2015年4月30日木曜日

Irresistible フォール・アウト・ボーイ (Fall Out Boy)

ここで取り上げる曲には主に2種類あります。ひとつは歌詞に一貫性があり描写力に優れたもの。ミダス王や師匠,そしてStingの曲の大半がこれに当たります。こういう曲は歌詞が訳しやすいのですが,一方でその点が曖昧でいかようにも解釈できる曲も存在します。こういう曲は歌詞の一貫性よりもむしろそこから連想されるイメージにより重点を置いていることが多く,言葉遊びの要素や他の曲の本歌取りなどを多用していることも少なくありません。この2種類の曲,一見するとお互いにかなりかけ離れているようにも見えますが,実は共通する点がひとつあります。私にとってはどちらも面白く「(訳すのが)どうしてもイヤって言えなくなる(irresistible)」曲です。
Songs I pick up here mainly consist of two types.  One is a song which has pretty coherent and descriptive lyrics that I can easily understand and often can relate to, including most of Bruno Mars, Maroon 5 and Sting's songs.  Translating these songs into Japanese is a relatively easy and less demanding task for me.  The other is less descriptive and open to interpretations.  They often focuses more on images the lyrics conjure up than on the coherence and sometimes heavily relies on word play or reference to other songs.  On the surface, these two types seem to be quite different each other but they have one thing in common.  They're both 'irresistible' to me.
Irresistible  (Fall Out Boy)
[Verse 1]
Coming in unannounced, drag my nails on the tile
I just follow your scent, you can just follow my smile
All of your flaws are aligned with this mood of mine
Cutting me to the bone, nothing left to leave behind
You ought to keep me concealed just like I was a weapon
I didn't come for a fight but I will fight til the ending
This will not be a battle, might not turn out okay
You know you look so Seattle but you feel so LA

[Chorus]
And I love the way you hurt me
It's irresistible, yeah
I love the way, I love the way
I love the way you hurt me, baby
I love the way, I love the way
I love the way you hurt me, baby

[Verse 2]
I'm gonna get you to burst just like you were a bubble
Frame me up on your wall just to keep me out of trouble
Like a moth getting trapped in the light by fixation
Truly free, love it baby, I'm talking no inflation
Too many war wounds and not enough wars
Too few rounds in the ring and not enough settled scores
Too many sharks, not enough blood in the waves
You know I give my love a f-f-four letter name

[Chorus]

[Bridge]
You're second hand smoke, second hand smoke
I breathe you in, but honey I don't know what you're doing to me
Mon chéri but the truth catches up with us eventually
Try to say live, live and let live
But I'm no good, good at lip service
Except when they're yours, mi amor
I'm coming for you and I'm making war

[Chorus]
And I still love the way you hurt me
It's irresistible, yeah
I love the way, I love the way
I love the way you hurt me, baby
I love the way, I love the way
I love the way you hurt me, baby

[Verse 1]
突然押しかけて
タイルを爪で引っ掻いた
とにかくお前の匂いがすれば
そこへ辿り着けるんだ
俺を探すつもりなら
笑ってるヤツを見つけてくれよ
そうすりゃお前も辿り着く
お前の良くないとこだって
こういう俺の気持ちには
みんなピッタリ合うんだよ
ギリギリのところまで
追い込んでくれていい
遠慮なんかすることない
ただ俺のことだけは
武器を隠しているように
秘密にしといた方がいい
揉めたかったわけじゃない
だけど途中では諦めない
今回のことだって
きっと大したことないと
俺はそう思ってるけど
だからって
何も問題なしって
そういうわけにはいかないかもな
だってお前はシアトルみたいに
真面目そうに見えるけど
本当の姿はLAみたいな
自由奔放なヤツだから

[Chorus]
しかも俺を傷つける
そんなお前の冷たい仕打ちが
俺はすごく好きなんだ
どうしても
イヤって言えなくなるんだよ
とにかくそこにグッとくる
ベイビイ俺を傷つける
そんなお前の冷たい仕打ちが
俺はすごく好きなんだ
とにかくそこにグッとくる
冷たい仕打ちがたまらないんだ

[Verse 2]
シャボン玉になったみたいに
お前をハジケさせてやる
その壁に
身動き取れなくなるように
きっちり俺を「はめて」くれ
とにかくそうすりゃ俺だって
面倒なんか起こさない
蛾っていうやつは
そうしなきゃいられない
そんな何か駆り立てられて
灯りに引き寄せられるけど
そんな風にこの俺も
そこに閉じ込めてくれ
金は一円もかからない
とにかくそれがいいんだよ
インフレを心配することもない
この俺は
戦いで負った傷だけは
山ほど残っているくせに
実際に戦った
経験なんて大してないし
リングに上がりゃ上がったで
すぐにやられるばっかりで
やり返すこともほとんどない
鮫だって
うようよ周りを泳いでるけど
ヤツらが嗅ぎつけられそうな
血だってほとんど流れちゃいない
俺にとっては「愛」ってヤツも
ヤバくて汚い言葉なんだよ

[Chorus]

[Bridge]
そんなつもりはさらさらないのに
気付けばそうなっている
俺にとってお前ってヤツは
周りから流れてくる
煙草の煙みたいなもんだ
ただ息をするだけで
自然と体に入ってくるけど
そのせいで
一体どんな羽目になるのか
そいつが俺にはわからないけど
どっちにしたって最後には
本当のところがわかるはず
束縛しないでお互いに
お前はお前で俺は俺って
そう言おうと思っても
口先だけを飾ってる
そういうリップ・サービスは
俺はあんまり得意じゃなくて
この口で出来るのは
せいぜいお前にキスするくらい *
こうやって
お前に迫ってるけど
そのことで
ヤバいことになりそうだ

[Chorus]
それなのに俺を傷つける
そんなお前の冷たい仕打ちが
俺はすごく好きなんだ
どうしても
イヤって言えなくなるんだよ
とにかくそこにグッとくる
ベイビイ俺を傷つける
そんなお前の冷たい仕打ちが
俺はすごく好きなんだ
とにかくそこにグッとくる
冷たい仕打ちがたまらないんだ

(補足)

* But I'm no good, good at lip service, Except when they're yours, mi amor:
lip serviceを文字通り「唇(リップ)」の「サービス(奉仕)」と捉え「相手の唇に奉仕する(=キスする)」のでなければ,リップ・サービス(=口ばかりで実行しないこと)は苦手だと言っています。

(余談)

Fall Out Boyのベイシスト,Pete Wenzによれば,この曲のイメージはSex Pistols bassistのSid Viciousと恋人のNancy Spungenを主人公に2人の破滅的な恋を描いた1986年の伝記映画「シド・アンド・ナンシー(Sid & Nancy)」なんだとか。いわゆる「(自分にとって)コイツはマズい」とわかっているのにどうしても別れられない関係を描いた曲だそうです。

それはともかく,この歌詞を見て思い出すのがEminemのLove The Way You Lieで,あちらも共依存とも言うべき破滅的な関係を描いています。また多少趣は違うかもしれませんが,ZeddのClarityにも近いものがあるかもしれません。

個人的にこういう恋愛関係とは全くご縁がないので,正直なところその辺りはよくわからないのですが「このままではマズい」と思いつつ,どうしても止められないという経験が全くないわけではありません。

大学の必修科目の試験前日に,あろうことか友人が貸してくれた長編マンガ17巻を読み始めてしまい,もう止めて勉強しなければと思うもののページをめくる手が止まらず,結局何も出来ぬまま夜が明けてしまったということがあります。

・・・ええ当然その必修科目は落としましたが,何か?

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