2013年3月9日土曜日

In 20-0-3 ジョー・ジャクソン (Joe Jackson)

愛煙家として有名なJoe Jacksonですが,Wikipediaによれば,彼は当時住んでいたニューヨーク市で2003年に(バーやレストラン等での喫煙を禁じる)禁煙条例が施行されたことに抗議してこの曲を書いたのだとか。
それはともかく,私自身はタバコを吸わないので,以前はUKやUSのアーティストもタバコを吸わないとなぜか思い込んでいました。このため,YouTubeのヴィデオでJames Morrisonが喫煙しているのを見た時や,昨年3月にサインを貰うためにEd Sheeranのそばに立った時,彼からタバコの匂いがした時は驚きました。しかもEd Sheeranの場合は,自分の曲の中でも自身の喫煙や飲酒に触れています。.
これは日本のポップ・アーティストなら考えにくいことでしょう。別に彼らが非喫煙者だと言っているわけではありません。無論,喫煙者はいると思いますが,これほど大っぴらに喫煙することはないような気がします。
Joe Jackson is well known for his love of smoking.  He wrote this song in protest against the smoking ban in New York City where he lived then in 2003, sent the song to Michael Bloomberg. the mayor of New York City at that time and moved back to the UK.
Anyway, I don't smoke and before somehow believed artists in the UK and US don't smoke.  So when I saw a video on YouTube in which James Morrison's smoking, I was pretty surprised.  I was also surprised to find Ed Sheeran smelled of smoke when standing close to him for his autograph last March.  Furthermore, Ed Sheeran often mentions his smoking as well as drinking in his songs.
That's not very likely for pop artists in Japan.  I'm not saying they don't smoke.  Yes, some of them do but not that openly.
In 20-0-3 (Joe Jackson)
In 20-0-3
A man drank a whisky
And then a martini or three, maybe four
He climbed in his car
And roared off at eighty 
And that night he checked out
Along with three more
So they cleaned up the mess
But they didn't ban cars
And they didn't ban whisky or gin
So do what you want
Or do what they tell you 
It's the land of the free, but don't take it too far 
You can do what you want
You can smash up your car
But in 20-0-3 you can't smoke in a bar

In 20-0-3
A man ate a burger
And then ate another, or two, every day
At last he keeled over
But no one could lift him
And there's millions just like him
And millions to pay
So they issued more warnings
But they didn't ban eating
And they don't ban potatoes or grease
So do what you want
Or do what they tell you 
It's the land of the free, but don't take it too far
You can do what you want
You can live just on lard
But in 20-0-3 you can't smoke in a bar

In 20-0-3
A man joined the army
And soon he got shipped out to fight in Iraq
He got caught in a crossfire
And lost his right arm
But they didn't ban bullets
Or missile attacks
He's on his way home now
And who wants to tell him
He can't have a smoke with his beer?
So do what you want
Or do what they tell you 
It's the land of the free, but don't take it too far 
You can do what you want
You can march off to war
But in 20-0-3 you can't smoke in a bar

2003年のある日の夜
そいつは酒を飲んでいた
ウィスキーにマティーニを3・4杯を引っかけて
とにかく結構な量だった
それからどうにか車に戻って
80マイル(120キロ以上)で飛ばした挙句
事故であえなくあの世行き
おまけに3人も道連れにした
ずいぶん酷い事故だったから
飲酒運転の問題がさんざん取沙汰されたけど
車の運転はまだ認められてるし
ウィスキーやジンだってまだ飲める
だから飲んで運転したいなら
勝手にそうすればいい
それじゃまずいと思うなら,規則通りに飲まなきゃいい 
お前が決めろ 自由の国だ
けど何もかも自分の勝手だなんて思うなよ
好きにしていいことはある
車で突っ込んで粉々になるのが望みなら
やれよ 誰も止めないから
だけどそんなことならできるのに
自由の国だと言ってるくせに
2003年になってから
バーじゃタバコは吸えないなんて
そんなのっておかしいだろ?

