2014年9月2日火曜日

Street Spirit (Fade Out) レディオヘッド (Radiohead)

この曲に合わせて,ダンサー2人が独特で息をのむほど魅惑的なダンスを披露するヴィデオを見ました。確かに2人のダンスは信じられないほど素晴らしく,私も非常に感動したのですが,それよりも印象に残ったのがこの曲で,ある意味催眠術にかかったようになりました。悲しいと同時に大変美しいこの曲ですが,その時はRadioheadのものであることしかわからず,ネットで検索してやっと見つけました。
I watched a video in which two dancers were performing breathtakingly unique and fascinating dance to this song.  (See the second video.)  Yes, their dance was incredibly captivating and I was hugely impressed with it.  That's not, however,  what impressed me most.  I was sort of mesmerized by the music.  The song is sad yet very beautiful.  At that time all I knew was it's a Radiohead song.  So I searched online and finally figure out this was the song.
Street Spirit (Fade Out)  (Radiohead)
(Dance Performance)
Rows of houses, all bearing down on me
I can feel their blue hands touching me
All these things into position
All these things are one to swallow whole
And fade out again and fade out

This machine will, will not communicate
These thoughts and the strain I am under
Be a world child, form a circle
Before we all go under
And fade out again and fade out again

Cracked eggs, dead birds
Scream as they fight for life
I can feel death, can see its beady eyes
All these things into position
All these things are one to swallow whole
And fade out again and fade out again

Immerse your soul in love
IMMERSE YOUR SOUL IN LOVE

並んで建ってる家までが
自分に重くのしかかる
そこからその青い手が
こっちにいくつも伸びて来て
触ってくるのがわかるんだ
なにもかも
元のところへ戻ってく
ひとつひとつをバラバラに
することなんてできなくて
なにもかもが一緒になって
結局また消えていく

時間はまるで「機械」のように
規則正しく進んでいく
ああいうことが心に浮かんで
それが重荷になってても
そんなことにはお構いなしだ
だから世界に出て行って
他の仲間と繋がっておけ
みんな誰でも最後には
同じ目に遭うんだし
消えて行ってしまうんだから

割れた卵と死んだ鳥
みんなが生き残ろうとして
必死に悲鳴を上げている
だけど死神が
そばにいるのがわかるんだ
そいつの冷たい目も見える
なにもかも
元のところへ戻ってく
ひとつひとつをバラバラに
することなんてできなくて
なにもかもが一緒になって
結局また消えていく

だから今のうちに
愛ってやつに浸っておけよ
愛ってやつにどっぷりと

(余談)

上記の訳文はほとんど私が個人的に解釈したものですが,この曲の核心については,そもそもRadioheadのThom Yorke自身が自分にもわからないと言っているので,いきおいそうならざるを得ないでしょう。彼によれば,自分はこの曲を書いたのではなく,ただのメッセンジャー,いわば「生物的な触媒」として,この曲に選ばれただけだそうで,歌詞は短いストーリや視覚イメージを集めたものに過ぎないそうです。

実はこういう話はさほど珍しいわけではなく,かのミケランジェロは「その大理石のなかに天使がいるのがわかったので,石を削って彼を自由にした (I saw the angel in the marble and carved until I set him free.)」と言ったという話が有名です。

仮にこのThom Yorkeの言葉が真実であるとすると,彼はいわば恐山のイタコ状態だったわけであり,したがって,この曲の制作過程は,ちょうどマリリン・モンローが降りてきたイタコが「わだすはマリリン・モンロ」とやるのとさほど違わないのかもしれません。

それはともかく,こういう曲を聴くと否応なく「言葉の限界」というものを感じてしまいます。まるで全く光の差してこない長いトンネルを歩いているような内容で,本当に救いのない,歌詞を読んでいるだけで鬱になってしまいそうな内容なのですが,これほど暗く,救いようのない歌詞でありながら,あの美しいメロディに引きつけられて,また聴きたいと思ってしまうということは「言葉」と「音」では圧倒的に「音」の方に軍配が上がるということでしょう。

だとすれば,かなり前向きで内容がある歌詞であるにもかかわらず,ポップやR&Bなどに比べて,デス・メタルがいまひとつメジャーなジャンルになりきれないのも,やはりあの独特の歌唱法に原因があるのかもしれません。

6 件のコメント:

  1. お久しぶりのRadioheadですね。
    street spiritもとても暗い雰囲気の歌の中でトムヨークの歌声が時にそれを助長して時には救いのようにも聞こえます。歌詞を読んだのは初めてですけど、抽象的ですね。vestigeさんも述べてるように、アーティスト自身がわかっていないのでしょうがないですけど。
    linkin parkのほうで見ましたが、三周年おめでとうございます。
    今後もよろしくお願いします。がんばってください。

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    1. コメント並びに温かいお言葉ありがとうございます。大学の夏休みもそろそろ終わりに近づいているのではないでしょうか?お元気そうでなによりです。
      さて,この曲の美しさに大変心を動かされた私ですが,Thom Yorkeと聞くと,自動的にこちらではなくあちらの「ダンス」が再生されてしまう点が目下の悩みです。

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  2. こんにちは、こちらのサイトをお気に入りに登録してよく利用させてもらっています。
    このサイトのおかげで洋楽への興味が広がり、色々な名曲に出会うことができたので、感謝しています。
    今回の曲名なのですが、Street Spirit (Fall Out)ではなくStreet Spirit (Fade Out)かと思うのですが、どうでしょうか。私の勘違いでしたらすみません。

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    1. コメント並びにお知らせありがとうございます。タイトルを間違うなど言語道断ですが,ご指摘くださったお蔭で無事修正することができました。どうもありがとうございました。

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  3. 以下の部分、
    そういう意味だったのか...
    トムヨークを理解している
    あなた様にしか訳せない訳です。

    みんなが生き残ろうとして
    必死に悲鳴を上げている
    だけど死神が
    そばにいるのがわかるんだ

    なにもかもが一緒になって
    結局また消えていく

    だから今のうちに
    愛ってやつに浸っておけよ
    愛ってやつにどっぷりと

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    1. コメントありがとうございます。畏れ多くもあのThom Yorkeを理解できたと思ったことなどただの一度もございませんが,monmonjjj様のお役に立てたとすればなによりです。

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