2014年5月13日火曜日

River ジョニ・ミッチェル (Joni Mitchell)

日本のお正月と同様に,アメリカやイギリスでは,友人,恋人,家族といった大切な人とクリスマスを過ごします。一年で最も華やかな時期ですが,それだけに一緒に過ごす人のいない人間にとっては疎外感を感じることになります。主人公は恋人と別れたようで,歌詞に登場する「川」(river)という言葉は,別れた相手と過ごした頃に戻れるいわばタイムマシンのようなものを指していると思います。
Like our New Year's Holidays, people in the US or UK usually celebrate Christmas with their loved ones, such as their friends, lover and family.  It's the most festive time in a year and that makes those who have no one to spend their time with alienated all the more.  The protagonist in the lyrics seems to have lost her love.  I think the word, "river" represent some kind of time machine which brings her back to the days with the third person (he).
River  (Joni Mitchell)
It's coming on Christmas
They're cutting down trees
They're putting up reindeer
And singing songs of joy and peace
Oh I wish I had a river
I could skate away on
But it don't snow here
It stays pretty green
I'm going to make a lot of money
Then I'm going to quit this crazy scene
I wish I had a river
I could skate away on
I wish I had a river so long
I would teach my feet to fly
Oh I wish I had a river
I could skate away on
I made my baby cry

He tried hard to help me
You know, he put me at ease
And he loved me so naughty
Made me weak in the knees
Oh I wish I had a river
I could skate away on
I'm so hard to handle
I'm selfish and I'm sad
Now I've gone and lost the best baby
That I ever had
Oh I wish I had a river
I could skate away on
I wish I had a river so long
I would teach my feet to fly
Oh I wish I had a river
I made my baby say goodbye

It's coming on Christmas
They're cutting down trees
They're putting up reindeer
And singing songs of joy and peace
I wish I had a river
I could skate away on

クリスマスの日が近づくと
モミの木を切って
トナカイを飾りつけて
クリスマス・ソングを歌うの
ここに凍った川があったら
スケートで滑って行けるのに
だけどここに雪は降らない
いつでも緑が溢れてる
だからこれからお金を稼いで
こんなマトモじゃないような
世界からは逃げ出すの
ここに凍った川があったら
スケートで滑って行けるのに
ずっと思ってた
本当に川があればって
そうすればこの足で
急いでここから逃げ出すのに
ここに凍った川が欲しい
大好きなあの人と
別れることになったから

あの人は頑張って
助けようとしてくれた
知ってるよね?
一緒にいると楽だったし
めちゃめちゃ愛してくれたから
すっかり夢中になっちゃった
ここに凍った川があったら
スケートで滑って行けるのに
このアタシは気難しくて
いつも自分のことばっかりの
つまらないヤツだったの
結局やり過ぎて
大好きなあの人を
失うことになっちゃった
今までで一番の人だったのに
ここに凍った川があったら
スケートで滑って行けるのに
ずっと思ってた
本当に川があればって
そうすればこの足で
急いでここから逃げ出すのに
ここに凍った川が欲しい
大好きなあの人と
別れることになったから

クリスマスの日が近づくと
モミの木を切って
トナカイを飾りつけて
クリスマス・ソングを歌うの
ここに凍った川があったら
スケートで滑って行けるのに

(補足)

Joni Mitchellはカナダ出身らしいので,歌詞に登場する凍った川はおそらくカナダの冬の川であると思われます。

(余談)

この歌詞のように,周囲が明るく華やかで賑やかであればあるほど,自分の孤独感や疎外感が強調されるという経験は,おそらくほとんどの方が経験なさっているのではないでしょうか?

以前一人で海外旅行へ出かけたところ,運悪く乗った飛行機の乗客が自分以外ほぼ新婚さんで大変な目に遭ったという知り合いがいましたが,その話を聞いた時,当時の彼の心中を思って,他人事ながらいたたまれなくなりました。

目的地までの長い時間,ラブラブ地獄のなかでどれほど辛かったか・・・。

2 件のコメント:

  1. vestigeさん、こんにちは。

    前衛的な方向に走る前の1970年前後のJoni Mitchellの透明感に個人的にとても魅かれます。当時から恋多き女性で奔放な生き方で知られていた方らしいですが、音楽には内省的で静謐な空気が流れているところが面白いです。

    そういえば、かの高名な「新明解」さんによれば、恋愛とは
    「特定の異性に対して他の全てを犠牲にしても悔い無いと思い込むような愛情をいだき、常に相手のことを思っては、二人だけでいたい、二人だけの世界を分かち合いたいと願い、それがかなえられたと言っては喜び、ちょっとでも疑念が生じれば不安になるといった状態に身を置くこと」らしいです。
    わざわざ「思い込む」を選択する人間味が透ける語釈自体は好きなのですが、私などはこれを読むと、世の人々が普通に装備している捨て身の勇気に感じ入り、遠い目になってしまいます。残念ながら凍った川が欲しいなどと言える段階に至るまでに超えられない川があるような気がしてなりません。

    ちなみに、海水浴シーズン真っ只中の江の島近辺を一人で旅したことがありまして、ご友人の気持ちのいくらかは分かる気がします。まあ密室に缶詰めでないだけまだまだ甘いのかもしれませんが…。

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    1. コメントありがとうございます。おおロメオ様,お元気でいらっしゃいましたか。お話しの「海水浴シーズンの江の島一人旅」ですが,想像するだに辛いものがあるように思われて仕方ありません。やはり一人旅というものは,あの曲よろしく,雪降る「みちのく」辺りでするほうが相応しいように思われます。

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