2014年3月14日金曜日

Hallelujah レナード・コーエン (Leonard Cohen / Jeff Buckley)

タイトルは「ハレルヤ」と輝かしいのですが,この曲にはどことなく物悲しいところがあります。ただ,私よりも音楽について遥かに詳しい友人によると,いい曲にはどこかしら悲しいところがないとダメなんだとか。その時は本当かいと思っていた私でしたが,その後あるアーティストも同じことを言っていたので,どうやらその話は周知の事実なのかもしれません。
ところで,カヴァーに関して言えば,大抵の場合はオリジナルの方が優れているものですが,時にカヴァーがオリジナルを圧倒する場合もあり,それが今回のものだと思います。
Despite its glorious title, Hallelujah, this song sounds somewhat sad.  My friend who knows a lot more about music than me once told me that a good song should sound 'sad' in a way or have a hint of sadness in it.  I was not sure about that at that time but later I found out that an artist also said things to the effect in his interview.  So it may be well-known fact.
As for a cover, the original is better than a cover in most cases.  Every once in a while, however, a cover surpasses the original.  I believe this is the case.      
Hallelujah  (Leonard Cohen / Jeff Buckley)
(Jeff Buckley Cover)
(Michael Henry and Justin Robinett Cover)
Well, I heard there was a secret chord
That David played and it pleased the Lord
But you don't really care for music, do you?
Well it goes like this: the fourth, the fifth
The minor fall and the major lift
The baffled king composing Hallelujah

Hallelujah, Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah

Well, your faith was strong but you needed proof
You saw her bathing on the roof
Her beauty and the moonlight overthrew you
She tied you to her kitchen chair
She broke your throne and she cut your hair
And from your lips she drew the Hallelujah

Hallelujah, Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah

Baby I've been here before
I've seen this room and I've walked this floor
You know, I used to live alone before I knew you
I've seen your flag on the marble arch
And love is not a victory march
It's a cold and it's a broken Hallelujah

Hallelujah, Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah

Well there was a time when you let me know
What's really going on below
But now you never show that to me, do you?
But remember when I moved in you
And the holy dove was moving too
And every breath we drew was Hallelujah

Hallelujah, Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah

Maybe there is a god above
But all I've ever learned from love
Was how to shoot somebody who outdrew you
And it's not a cry that you hear at night
It's not somebody who's seen the light
It's a cold and it's a broken Hallelujah

Hallelujah, Hallelujah
Hallelujah, Hallelujah

ああ,聞いたことあるよ
秘密のコードってのがあって
ダビデがそいつを弾いたところ
サウル王がすごく喜んだって
だけどお前は「音楽」なんて
どうでもいいと思ってるんだろ?
とにかくその秘密のコードってのは
こんな風に進行するんだよ
F, G, そしてAmそれから元に戻ってF  *
(その後で)途方に暮れたダビデ王が **
ハレルヤを作ったんだよ

ハレルヤ,ハレルヤ
ハレルヤ,ハレルヤ

そうだな,お前の信念は固かったけど
それがウソじゃないことを
ちゃんと見せなきゃならなかった
それであいつが屋根の上で
体を洗っているとこを
お前は見てたんだけど
やけにキレイなあいつの姿と
月の光に惑わされて
お前は遂に負けてしまった
そしたらあいつはお前のことを
台所の椅子に縛り付け
その王座を壊して髪を切り
お前に「ハレルヤ」と言わせたんだ

ハレルヤ,ハレルヤ
ハレルヤ,ハレルヤ

ベイビイ,この前もこうだった
この部屋だって覚えてるし
この床も前に歩いた
わかってるだろ?
知り合う前までは
ひとりでも平気だったんだ
大理石で作った
戦いの勝利を祝うアーチの上に
お前の旗が見えてたよ
恋なんて華やかで景気のいいものじゃない
寂しくて悲しい「ハレルヤ」なんだ

ハレルヤ,ハレルヤ
ハレルヤ,ハレルヤ

昔は教えてくれたよな
本当の気持も隠さずに
なのにもう今は
教えるつもりはないんだろ?
だけど忘れないでいてくれよ
お前とやっと結ばれた時
清らかな白いハトが飛び立って
息をするたびに
「ハレルヤ」って気持になったんだ

