2013年1月22日火曜日

Casimir Pulaski Day スフィアン・スティーヴンス (Sufjan Stevens)

この曲の歌詞の中でも「シャツの裾はおさまってたけど,靴ひもはほどけたままだった/シャツの裾だけはちゃんとしまったけど,靴の紐も結べないまま」と「何もかも奪っていったんだ」の2箇所が特に素晴らしい。大変美しい曲で,出会えてよかったと思います。おそらくもっとも悲しい部類に入る曲ですが,同時にこれまで聴いた中でももっとも美しい曲でもあります。
題名のCasimir Pulaski Dayですが,Wikipediaによると「Casimir Pulaski.を記念するイリノイ州の祝日で,3月の第一月曜日に当たる。Casimir Pulaski.は,アメリカ独立戦争において,米軍に多大な貢献をしたことで知られている」となっています。
I believe the best part of the lyrics are "With your shirt tucked in and your shoes untied / With my shirt tucked in and my shoes untied" and "And He takes and He takes and He takes."  Such a beautiful song.  I'm so lucky to know it.  Probably this is one of the saddest songs I've ever heard but definitely one of the most beautiful songs as well. 
As for the song title, Casimir Pulaski Day, in Wikipedia it goes like this: "is a holiday observed in Illinois on the first Monday of every March in memory of Casimir Pulaski...........He is known for his contribution to the US military in the American Revolution."
Casimir Pulaski Day  (Sufjan Stevens)
Goldenrod and the 4H stone
The things I brought you when I found out
You had cancer of the bone

Your father cried on the telephone
And he drove his car into the Navy yard
Just to prove that he was sorry

In the morning, through the window shade
When the light pressed up against your shoulderblade
I could see what you were reading

All the glory that the Lord has made
And the complications you could do without
When I kissed you on the mouth

Tuesday night at the Bible study
We lift our hands and pray over your body
But nothing ever happens

I remember at Michael's house
In the living room when you kissed my neck
And I almost touched your blouse

In the morning at the top of the stairs
When your father found out what we did that night
And you told me you were scared

All the glory when you ran outside
With your shirt tucked in and your shoes untied
And you told me not to follow you

Sunday night when I cleaned the house
I found the card where you wrote it out
With the pictures of you mother

On the floor at the great divide
With my shirt tucked in and my shoes untied
I am crying in the bathroom

In the morning when you finally go
And the nurse runs in with her head hung low
And the cardinal hits the window

In the morning in the winter shade
On the first of March, on the holiday
I thought I saw you breathing

All the glory that the Lord has made
And the complications when I see His face
In the morning in the window

All the glory when He took our place
But He took my shoulders and He shook my face
And He takes and He takes and He takes 

キリン草と4Hストーンを*
持ってそこへ行った日に
骨ガンになったって聞いたんだ

お父さんも電話口で泣いてたよ
海軍基地まで車を飛ばしたけど
だからって何も変わらなくて 
悔しい思いをしただけだった

午前中,窓の日よけの向こうから
朝の光が差してきて
それが肩甲骨に反射して
何を読んでるのかわかったよ

神の言う誇らしい気持ちにもなったけど
その他の邪魔な気持ちも襲って来たよ
その唇にキスした時には

火曜日の夜,聖書研究会に出席した
出席者みんなで両手を上に挙げて
その体の前で祈ったけど
結局何も起こらなかった

マイケルの家であったことを思い出す
リビングで首にキスされた時
そのブラウスに思わず手をかけたくなった

朝になり,階段の一番上で目が覚めた
その夜のことがお父さんにわかって
不安だって言ってたよね

神に祈ったよ
君が家の外に走り出た時
シャツの裾はおさまってたけど,靴ひもはほどけたままだった
ついてこないでと言われたね

日曜の夜,家を片付けている時に
君の書いた1枚のカードが見つかった
お母さんの絵が描いてあった

微笑ましい気持ちと切ない気持ち
相容れない2つの気持ちがないまぜになって
シャツの裾だけはちゃんとしまったけど
靴の紐も結べないまま
その時いたバスルームで大泣きした

