2013年2月16日土曜日

Heroes デイヴィッド・ボウイ (David Bowie)

高校生の頃,とにかく歴史の授業がキライでした。全く興味が持てず,試験のために過去の単調な歴史を暗記するなど時間の無駄だと思っていました。バカでしたね。今はわかります。歴史は単なる過去の出来事ではない。むしろ「現在の記憶」です。そしてその一部はこの曲のように音楽のなかにその姿を留めます。今のこの瞬間もすぐに通り過ぎて歴史の一部です。
When I was in high school, I really hated history class.  I just couldn't find it interesting at all and thought it would be a waste of my time just memorizing monotonous history events for an exam. Now I know I was wrong.  History isn't just what happened in the past.  Rather it's the memories of the present.  Some of them are well preserved in a song such as this.  Every moment passes us to become a part of our history.
Heroes  (David Bowie)
I, I wish you could swim
Like the dolphins, like dolphins can swim
Though nothing, nothing will keep us together
We can beat them, for ever and ever
Oh we can be Heroes, just for one day

I, I will be king
And you, you will be queen
Though nothing will drive them away
We can be Heroes, just for one day
We can be us, just for one day

I, I can remember
Standing, by the wall
And the guns shot above our heads
And we kissed, as though nothing could fall
And the shame was on the other side
Oh we can beat them, for ever and ever
Then we could be Heroes, just for one day

We can be Heroes
We can be Heroes
We can be Heroes
Just for one day
We can be Heroes

一緒に泳げたらって思うんだ
イルカみたいにどこまでも
自由に泳いで行けたらって
どうやってもずっと一緒にはいられなくて
いつかは離れなきゃならないけど
それでもあいつらを出し抜ける 好きなだけ何度でも
「時の人」ヒーローになって輝ける
今日という日の間だけは

これから2人で
王と女王になって世界を支配しよう
わかってるよ
本当はそんなことできやしないって
だけど1日なら,今日1日の間だけなら
「時の人」に,ヒーローになって
輝くこともできるんだ

忘れないよ
あの壁の横で
銃弾が2人の頭の上をかすめていったこと
それでもキスしたよね
何も怖くないっていうように
悪いのはあいつらの方なんだから
それなら向こうを出し抜けばいい 何度でも好きなだけ
「時の人」ヒーローになって輝ける
今日という日の間だけは

そこらにいる普通の人間じゃなくて
ヒーローになれるんだ
「時の人」になって輝ける
今日という日の間だけは
一緒にヒーローになれるんだ

(補足)

この曲は,ベルリンの壁が崩壊する以前,その壁の上の砲塔の下で毎日デートを重ねていたドイツ人のカップルの話だそうです。David Bowieは当時ベルリンに住んでいて,その話にインスピレーションを得てこの曲を書いたというのが有名な話です。この点についてDavid Bowieは2003Performing Songwriter magazineに次のように語ったとか:
「これは今だからできる話。当時はいつも(曲のモデルは)ベルリンの壁の側にいた恋人達と言ってきたけど,本当はTony Viscontiと彼女がモデルだ。当時Tonyには妻がいたから(相手の)正体は明かせなかったけど,今ならもう大丈夫。(曲のモデルは)Tonyと彼がベルリン在住時に出会ったドイツ人の彼女。本人から許可も取ってある。多分当時彼は既に離婚寸前だったと思う。それに相手とは本気だったから感動した。これがきっかけでこの曲が誕生した。」
"I'm allowed to talk about it now. I wasn't at the time. I always said it was a couple of lovers by the Berlin Wall that prompted the idea. Actually, it was Tony Visconti and his girlfriend. Tony was married at the time. And I could never say who it was (laughs). But I can now say that the lovers were Tony and a German girl that he'd met whilst we were in Berlin. I did ask his permission if I could say that. I think possibly the marriage was in the last few months, and it was very touching because I could see that Tony was very much in love with this girl, and it was that relationship which sort of motivated the song."

(余談)

この曲の背景については,当時BowieがレコーディングをしていたHansaスタジオの窓から見えた恋人達をモデルにしたという話が定説だったようですが,流石にマニアの世界は奥深い。ファンの声のなかに「自分はその同じスタジオにレコーディングに行ったけど,そこからベルリンの壁は見えない」というものがあって個人的に感動しました。こういう鋭い指摘は余程この曲に思い入れがないとできないからです。是非ともその方に直接お目にかかり,詳しくお話を伺いたいところです。

この曲より長いヴァージョンもあるのですが,ヴィデオが短い方を採用しているのでそちらに合わせました。

4 件のコメント:

  1. vestige様、おはようございます。

    数ヶ月前にこちらのサイトを知ってから(師匠のPayphoneだったと思うのですが)、こんなにセンスの良い訳をされる方がいるのかと驚き、かなり虜になってしまいました。
    リード文からわくわくしながら曲を聞き(妹様、ご提案ありがとうございます)、すばらしい訳を拝見してからホソクでうなり、ヨダンにギャフンと(泣いたり笑ったり大変です)やられています。

    これは最初から拝見しなくてはと、アーカイブを一周させていただきました。
    あと一曲、あと一曲と、気づいたら窓が白んできたのも何度もあります。
    英語詞がご厚意であることも知り、感謝するとともに、vestige様がご紹介くださった曲は、皆様と同じく私も微力ですが貢献させていただいております。(素晴らしい曲が多いので、リストがたまっていく一方です.、あ、Shatteredはすぐに入れた1曲です。共和国も即。)

    David Bowieは私の中で特別な人で、まさにヒーロー、且つこの曲が大好きで、大切です。
    まさか訳していただいているとは思わず、とてもうれしく、また御礼も申し上げたくこちらにコメントをさせていただきました。

    長くなりまして申し訳ありません。
    これからも、応援しております。くれぐれも御体ご自愛くださいませ。
    (Twitterはしないので、別館はPCにて拝見させていただいております。)

    余談:
    ただ私の中で変化があり、師匠は胸にAdamと刺繍のあるボウリングシャツを着ており、Rihannaはニッコリと備長炭を持ち、Usherはエロいお姉さん満載の選挙カーに乗っております。。。千代田生命も狐もColdplayの花&傘も大爆笑でした。。。虚心て難しいですね。。。
    Keiks

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    1. コメントありがとうございます。私もKeiks様同様,虚心になることの難しさを日々感じております。選挙カーの演説ではよく「〇〇に仕事をさせてやってください」というセリフを耳にするのですが,その点に関して言えば,Usherはもう十分過ぎるほど「仕事」はしているものと思われます。したがってこのまま突っ走って「過労死」してしまうよりも,むしろこの辺りで「仕事」のペースを落とした方がいいのではないかと個人的には思ったりするのですが,そうは言ってもあちらにはあちらのご事情がおありなのかもしれません(意味不明)。

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  2. デビッドボウイが亡くなってしまいましたね

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  3. 通りすがりで恐縮ですが、ボウイの訃報以降、ネット上にある彼の情報を回顧しつつ、このページにたどりつきました。当時のロッキングオン誌に掲載されていた岩谷宏氏の訳を思い出しつつ、ベルリンの壁の意味が後日談を伺う中で、別の側面を持っていることに、ちょっとビックリ。
    改めて、彼の楽曲の多面性を思い知らされました。合掌。

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