2012年9月3日月曜日

This Boy ジェイムズ・モリソン(James Morrison)

一体なんてことをしてくれたんでしょうか。この曲を聴いた時は,そのあまりの衝撃に言葉を失いました。自分のことかと思いました。この主人公の気持ちが痛いほどわかります。子どもの頃,まさしくこんな風に考えて,両親に対して腹を立てていました。
これはforgiveness (許し・赦し) について歌った曲。そして人生において最も難しいのが「許す・赦す(ゆるす)」ことです。今でも時々子どもの頃の気持ちをまだ引きずっている自分に気付くことがあります。彼の言う通り。もう大人になって忘れなきゃいけない時期です。彼はすごい。彼のOnce When I Was Littleとこの曲は,私のオールタイムベストです。Thank you.  I swear I'll be loyal to you.
Oh, James.  What did you do to me?  You left me awe-struck and speechless when I heard this song.  It's me. I relate to it 100 percent.  I felt exactly this way when I was a kid and was resentful to my parents.
I believe it's a song about "forgiveness," one of the most difficult things in our lives.  Sometimes I find myself still holding on to what I felt when I was much younger.  Yes, he's right.  It's time to grow up and let it go.  James, you're amazing.  Along with your Once When I Was Little, this is definitely one of my all time favorites.  Thank you.  I swear I'll be loyal to you.
This Boy  (James Morrison)
This boy wants to play
There's no time left today
It's a shame coz he has to go home
This boy's got to work, got to sweat
Just to pay what he gets to get left all alone

Let's step outside
Let's go for a ride just for a while
No we won't get caught
Well that's what I thought until we cried

I'm still here
But it hasn't been easy
I'm sure
That you had your reasons
I'm scared
Of all this emotion
For years I've been holding it down
For years I've been holding it down

This girl tries her best every day
But it's all gone to waste
Coz there's no one around
This girl she can draw she can paint
Likes to dance she can skate
Now she don't make a sound

We'll play in the park until it's too dark for us to see
Well we'll make our way home
With mud on our clothes
She won't be pleased

I'm still here
But it hasn't been easy
I'm sure
That you had your reasons
I'm scared
Of all this emotion

For years I've been holding it down
And I'd love to forgive and forget
So I'll try to put all this behind us
Just know that my arms are wide open
The older I get the more than I know
Well it's time to let this go

I got to let it go
I got to let it go
I got to let it go
I got to let it go

I'm still here
But it hasn't been easy
I'm sure
That you had your reasons
I'm scared
Of all this emotion

For years I've been holding it down
And I'd love to forgive and forget
So I'll try to put all this behind us
Just know that my arms are wide open
The older I get the more than I know
Well it's time to let this go

And I'd love to forgive and forget
So I'll try to put all this behind us
Just know that my arms are wide open
The older I get the more than I know

Well it's time to let this go

ここにいるこの男の子
まだ遊んでいたいのに
今日はもう時間がない
悔しいけどもう家に帰らなきゃ
イヤだけどお手伝いが残ってて
やらなきゃ自由にしてもらえないから

ほら出てきなよ
ちょっとだけ自転車で出かけよう
大丈夫だって見つからないから
そう思ってたけど
結局2人とも泣いてそれで見つかった

今もそのままで変わってない
あれから色々大変だった
わかってるよ 
お母さんだって大変で,あの頃はそうするしかなかったって
だけど不安でたまらない
こんな気持ちでいることが
もう何年も抑えてきて
ずっと胸の奥に抱えてきたから

ここにいるこの女の子
毎日何をするにも一生懸命なのに
どれ一つとして役には立たない
だってそばに誰もいないから
どんな絵も上手いし
ダンスもできるしスケートも好きだ
なのにもう一言も喋らず,おとなしくしてる

暗くなってお互いが見えなくなるまで,一緒に公園で遊ぶんだ
それから2人で家に帰る
着てるものは泥だらけだから
お母さんはきっと怒るよね

今もそのままで変わってない
あれから色々大変だった
わかってるよ 
お母さんだって大変で,あの頃はそうするしかなかったって
だけど不安でたまらない
こんな気持ちでいることが

何年も胸の奥にずっと抱えてきたけど
もういいんだ 許して忘れてしまいたい
なにもかも水に流して乗り越えるよ
わだかまりは残ってないよ
大人にならなきゃわからないこともある
だからもういいんだ

大人になって
水に流して
忘れてしまって
許すことを覚えなきゃね

今もそのままで変わってない
あれから色々大変だった
わかってるよ 
お母さんだって大変で,あの頃はそうするしかなかったって
だけど不安でたまらない
こんな気持ちでいることが

何年も胸の奥にずっと抱えてきたけど
いいんだ 許して忘れるよ
なにもかも水に流して乗り越える
わだかまりは残ってないよ
大人にならなきゃわからないこともある

いいんだ あれはもう過去のこと
なにもかも水に流しておしまいにする
もう何とも思ってない
こうして大人になったから

あのことはもういいんだよ


(補足)

どこで見たのかは判然としないのですが,James Morrisonがこの曲について,自分の甥を見て作ったと言っていたような気がします。ただ歌詞の内容は,彼自身の子ども時代のもの。彼の母親に対しての曲であるようです。このため,ここに登場する男の子と女の子は,彼と彼のお姉さんのHayleyではないかと思っています。

(余談)