ハレルヤ,ハレルヤ
ハレルヤ,ハレルヤ

きっと天国ってところには
神様もいるのかもしれないけど
今まで誰かを好きになって
それで身についたことなんて
自分よりイケてるライヴァルを
つぶすやり方くらいのもの
夜になると聞えてくるのは
誰かの泣き声じゃない
悟りを開いたヤツの声でもない
寂しくて悲しい「ハレルヤ」なんだ

ハレルヤ,ハレルヤ
ハレルヤ,ハレルヤ

(補足)
* 実際のコード進行と対応しています
**  旧約聖書サムエル記にあるダビデ王とバテシバ(犬の種類ではありません)のエピソードを踏まえていると思われます。これはダビデ王が人妻に恋して妊娠させた罪を隠すためにその夫を戦地に送って殺したというものです。


(余談)

この曲は歌詞,特に第一連に聖書に触れたと思われる箇所が数箇所あるので,最初のうちは宗教に関する曲なのかと思うのですが,海外の歌詞サイトで様々な解釈を見ると,どうやら「恋というも」がもたらす影響,すなわち「誰かを好きになるとどうなってしまうのか」ということについて歌ったもののする説が主流のようです。

歌詞の中に繰り返し登場する「ハレルヤ」という言葉は,本来は神を賛美する言葉ですが,この中では「I love you」という意味で使われているような気がしますし,実際この部分を「I love you」に置き換えて考えてみると,意外にもかなり筋が通ります。

第二連の前半は,第一連で登場したダビデ王とバテシバのエピソードの続きになっており,後半はおそらくサムソンとデライラのエピソードを踏まえていると思われますが,ただそのエピソードをそのまま持ってきているわけではないようです。

全体を通して見てみると,最初は「恋」について無関心だったのに(you don't really care for music, do you?),ある日ふとしたことから誰かを好きになり(Her beauty and the moonlight overthrew you)夢中になって相手のことしか考えられなくなるが(She tied you to her kitchen chair, She broke your throne and she cut your hair, And from your lips she drew the Hallelujah)付き合うにつれよくある様々な問題に直面し(Baby I've been here before),やがてお互いの気持ちが離れていって(there was a time when you let me know, What's really going on below, But now you never show that to me, do you?),最終的に別れが来るという流れになっているような気がします。

14 件のコメント:

  1.  「歌う」というのは、何なんだろう、と思います。声がのびたり、声量があったり、音程が確かだったり、歌が上手というのにもいろいろあると思うのですが、このJeff Buckleyの歌うこの歌は、本当に特別です。いったいどこが違うんでしょうか。なぜこんなにも切なくじ-んと心に届いてくるのか。なぜこんなにこんなに美しいのか。
     歌が終わった後左側の方のイヤホンから、スタッフらしき人が"wow, great"とつぶやく声が聞こえますが、目の前で聴いたら、それはそう言わざるを得ないだろうと思いました。(返信は結構です)

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  2. いつも楽しく拝見しております。わたしはレナード・コーエン版も、独特の乾いた喜びが感じられて、大好きです。

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    1. そのお名前に相応しい味のあるコメント並びに温かいお言葉をありがとうございました。

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  3. この素晴らしい曲を訳してありがとうございます!!でも小さい意味の間違いが見つけました。”お前と暮らし始めた頃”が間違いで”お前とエッチした頃”が合っています。英語の歌詞の言い方の方が私が書いたのより綺麗ですが。下手な日本語ですみません。
    move in with you = お前と暮らし始める
    move in you = お前の膣の中に動く (あんまり言わない表現ですが)


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    1. コメント並びにご指摘ありがとうございます。確かに仰る通りなので,ご指摘に従い当該部分を修正いたしました。ただご提示くださった表現をそのまま訳文に反映させると,それ以外の部分からそこだけが浮き上がってしまうので,それよりも多少穏当な「お前とやっと結ばれた時」という表現にしております。ご指摘ありがとうございました。

