2014年4月8日火曜日

Magic コールドプレイ (Coldplay)

この曲を和訳しながら,ある生徒と英語教師との会話を思い出しました。英語の授業に出ていた時,ある生徒が教科書の文章の意味を聞かれたことがあったのですが,彼女はその質問に答えられませんでした。格好悪いと思ったのか,彼女は「英語の意味はわかるが日本語でそれを表現できない」と言ったのですが,それを聞いた英語教師は,それはただの言い訳で,本当に理解できていたのなら,必ず日本語にできるはず。母国語で理解できないものが外国語で理解できるはずはないと言い放ちました。当時は彼女の側に肩入れしていた私ですが,その後その英語教師が本当に正しかったことがわかりました。
Translating this song, I remember a conversation between a student and our English teacher.  When I was in an English class, the teacher asked a student the meaning of a sentence in the textbook.  She couldn't answer it.  Being embarrassed, she said she knew what the (English) sentence meant but didn't know how to put it in Japanese.  After listening to her vindication, he dismissed her claim calling it an excuse and said decisively that if she had understood what it meant, she would have found no difficulty in putting it in Japanese.  He also declared no one would understand anything in a foreign language unless they could understand it in their mother tongue.  At that time I was on her side but later realized he was utterly right.  
Magic  (Coldplay)
Call it magic, call it true
I call it magic when I'm with you
And I just got broken, broken into two
Still I call it magic, when I'm next to you

And I don't, and I don't, and I don't, and I don't
No I don't, it's true
I don't, no, I don't, no, I don't, no, I don't
Want anybody else but you

I don't, no, I don't, no, I don't, no, I don't
No I don't, it's true
I don't, no, I don't, no, I don't, no, I don't
Want anybody else but you

Ooh ooh ooh

Call it magic, cut me into two
And with all your magic, I disappear from view
And I can't get over, can't get over you
Still, I call it magic, such a precious truth

And I don't, and I don't, and I don't, and I don't
No I don't, it's true
I don't, no, I don't, no, I don't, no, I don't
Want anybody else but you

I don't, no, I don't, no, I don't, no, I don't
No I don't, it's true
I don't, no, I don't, no, I don't, no, I don't
Want anybody else but you

Wanna fall, I fall so far
I wanna fall, fall so hard
And I call it magic
And I call it true
Call it magic

Ooh ooh ooh
Ooh ooh ooh
Ooh ooh ooh
Ooh ooh ooh

And if you were to ask me
After all that we've been through
"Still believe in magic?"
Well yes, I do
Oh yes, I do
Oh yes, I do
Oh yes, I do
Of course I do

あれは「不思議な力」なんだ
ただの幻なんかじゃなくて
ちゃんとこの世に存在する
そんな「力」を感じるよ
ただ一緒にいるだけで
今だって
体もバラバラになりそうなほど
深く傷ついているはずなのに
それでもまだ
その「不思議な力」を感じるよ
ただそのそばにいるだけで

わからないよ
どうしてそうなのか
理由なんてわからないけど
本当にそうなんだ
答えられないよ
どうしてそうなのか
その理由が
他の人でもよさそうなのに
その人じゃなきゃダメな理由が
わからないよ
どうしてそうなのか
理由なんてわからないけど
本当にそうなんだ
答えられないよ
どうしてそうなのか
その理由が
他の人でもよさそうなのに
その人じゃなきゃダメな理由が

まるでマジックみたいだ
たとえ体を真っ二つに
切り離されてしまっても
その「不思議な力」さえあれば
そこから消えてなくなれる
だからどうしても忘れられない
その人のことが諦められない
今だって思ってる
あれは「不思議な力」なんだ
ただの幻なんかじゃなくて
ちゃんとこの世に存在する
かけがえのない力だって

わからないよ
どうしてそうなのか
理由なんてわからないけど
本当にそうなんだ
答えられないよ
どうしてそうなのか
その理由が
他の人でもよさそうなのに
その人じゃなきゃダメな理由が
わからないよ
どうしてそうなのか
理由なんてわからないけど
本当にそうなんだ
答えられないよ
どうしてそうなのか
その理由が
他の人でもよさそうなのに
その人じゃなきゃダメな理由が

いっそもっと深く *
どうしようもないほど
その人のことを好きになりたい
あれは「不思議な力」なんだ
ただの幻なんかじゃなくて
ちゃんとこの世に存在する
そんな「不思議な力」なんだよ

だから色々あった後でも
「それでもまだ不思議な力を信じてる?」って
そういう風に聞かれたら
きっとこう答えるよ
そうだよ今も信じてる
そういう力はきっとあるし
そんなのは
当たり前のことだって

(補足)* この部分,fall so far (in love)とfall so hard (in love)ではないかと思われるので,その文脈で和訳しています。

(余談)

難しい単語などひとつもない,むしろ中学生でも知っていそうな単語ばかりなのですが,意味の通る日本語にするのが予想以上に難しい曲でした。

そもそも最初の連から曲者です。

Call it magic, call it true
I call it magic when I'm with you
And I just got broken, broken into two
Still I call it magic, when I'm next to you