昨年の今日このブログを始めました。最初の曲はミュージカル・ウィケッドのFor Goodでした。当時それを見てくれたのはおそらく妹と学生時代の友人数名だけ。ヴィデオもまだなく,リード文の英語のサブタイトルもない,本当に和訳のみの地味なブログでした。

あれから1年が過ぎ,こうしてたくさんの皆様にご覧いただけるようになりました。本当にありがとうございます。

本来ならば1周年の今日は,もっと有名な曲や派手な曲を選ぶべきなのかもしれませんが,私にとってJames Morrisonは歌詞の世界の奥深さを見せてくれた一人なので,彼に敬意を表してこの曲を選びました。

それにしても当時彼は20歳そこそこだったはず。にもかかわらずこの洞察力。私などこの境地に到るどころか,その姿を拝むことさえまだ出来ておりません。まさに人間としての器の違いを見せつけられたような気がします。

なろうことなら,ここでいつものようにオチをつけたいところですが,この曲は私にとってあまりに大きすぎてどうしても「笑い」にもっていくことができません。オチを期待なさっていた皆様,申し訳ありません。しかし,いつかは必ずこの曲で「笑い」を取ってみせます!(そもそも別に芸人でもないのに,何故そこまでして「笑い」を取らなきゃいけないのかという根源的な疑問は取りあえずお忘れください)。

4 件のコメント:

  1. 一周年おめでとうございます。いつも素敵な和訳を楽しみに、このサイトに通っています。私の周りには洋楽好きの友人が大勢いるのですが、私の洋楽の知識など微々たるもので、なかなか話についていけないということもありました。しかしこのサイトを見つけて以来、以前より洋楽を聴くようになりましたし、友人との会話も弾むようになりました。とは言ってもまだまだですが。笑 そう言った意味でもvestigeさんには感謝していますし、何より日頃の楽しみが増えたことが一番の収穫でした。本当にありがとうございます。これからも楽しみにしていますね。今回vestigeさんがJames Morrisonを選んだのにはなんだか納得です^^

    返信削除
    返信
    1. コメント並びに温かいお言葉ありがとうございます。思えばnakko様(当時は匿名様でしたが)からAl GreenのLet's Stay Togetherに訂正コメントをいただいたのが2月24日。あれからもう半年以上経ったと思うと信じられない気持ちです。あの頃からご覧くださっているのだと思うと感謝してもしきれません。本当にありがとうございます。
      アフィリエイトなど金銭が絡む場合であれば,今日という日にJames Morrisonの,しかも何年も前のアルバムのシングルカットされてさえいない曲を取り上げることは難しかったかもしれません。この曲を取り上げることができたのは,偏にこのブログが100%私個人の趣味のブログゆえだと思っております。
      そのため当然のことながら,豪華賞品が当たるわけでなし,キャッチーな芸能ゴシップがあるでなし,グルメ情報があるでなしの地味なブログなのですが,それにもかかわらず,これほど多くの方がおいでくださることが大変にありがたいと思っております。どうかこれからもよろしくお付き合いくださいますようお願い申し上げます(ただ握手会はやりませんよ)。

      削除
  2.  また、勝手な想像ですが、この曲は大事な曲です。この曲の中の赦しは特別なものだと思います。
    この男の子は、幼い時に母親との関係がうまく築けなかった。そして、それはよくないことであり、不幸なことだったと思っています。でも、考えてみると、このお母さんからでないとこの人が生まれてくることはなかったはず。そしてこのお母さんから生まれてくる、ということは、同時に、問題を抱えて育つ、ということになるのですが、おそらく、問題を持ちながら葛藤して育ったせいで、彼はこんな心に届く曲を作ることができる大人に成長した、ということだと思います。
    母親にしろ、問題にしろ、過去のどの要素が欠けても、今の彼が存在することはなかった。この人は今も自分のことを不幸だと、思っているのかもしれませんが、今や多くの人に肯定され、愛される大人になっています。そのためには、これまでのことはすべて必要だったということなのだから、過去のできごとに善悪や幸不幸のラベルをつけたりせずに、そのままの状態で水に流して通過させる。あるがままを受け入れる、ということがこの時のこの人にとっての赦しだったんじゃないか、と思います。
    過去を消化して次のステップに進む、という意味で、1周年にまさにふさわしい曲、と思いました。
     実は、James Morrison という名前は初めて聞きました。シンプルなギターの音がぴったり合う、個性的な歌声でいいですね。ドック・オブ・ザ・ベイという曲を歌う、オーティス・レディング(?たぶん)をちょっと思い出しました。

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます。私の不確かな記憶なのですが,James Morrisonは,確かどこかでスガシカオがOtis Reddingを彷彿とさせると言っていたような気がいたします。
      本館に古くからおいでになる皆様ならご存知だと思うのですが,James Morrisonは私がここで最も多く取り上げているアーティストで,その数実に27曲。カヴァーも数曲含まれていますが,それでもCDの対訳者の方を除き,おそらく日本で一番彼の曲を和訳していると思います。派手さはないけれど人間の器を感じさせるアーティストなので,1周年の日は彼の曲を取り上げることに早くから決めておりました。
      このJames Morrisonの曲は,シンプルな歌詞でありながら訳しにくい点が特徴ですが,それだけに納得のいく訳が出来たときの喜びも大きく,彼の曲を訳すたび,ほんの少しずつですが自分の和訳も向上したような気がいたします。そういう意味で,彼は私と本館にとって,milestone(道標)とも言うべき存在なのかもしれません。

      削除