無論,私には非常に上手く聞こえるのですが,なにしろ音楽には疎い私が言うことなので当てになりません。その道の専門家が聞けばまた違った意見なるはずで,実際,Adam LambertがTwitter上で批判したとかしなかったとかで話題になったこともありました。

しかしリードでも述べたように,歌を本業とする人が歌った時は感動しなかったのに,そうではない彼女が歌うのを聴いてこれほど感動したということは,感動の本質というのは実はそこにはないのではないかと考えざるを得ません。

では「感動」の本質は(この場合音楽に限って言えば)一体どこにあるのか?人々を感動させる力の源となるものは一体何なのか?

進化論では耳は音楽を聴くために進化したのではなく,偶然出来た耳という器官に偶然音楽を聴く機能が備わっていただけという認識ですが,ならばどうしてそこに好き嫌い,あるいは快不快が生じるのか?この曲を聴きながらそんなことまで考えさせられました。


12 件のコメント:

  1. こんにちは。
    私もまさに同じことを思いました。
    色々な人がこの曲をそれは上手に感情豊かに歌います。でもいつも、あーすごいなー、上手いなー、で終わってしまうのです。
    ところが、アン・ハサウェイの歌には泣かされました。
    本当に、心の底からの気持ちが歌に表れていました。
    歌は上手いに越したことはありませんが、ただ上手ければいいというものではないんですね。奥の深い世界です。

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    1. コメントありがとうございます。同じようにお考えの方がおいでになるとわかって安堵いたしました。音楽というものはそもそも一体何のために存在しているのだろうかということまで考えさせられた曲でした。

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  2. すっぱいぶどう2013年3月7日 18:16

    やった!
    vestigeさんっていわゆる往年の名曲も取り上げるんですね!

    feeling goodを取り上げられているのにも驚きましたけど、
    嬉しいです~。

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    1. コメントありがとうございます。ここ本館の選曲基準は私が個人的に「面白い」または「好き」だと思った曲なので,リリース時期についてはさほど重視しておりません。したがって今後もいわゆる「往年の名曲」を取り上げる機会は少なくないと思っております。右側のラベルをお使いいただくと,数は多くありませんが,60年代や70年代の曲もご覧いただけます。お時間があれば是非。

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  3. お久しぶりです。
    先月友達とこの映画を見に行ってきました。
    感動した、それはもう、すごく感動した!!
    舞台では出せないスケールの大きさ、化粧で塗り固められていない出演者の表情、最高でした。
    どこかのコメントで、この曲は絶望の底のほうで歌う曲なので、声を張り上げて元気よく歌うのは間違っていて、Anne Hathawayの歌い方が正解だと書いてありました。
    私もその通りだと思います。だからあんなに感動するんだと。
    Anne Hathawayもプラダを着た悪魔の時はあんなにかわいかったのに、いつの間にか、素敵な女優さんになりましたね。

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    1. コメントありがとうございます。おおちかママ様,お元気そうでなによりです。仰る通り,Anne Hathaway,本当に素晴らしい女優さんになったと思います。「プリティ・プリンセス」の頃は,とにかく「目がデカい・・・」というイメージしかなかったことを考えると,その成長には驚くばかりです。

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  4. こんにちは
    「歌を本業とする人が歌った時は感動しなかったのに,そうではない彼女が歌うのを聴いてこれほど感動したということは,感動の本質というのは実はそこにはないのではないかと考えざるを得ません。」

    私も全く同感です。泣けてしまいました。

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    1. コメントありがとうございます。まさに歌唱力の本質を見たような気がする曲でした。

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  5. vestigeさんにものすごく共感できます。

    この曲を聴いてJay JamesがX Factorで歌ったSay Somethingを思い出しました。2つに共通して言えるのが”音程などは決してうまいとは言えないのに感動させられる”ということです。

    真の歌唱力とは音の正確さではなく、私たちの感情をいかに動かせるかという事なのかもしれませんね。

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  6. >感動の本質というのは実はそこにはないのではないかと考えざるを得ません。

    大変共感いたしました、あなたは伝える文才がある。

    若干私見を記述させていただくと
    例えが悪いかもしれませんが、
    漫才に前フリがあってオチがあるように

    ミュージカルにも前段階のストーリー(フリ)があって、
    あの歌が感動(オチ)するんだと思います。
    音楽にはオチをつけるパワーが破壊的なほどあると思います。

    歌手が1曲だけで歌った場合、いくら上手くても
    フリが無いぶん若干分が悪いのではないかと思う部分もあります。

    私にはAnne Hathawayの歌は、
    ストーリーを踏まえた上で素晴らしい歌唱だったと思います。

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  7. >感動の本質というのは実はそこにはないのではないかと考えざるを得ません。

    大変共感いたしました、あなたは伝える文才がある。

    若干私見を記述させていただくと
    例えが悪いかもしれませんが、
    漫才に前フリがあってオチがあるように

    ミュージカルにも前段階のストーリー(フリ)があって、
    あの歌が感動(オチ)するんだと思います。
    音楽にはオチをつけるパワーが破壊的なほどあると思います。

    歌手が1曲だけで歌った場合、いくら上手くても
    フリが無いぶん若干分が悪いのではないかと思う部分もあります。

    私にはAnne Hathawayの歌は、
    ストーリーを踏まえた上で素晴らしい歌唱だったと思います。

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    1. コメント並びに過分なお言葉ありがとうございます。お話しのフリとオチですが大変腑に落ちました。
      ただ私が思うに,いわゆる一般的なポップ・ソングは(ミュージカルの曲がこれに該当するかはさておき)verseがフリ,chorusがオチに相当するような気もします。そして仮にそれが正しいとすると,オチとフリがすでに曲の中にあるわけですから,Anne Hathawayと他の歌手の違いはそれとは別のところにあると考えるのが妥当でしょう。
      そう考えると,彼女の歌唱がこれほど感動的なのは,そこに至るまでのストーリーを映画がすでに見せてくれているため,漫才で言うところの「(会場が)温まっていた(=聞く側に笑う/泣く準備が出来ていた」状態になっていたことが理由なのではないでしょうか?

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