英語歌詞を読んでいるとなんとなくわかったような気になるのですが,これを日本語にしようとするとなかなかすんなりとはいきません。

ここでいつものように「いい仕事」をしてくれるGoogle翻訳にご登場いただきましょう。

マジックと呼んで、真のそれを呼び出す
私はあなたと一緒にいる時、私は魔法のそれを呼び出す
そして私はちょうど2に分かれ、壊れた 
私はあなたの隣にいる時、まだ私は、魔法と呼ぶ

・・・「RPGかっ!」と叫びたくなるのは私だけではありますまい。しかもここだけ読むと(他のGoogle翻訳に比べて)日本語としてある程度成立しているので,何も知らない純真な中学生がこれを読んだら,この曲はRPGの魔法使いが主人公なのかと勘違いするかもしれません。

またこのmagicという言葉には,「魔術」「魔法」「マジック」「手品」「奇術」と様々な訳語があるのですが,前半の三者の場合はまだしも,後半の2つを訳文で使ってしまうと全く別の話になってしまう可能性が大です。例えば,先ほどの第一連。訳文では英語のmagicを「不思議な力」としていますが,ここを「手品」に変えて訳すとこうなります;

あれは「手品」なんだ
ただの幻なんかじゃなくて
ちゃんとこの世に存在する
そんな「手品」を感じるよ
ただ一緒にいるだけで
今だって
体もバラバラになりそうなほど
深く傷ついているはずなのに
それでもまだ
その「手品」を感じるよ
ただそのそばにいるだけで

・・・なんとなく相手が詐欺師のような不誠実なヤツに思えてくるのは私だけでしょうか?

8 件のコメント:

  1. どこか初期の頃の様な雰囲気で大好きな曲です!
    ただ、クリスは最近離婚したらしいのでこの歌詞を見るとなんとなく切なくなります…
    離婚が発表されたのはMagicが公開された後ですが、この曲を作っている頃からあまり夫婦関係が良くなかったのではないのかと深読みしてしまう歌詞ですね

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    1. コメントありがとうございます。お話しの離婚の件は私も存じております。それだけに,彼らの最近の流れとは一線を画すロマンティックな作りのミュージック・ヴィデオがまた余計に切なく感じられます。

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  2. エビオス錠2014年5月15日 7:56

    こちらにまるっと転載されてますね…
    http://blog.livedoor.jp/asscassc/archives/51959688.html

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    1. コメント並びに情報をありがとうございます。ただ,ネット上で何かを公開する以上,こういったことは必ず付いて回るものです。無論,そのブログを運営なさっている方に抗議するという選択肢もありますが,仮に知らずになさっていることだとすれば,いつかはお気づきになると思いますし,逆にその辺りを承知の上でそうなさっているのだとすれば,そういう方に対して,こちらの貴重な時間を割いてまで抗議する意味がさほどあるとも思えません。自分が同じことをやらないようにすればよいだけだと思っております。

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  3. クリスが奥さんのグウィネス・パルトロウと離婚したと聞いて、この曲の歌詞が腑に落ちました。
    元々クリスはデビュー前からグィネスに憧れを持っていたらしく、彼女との恋愛と結婚生活はまさに「魔法にかかった」ようなものだったのだろうな、と。

    「僕は(離婚で)傷ついたけど、それでも、僕は(今でも)君といる時に魔法を感じる」

    離婚し傷つき結婚生活が終わっても、クリスにとってグィネスはデビュー前から変わらないアイドルであり憧れの人であり続けるという意味なんでしょうね。
    でも、この気持ちはクリスにしかわかりづらいように思う。
    だって憧れの女優と結婚できる男性なんてこの世に何人もいないから。w

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    1. コメントありがとうございます。同じく「理想の人」Tom Cruiseと結婚したKaty Holmesもやはり彼と同じ気持ちなのでしょうか?今のところあまりそのようには思われませんが,機会があれば(無論そんな機会は一生巡ってくるはずはありませんが)その辺りを一度じっくり彼女に聞いてみたいところではあります。

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  4. でも好きだった人と付き合って、恋愛でしか知り得ない道理と感情を得ている実感があると、
    別れたあとでもやっぱりあの人が一番僕のことをわかっていたんだなぁ、僕にもいけないところがあったのだから仕方がないし、やり直せるとも思えないけど、確かにあの思い出は良いものなんだ、これは僕らにしか分からないことなんだ
    って感じのぐるぐると渦巻く奇跡に対する認めと諦めは僕は別れても実感していますし、クリスの気持ちが凄くわかります。
    クリスは前向きでいながらも、奥に隠している心はとても純粋で繊細なんでしょうね。

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    1. コメントありがとうございます。残念ながら個人的にそのような経験がないので何と申し上げればよいのかわかりませんが,何事であれ前向きにとらえるChris Martinの姿勢は見習いたいと思います。

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