2015年1月4日日曜日

Blackbird ザ・ビートルズ (The Beatles)

「黒(black)」という言葉が否定的なイメージを持つ言語は少なくありません。そのためこの曲は死や不安や邪悪な霊などの不吉なものを表しているのだとずっと思っていたのですが,実際にはアメリカの公民権運動を支持する曲でした。この曲を書いたPaul McCartneyがかつて説明したところによると,スコットランドに滞在していた折,公民権運動に呼応するものとしてこの曲を作ったそうです。またイギリスでは「バード(bird)」という言葉は女性を表すため,この曲のブラックバードは,アフリカ系アメリカ人女性を表しているということです。
The word 'black' often represents something negative in English.  So I've associated this song with  things rather ominous, such as death, fear or evil spirits.  Actually, it's a homage to the Civil Rights Movement in the US.  Paul McCartney who wrote the song once explained he wrote it in Scotland in response to the movement during 1960s.  He also said the word 'bird' was a slang for a 'girl' in the UK and therefore 'blackbird' represented an African American girl/woman.
Blackbird  (The Beatles)
Blackbird singing in the dead of night
Take these broken wings and learn to fly
All your life
You were only waiting for this moment to arise

Blackbird singing in the dead of night
Take these sunken eyes and learn to see
All your life
You were only waiting for this moment to be free

Blackbird fly, blackbird fly
Into the light of the dark black night

Blackbird fly, blackbird fly
Into the light of the dark black night

Blackbird singing in the dead of night
Take these broken wings and learn to fly
All your life
You were only waiting for this moment to arise
You were only waiting for this moment to arise
You were only waiting for this moment to arise

真夜中に
ブラックバードが鳴いている
翼は折れて傷ついてるけど
これから飛び方を覚えろよ
生まれた時から今までずっと
こんな風に行動を
起こすチャンスが巡ってくるのを
お前は待ってたんだから

真夜中に
ブラックバードが鳴いている
その目は疲れてくぼんでるけど
やっとものが見えてきた
生まれた時から今までずっと
自由になれる時が来るのを
お前は待ってたんだから

さあ飛んで行け,ブラックバード
暗い闇夜の彼方から
差し込む光の中を目がけて

さあ飛んで行け,ブラックバード
暗い闇夜の彼方から
差し込む光の中を目がけて

真夜中に
ブラックバードが鳴いている
翼は折れて傷ついてるけど
これから飛び方を覚えろよ
生まれた時から今までずっと
こんな風に行動を
起こすチャンスが巡ってくるのを
お前は待ってたんだから
まさに今がその時で
この瞬間を待ってたんだよ

(余談)

「ブラック・バード(黒い鳥)」と聞いて,私を含め,一般の日本人が真っ先に連想するのはカラスでしょう。カラスと言えば,古来よりの「死」「不吉」「墓場」などに加え,最近では「ゴミ捨て場」などロクなイメージと結びついていませんが,先日ふとあの有名な童謡の「七つの子」がカラスを歌ったものであることに(今更ながらに)気が付きました。

烏 なぜ啼くの
烏は山に
可愛い七つの
子があるからよ
可愛 可愛と
烏は啼くの
可愛 可愛と
啼くんだよ
山の古巣へ
行つて見て御覧
丸い眼をした
いい子だよ

「不吉で禍々しくて嫌われ者」のはずのカラスに注がれる,作者の野口雨情の優しい眼差し。
そしてあのカラスに「親子の情愛」を見て取り,私にはうるさいとしか思えないあのカラスの鳴き声を「可愛可愛」と表現するその感性の美しさ。

物事を通常のものとは別の視点から見ることができるかどうかが,広い意味でアーティストとしての資質なのかもしれません。

4 件のコメント:

  1. はじめまして。いつもこちらのサイト利用させてもらってます。
    前から知っていたけど、黒人女性、公民権運動と関連があったとは…
    そういうことを知って聴くとまた感じ方が変わりますね。
    温かみがある曲だな。。。。

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    1. コメントありがとうございます。PUCCHO様と同じく,この曲について調べるまでは,聞こえてくるblackbirdという単語のイメージだけでもっと強面な曲だと思っていたのですが,背景を知ってからは全く印象が変わりました。

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  2. 「Blackbird」は英国ではクロウタドリという鳴き声の美しい鳥として認識されています(曲中の鳴き声もそれです)。日本にもクロツグミという似た鳥がいるのですが、日本人が真っ先に思い浮かべるのはやはりカラスですね。同じ曲でも文化によって随分違って聴こえていると思うと面白いです。

    http://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%AF%E3%83%AD%E3%82%A6%E3%82%BF%E3%83%89%E3%83%AA

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    1. コメントありがとうございます。この曲に限らずThe Beatlesの曲は耳に馴染みすぎて,あまり歌詞の意味や背景に思いが及ばないものですが,改めて調べてみると意外な事に気付かされることも少なくなく,まさに温故知新といったところであるように思われます。

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