2003年のある日のこと
そいつはバーガーを食っていた
一つ食ってはまた次と
それを毎日繰り返し
挙句に太り過ぎでぶっ倒れた
助け起こしてやろうにも,体が重くて持ち上がらない
そんなのがそいつの他にも山ほどいて
そいつらにびっくりするほど金がかかる
だから国も腰を上げて「太り過ぎに注意しろ」って
うるさく釘は刺したけど
それでも「食うな」とは言わないし
ポテトとか脂とか,デブの素にもお咎めなしだ
だからそういうデブの素も
食いたきゃ思う存分食えばいい
それじゃまずいと思うなら,言われた通りに節食しろよ 
お前が決めろ 自由の国だ
けど何もかも自分の勝手だなんて思うなよ
好きにしていいことはある
脂まみれになりたいんなら
やれよ 誰も止めないから
だけどそんなことならできるのに
自由の国だと言ってるくせに
2003年になってから
バーじゃタバコは吸えないなんて
そんなのっておかしいだろ?

2003年のある日のこと
そいつは陸軍に入隊した
やがてイラクに派兵され
そこで銃撃戦に出くわして
不運にも流れ弾に当たった挙句
それで右腕を失った
だけどそんな事故が起こっても
敵を攻撃する時は
今でも銃弾やミサイルを使ってる
ヤツは今地元に向かう途中だけど
そんなヤツに言いたくないだろ?
ビールを飲みつつタバコを吸う
その楽しみがもうないなんて
だから軍に入りたいなら
好きに入隊すればいい
それじゃまずいと思うなら,周りの言うことを聞いてやめておけ 
お前が決めろ 自由の国だ
けど何もかも自分の勝手だなんて思うなよ
好きにしていいことはある
戦場に行きたきゃ行けばいい
やれよ 誰も止めないから
だけどそんなことならできるのに
自由の国だと言ってるくせに
2003年になってから
バーじゃタバコは吸えないなんて
そんなのっておかしいだろ?

(補足)

歌詞に登場する「caught in the cross fire」という表現は,そのまま訳すと「十字砲火を浴びる」と言う意味ですが,実際には,戦地で(主に住民などの戦闘員以外の人間が)巻き添えになって負傷あるいは死亡する場合に使われることが多い表現です。いわゆる「流れ弾に当たって」という感じでしょうか。

また,歌詞中のこの箇所ですが:

やがてイラクに派兵され
そこで銃撃戦に出くわして
不運にも流れ弾に当たった挙句
それで右腕を失った
だけどそんな事故が起こっても
敵を攻撃する時は
今でも銃弾やミサイルを使ってる

仮にJoe Jacksonがこの曲を書いたのが10年後の今年(2013年)であったなら,この箇所はイラクではなく,先日銃乱射事件の起こったSandy Hookになっていたかもしれません。これほど毎年犠牲者が出ているのに,銃規制はしないまま,バーのタバコばかりを規制するという流れになったと思います。

(余談)

リード文でも述べましたが,2003年,ニューヨークのBloomberg市長は,バーやレストランなどの公共施設での全面的な喫煙禁止に踏み切りました。これに激怒したのが「愛煙家」Joe Jacksonです。彼はこの決定に抗議してこの曲を書き,しかもそれを市長に送りつけた後でニューヨークを去り,イギリスに帰国しています。(現在はベルリン在住ということです)。まさに「捨てゼリフ」ってヤツですね。

私自身はタバコを吸わないので,この歌詞の内容には全く賛同できないのですが,歌詞としては,このヤケクソ具合が実に面白い。どこをどう取ってみても「いいがかり」「八つ当たり」でしかないのですが,ここまで一本筋が通った「いいがかり」だとそれはそれで味があります。

ただ喫煙に関して言えば,アメリカの「喫煙許すまじ」的な態度には「なにもそこまで」と思うこともあります。バーやレストランでの全面禁煙にしても,分煙室を作って分煙基準をキッチリ守ればいいことではないでしょうか。なによりこういう「これ以外は一切認めん」という一神教的頑なさは,タバコ同様「百害あって一利なし」のような気がしますね。

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