君の旅立つ日がとうとうやって来た
その朝,うつむいたまま,看護師さんが入って来た時
窓に赤い小鳥が激突した

まだ冬の気配の残る月曜の朝
3月1日,Casimir Pulaski記念日だった
まだ息してるって思えたよ

神の言う誇らしい気持ちにもなったけど
余計な気持ちも襲って来た
その日の朝,窓ガラスに神の姿が映った時は

昔身代わりになってくれたことには感謝する **
だけど,神はこの肩を掴んで,現実を目の前に突きつけた
何もかも奪っていったんだ

(補足)

* 4Hストーンが何であるかはネイティヴにもわかっていません。

**  身代わりになった(took our place)ということで,このHeは(大文字ですし)おそらくキリストのことであろうというのが大方の味方です。

(余談)

すごい曲です。このSufjan Stevensというアーティスト,クリスチャン・シンガーと認識されていることも多いようですが,私にはそうは思えません。とてもじゃないが,神を称えているようには見えず,どちらかと言えば,Death Cab For CutieのWhat Sarah SaidやI Will Follow You Into The Darkを思い出します。

とにかく描写力がすごい。特にリード文でも述べたように「シャツの裾はおさまってたけど,靴ひもはほどけたままだった/シャツの裾だけはちゃんとしまったけど,靴の紐も結べないまま」の部分が圧巻です。

一体どこがすごいのかと言うと,混乱したり慌てたりしている場合,それを悟られないようきちんと見せようとします。その際,シャツの裾は目につきやすいので,パンツ(やスカート)に入れるのですが,靴の紐はそのままということが多い。しかし,どちらが危険かというと,転んで怪我をする可能性があるぶんだけ,靴紐を結ばない方が危険です。

冷静な時であれば,そんなことには容易に気づけるのですが,主人公達はそれさえわからなくなるほど混乱しているわけです。その感じが非常に良く出ています。

なろうことなら笑える余談を書きたいのですが,こんな曲の回にそれは到底できそうにありません。次回以降に繰り越しということでお願いいたします。


2 件のコメント:

  1. 淡々としたウクレレ(でしょうか)の演奏もきれいですが、なんといっても、この詩の美しさ、です。私が特に好きなのは、「午前中,窓の日よけの向こうから朝の光が差してきて それが肩甲骨に反射して 何を読んでるのかわかったよ」というこの情景。絵のように目の前に浮かびあがってきます。それから、カードが見つかる連。「今ここにいない人」が書いた文字や絵などを偶然見つけた時の気もちには覚えがあります。この詩の状況では、これはたまらないな、と思いながら、次の連を読むと、残念ながらat the great divideが微妙にわからない。でも、「微笑ましい気持ちと切ない気持ち 相容れない2つの気持ちがないまぜになって シャツの裾だけはちゃんとしまったけど 靴の紐も結べないまま その時いたバスルームで大泣きした」この和訳は素晴らしいですね。泣いてしまいます。「シャツの裾」と「靴の紐」については、繰り返しもありますし、これでいったい何を伝えたいのだろう、と心にひっかかってきますが、余談で書いておられた説に、なるほどと思います。この方はクリスチャンということですが、クリスチャンであっても、大切な人、その人との時間、大切なものを「何もかも奪っていった」その不条理が受け入れられなくて、神様を問いたださずにはいられないのだと思うと、それがいっそう、心を打つように思いました。

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます。本当はこの曲は3月4日に投稿したかったのですが,例によって他の準備が間に合わず,早々に公開してしまったことが悔やまれます。
      リード文でも申し上げた通り,歌詞の描写力が素晴らしい。まるで一本の映画を見るように眼前に情景が迫ってきます。歌詞の内容といい,曲調といい,決してヒットチャートに登場するような曲ではありませんが,一度聴いたら忘れられない名曲だと思います。

      削除