2013年4月24日水曜日

Jolene ドリー・パートン (Dolly Parton)

先日投稿したI Will Always Love Youからの流れです。「あの人の寝言に出てくるの」という箇所から察するに,現在主人公の置かれている状況は次のようなものでしょう。
彼女と恋人とが仲良く幸せに暮らしていたところ,ある日このジョリンという名前のやたらに魅力的な「魔性の女」が突然現れ,恋人がそちらに惹かれていく(あるいは主人公を裏切る)。主人公は,自分が到底ジョリンには敵わないとわかっているので,彼女に恋人を奪わないでくれと必死に頼んでいる。
主人公には気の毒ですが,ジョリンに頼んでも無駄なような気がします。いずれにしろ彼女(ジョリン)は自分の好きなようにしますね。
"I Will Always Love You" brought me to this song.  Considering the line, "He talks about you in his sleep", the situation which the protagonist is currently in is like this;
Her boyfriend and she live together in peace and harmony.  One day, an extremely attractive girl or femme fatale named Jolene comes into their lives out of nowhere and he starts falling for her (or cheats on the protagonist).  The protagonist knows she's no rival to Jolene and desperately asks not to take her love away from her.
I feel very sorry for the protagonist but it doesn't seem to work with Jolene.  She will do whatever she likes anyway.
Jolene  (Dolly Parton)
Jolene, Jolene, Jolene, Jolene
I'm begging of you please don't take my man
Jolene, Jolene, Jolene, Jolene
Please don't take him just because you can
Your beauty is beyond compare
With flaming locks of auburn hair
With ivory skin and eyes of emerald green

Your smile is like a breath of spring
Your voice is soft like summer rain
And I cannot compete with you, Jolene

He talks about you in his sleep
There's nothing I can do to keep
From crying when he calls your name, Jolene

And I can easily understand
How you could easily take my man
But you don't know what he means to me, Jolene

Jolene, Jolene, Jolene, Jolene
I'm begging of you please don't take my man
Jolene, Jolene, Jolene, Jolene
Please don't take him just because you can

You could have your choice of men
But I could never love again
He's the only one for me, Jolene

I had to have this talk with you
My happiness depends on you
And whatever you decide to do, Jolene

Jolene, Jolene, Jolene, Jolene
I'm begging of you please don't take my man
Jolene, Jolene, Jolene, Jolene
Please don't take him even though you can
Jolene, Jolene

ジョリン,ねえジョリン
お願いだから,あの人を取らないで
ジョリーン,聞いてよジョリン
頼むから,あの人を面白半分に誘ったりしないで
見た目じゃ勝負にならないの
その赤味を帯びた茶色の髪と
白い肌に輝く,エメラルドグリーンの瞳
敵うわけないってわかってる

笑うとまるで春が来たような感じがするし
声だって,夏の雨みたいにしっとりとして温かい
とてもじゃないけど相手にならない

あの人の寝言に出てくるの
だからどんなに必死に頑張っても
涙が溢れて止まらなくなる
ベッドで名前を耳にするたび

そんなのすぐにわかることよ
その気になれば,あの人の心を奪うことくらい
なんてことないことだって
だけどその程度のあの人を大切にしてる人がここにいる

ジョリン,ねえジョリン
お願いだから,あの人を取らないで
ジョリーン,聞いてよジョリン
頼むから,あの人を面白半分に誘ったりしないで

別にあの人でなくたって
望めばいくらでも相手はいるでしょ?
だけど他の人はそうじゃないの
一生に一度の恋だったし
たった一人の人なのよ

こうやってちゃんと話しておけばよかった
だけどそうしなかったから
自分の幸せなのに自分で決められなくて
その人の出方で決まっちゃう*

ジョリン,ねえジョリン
お願いだから,あの人を取らないで
ジョリン,聞いてよジョリン
頼むから,あの人を面白半分に誘ったりしないで

(補足)

地味に難しい曲でした。ただ歌詞自体が難しいわけではありません。大変良く出来た歌詞なので,非常にわかりやすく,日本語にするのは決して難しくないばかりか,むしろ容易と言ってもいい曲です。

では一体何が難しかったかというと二人称の省略です。というのも,二人称の代名詞で「お前」は比較的日常生活で耳にするものの「あなた」はあまり耳にする機会がないような気がするためです。

