2016年7月18日月曜日

Superstar カーペンターズ (The Carpenters)

一語違いで大違いという場合があります。さほど難解ではない曲なので,最初にこの曲を聞いた時から,私の頭の中では次のようなストーリーが出来上がっていました:主人公はアメリカの田舎町にあるバーだかレストランだかで働くウェイトレス。彼女はそこに出演していた相手と出会い恋に落ちる。その後LAだかNYだかといった都会にスターを夢見て出て行った相手を,何年も彼の言葉だけを信じて待ち続ける主人公・・・。とまあこんな風に考えていたのですが,厳密に言うとそれは間違いでした。
Sometimes just one word makes a difference.  When I first heard this song which was not very hard to understand, I thought like this: The narrator was a waitress in a bar or restaurant in a small town in the U.S.  She met the second person, a guy who came to perform there and fell in love with him.  Later he left for a big city such as L.A. or New York hoping to stand out in the music industry.  Over years, she's waiting for him believing in his words...That's what I thought but technically I was wrong.
Superstar  (The Carpenters)
Long ago and oh so far away
I fell in love with you before the second show
Your guitar, it sounds so sweet and clear
But you're not really here
It's just the radio

[Chorus]
Don't you remember you told me you loved me baby
You said you'd be coming back this way again baby
Baby, baby, baby, baby, oh, baby, I love you I really do
Loneliness is a such a sad affair
And I can hardly wait to be with you again

What to say to make you come again
Come back to me again
And play your sad guitar

[Chorus x2]

あれから随分時間が経って
今はこんなに離れてるけど
あの当時,次のステージの始まる前に
あの人と恋に落ちたの
切なくて透き通ったギターの音が
今も聞こえてくるけれど
あの人はもうここにはいない
ラジオからただ聞こえてきてるだけ

[Chorus]
忘れちゃったの?ねえベイビイ
お前のことが好きだってそう言ってくれたよね?
きっと戻って来るからなってそう言ってくれたでしょ?
ねえベイビイわかってよ
アタシの気持ちは本物よ
ひとりぼっちで生きてくなんて
ちょっと悲し過ぎるから
どうしてももう一度2人で一緒に暮らしたい

一体何を言ってあげたら
またここに戻ってくるの?
ねえお願いここに来て
あの切ないギターの音を
もう一度聴かせてよ

(余談)

聞くところによると,これは元々は,Delaney & Bonnieというデュオが書いた「Groupie (Superstar)」曲だったそうで,カヴァーするに当たり「And I can hardly wait to sleep with you again」という箇所を,イメージにあわないからとRichard Carpenterが「And I can hardly wait to be with you again」に変えたのだとか。

タイトルといい,上記の歌詞といい,たった一語ですがその違いは無視できません。なぜなら,オリジナルの歌詞でオリジナルのタイトルだった場合,「あの人と恋に落ちたの (I fell in love with you before the second show)」の意味が大きく違ってくるからです。どこがどうとは申しませんが,夏休みの課題図書には到底なりえない,一言で言えば「寸暇を惜しんで」ということでしょうか。

そう言われてみれば,最初にこの曲を聞いた時,相手がなぜ「ヴォーカル」ではなく「ギタリスト」なのかが疑問でした。スターを目指して都会へ出て行く場合,通常ならばその人物が目指すのは,シンガー・ソングライターの場合を含めて「ヴォーカル」でしょう。そもそも場末のバーだかレストランだかに「ギタリスト」がひとりで出演するというのも考えにくい。また仮に相手がバンドの一員だったとして,そんな彼を取り上げて果たして「スーパー・スター」と呼ぶのか?

Karen Carpenterの歌声と切ないこの曲調にすっかり騙されてしまった私ですが,たった一語を変えただけで,オリジナルとは全く別の物語を作り上げてしまったRichard Carpneterの凄腕に驚かされました。

最後に付け加えておくと,この情報を全く知らなかったにもかかわらず,妹は開口一番「ストーカーじゃん」と一蹴しました。・・・ひょっとすると超能力者なのかもしれません。

3 件のコメント:

  1. いつも拝見しています。
    この楽器のスーパースターとはエリッククラプトンのことでこの楽曲は彼の追っかけ(グルーピー)について歌った楽曲だそうです

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    1. コメント並びに温かいお言葉ありがとうございます。お話の件は存じませんでしたが,確かにそう考えれば「あの人」が「ギタリスト」で尚且つ「スーパースター」なのも納得です。

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  2. こんにちは。いつも楽しく拝見しています。
    私はこの歌の主人公の女性はものすごい妄想癖の持ち主で、会ったことももちろん話したこともないスーパースターと恋に落ちたと思い込んでいるのかなと思っていました。
    もちろん「愛しているって言ってくれたじゃない。」の部分は、彼の歌の歌詞が自分にだけ向けられているとおもいこんだものです。

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