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    2. 「ハレルヤ」という曲について思うこと

      熱愛の末の“現実の恋愛”に破れ 残された信仰心は
      どうしようもない苦しみから もがきつつ呻くように唱える
      「ハレルヤ、ハレルヤ.ハレルヤ・・・」
      これは神が私に与えた試練か?
      「ハレルヤ、ハレルヤ.ハレルヤ・・・」
      この叫びは天の神に届いているのか?
      「ハレルヤ、ハレルヤ.ハレルヤ・・・」
      もうすでに私の信仰心は破れてしまった、
      「ハレルヤ、ハレルヤ.ハレルヤ・・・」

      この曲全体からにじみ出ている感情、
      連呼されるハレルヤの行間から聞こえてくるのは
      もがき苦しむ 正にその
      「人間をこそ讃えよ」
      現実と格闘する
      「人間をこそ讃えよ」
      この深き哀愁をそのメロディーに託して
      「人間をこそ讃えよ」
      と、繰り返し訴えているとしか思えない。
      尊いのは神ではなく
      もがき苦しみつつ戦っている現実の人間、
      その「人間をこそ讃えよ」

      その人間の心から湧き上がる泉のように生まれたのが
      何とも言えない深い哀愁に満ちた
      このメロディーなんだと思います。

      この曲は明らかにキリスト教を否定していると思います。
      「ハレルヤ」と繰り返されるほどに逆説的な効果が たくまずして出ていると思います。
      讃えるべきは神ではなく 人間そのものだと訴えている。
      キリスト教の信仰者もこの曲に強く心を揺さぶられてしまう、
      そんな否応無く人間を感動させてしまう普遍的な力が、この曲にはあると思います。
      以上、この曲に深い感銘を受けてたくさんの方の訳詩や解釈を参考にしつつ
      (全く的外れだという方もいるかもしれませんが) 私なりにその理由を解いてみました。

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    3. この曲に深い感銘を受けてその理由を考えています、有難うございました。

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    4. コメントありがとうございます。お話を伺いなるほどそういう解釈もあったのかと膝を打ちました。お蔭でこの曲に対する理解が深まったように思います。ありがとうございました。

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  4. レナード・コーエンがオリジナルなのですね?
    でしたら、僕にはオリジナルが他のカバー達を圧倒してるように聴こえます。

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    1. コメントありがとうございます。凡そアートというものは,定量的に測れるものではないので,何が優れていて何がそうでないかの判断は,結局のところ,受け取る側に委ねられているような気がいたします。

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  5. いつも拝見してます。歌詞の前にある前置きと後書きも大好きで楽しみにしています♪
    いつものようにハレルヤ 歌詞 で検索したところ、こちらが合ったのでお邪魔したわけですが、これのPENTATONIXのカバーがほんとに感動するので是非聞いてほしいです!!!
    既にご存知でしたらすみません。

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  6. 今日もここにたどり着きました。
    今回は映画「SING」で、Tori Kellyがカバーしていました。私はすぐ洗脳されてしまうので(笑)よかったですよ!

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    1. コメントありがとうございます。お話しのTori Kellyを含め,数多のアーティストがカヴァーしていることからもわかるように,この曲,歌詞の内容は難解ですが,そのことがいささかもマイナスになっていない素晴らしい曲だと思います。いずれにせよ,K.Hashimoto様のお役に立ててなによりです。

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  7. クリス・コーネルへの手向けにこの歌を捧げたチェスター・ベニントンも程なく彼と同じ道を辿ってしまいました。
    音楽を通してしか知らない彼等の真の苦悩や選択した行為の是非は、私には分かりませんが、
    頻繁に耳にするのに曖昧模糊にしか捉えられなかったこの歌のメッセージが突如鮮明に伝わってきたことに驚きを覚えました。

    It's a cold and it's a broken Hallelujah

    勝敗や同情や救済ですらないボロボロのハレルヤは、hasekuni39さんの仰る通り、最大級の人間賛歌になりうるのかも知れませんね。

    難解な歌詞に出会うといつもこちらのBlogに飛んできています。
    詳細な解説や的確な訳詞を毎回楽しみにしております。
    今後共宜しくお願い致します。

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