この訳文も「あなた」を使えば造作もなく出来たのですが,それを省いてなおかつ意味の通る日本語にするのに思いの外苦労しました。

また,私は英語の流れに沿って訳文を作っています。したがってまだ該当する英語部分が出ていない箇所ではそれに対応する訳語を使いません。このため,この曲の以下の部分で引っかかりました。

He talks about you in his sleep
There's nothing I can do to keep
From crying when he calls your name, Jolene

直訳すれば,

寝ている間にあの人があなたの寝言をいったの
あの人があなたの名前を呼ぶと
そのたびにどうしても私は泣いてしまう

ですが,これでは2番目と3番目の文章の順序が入れ替わってしまいます。これを一体どうすればいいのか。

実際に訳してみると「あなた」を使わず,英語の流れに沿ってこの曲を和訳するのは思った以上に骨の折れる作業であることがわかるはずです。

(余談)

この曲,聴いているとなんとなくジョリンが悪いように思えてくるのですが,実際には主人公の恋人が勝手に妄想しているだけで,ジョリン自身にはそんな気はないのかもしれません。

以前にどこかの余談でも書きましたが,大学の知り合いにこういう女性がいて,彼女自身は全くそんな気はないのに,周囲が次々と「殺られていく」のを目の当たりにした経験があります。

ガイシャに聞くと,潤んだ目でじっと見つめられるので「ひょっとして!」と思うらしいのですが,実は単に目が悪かっただけというのが真相だったりします。関係のない第三者から見れば,それなりに楽しめる点もないではないですが,当事者にとっては色んな意味で大変なのかもしれません。

7 件のコメント:

  1. 半年ほど前から拝見させていただいておりますが、初めてコメントいたします(お忙しいそうな時にすみません。)。
    vestige様とはどうも音楽の好みが合うなぁと勝手に思っていたのですが、まさかJoleneを取り上げていただけるとは。
    日本の(若い)人にはほぼ知られていないであろうDolly Partonですがカントリー界では大スターですね。見た目がド派手すぎてNicki Minajとかぶりますが、I Will Always Love Youやこの曲を聞くと、ものすごく才能のある人なんだと気づかされます。

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    1. コメント並びにお気遣いありがとうございます。Googleでイメージ検索をかけると,派手&年齢不詳の画像が多数登場して,一瞬色物っぽく思えるのですが,I Will Always Love Youといい,この曲といい大変な才能の持ち主です。
      さて,別館(twitter)でも余談を展開しております。まだおいでになっていなければ,お時間があればそちらへも。お待ちしております。

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  2. マイリー・サイラスがカバーしているのを聞いて初めてこの曲を知りました。
     Dolly Partonという名前は知りませんでしたが、「ハンナ・モンタナ」に出ていたので顔だけ知っている若い人も多いかもしれません!実際13歳の私も「ハンナ・モンタナ」を見ていたんで知ってます。
       歌詞は切ないですね・・・ 何もしなくても目を奪う人は悔しいけどいますから泣
     やはり意味が分かるとさらに好きになりますね! これからも楽しみにしてマース
     

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    1. すませんw love adamですww

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    2. コメントありがとうございます。ハンナ・モンタナは何度か見ましたが,そこにDolly Partonが出ていたとは存じませんでした。彼女(Dolly Parton)の曲は他にも2曲取り上げておりますので,お時間があればそちらもご覧ください。

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  3. ほんとに幅広く翻訳しているんですね
    こんなものの訳まであって、ついついコメントしてしまいました。。。

    15年近く洋楽ロックやポップの翻訳で何度も何度もお世話になっていますが、まだまだ現役のようで、今でもいろいろな曲の検索で出てくるのが毎回懐かしく、とても嬉いです。

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    1. コメント並びに温かいお言葉ありがとうございます。ここ数年多忙を極めており匿名の方にはお返事を差し上げられませんでしたがようやく再開できるようになりました。
      こちらを初めて間もない頃,あの有名な「エンダー♪」は実はカヴァーで,原曲はDolly Partonのものであることを知り,まるで「息をするように曲を作る」彼女の才能に圧倒されて,代表曲と言われるものをこれまでいくつか和訳してきましたが,これもそのなかのひとつです。
      曲の選択がバラバラで悪く言えば節操のない当ブログですが,よく言えば博愛主義ともいえるのではないかと自分では思っております。
      できればどのようなものでも結構ですので何かお名前をお知らせくださると大変に助かります。拙訳がお役に立てたとすればなによりです。

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