2016年7月4日月曜日

Lazarus Heart スティング (Sting)

この曲ではメタファーの力を再認識しました。例えば第三連に登場する「鳥」という言葉です。主人公は鳥の種類については何も言っていませんが,それが「死」を表しているということがなんとなくはわかるので「鳥」はカラスであろうと考えられます。
仮にここで主人公があっさり「母の家の屋根の上には,死神が訪れている,止めようと思っても,やり方がわからない,母の家の屋根の上に,死神が訪れている,いつかは俺のところにもあいつらがやって来る」といっていたらどれほどつまらないか考えてみてください。
This song taught me the power of metaphors.  For example, in verse 3, we find a word 'birds.'  Although the narrator doesn't mention their species, we somehow know the birds represent 'death' and therefore they're ravens.  Just imagine how this part would be boring if he plainly said "Death is on the roof of my mother's house, I've nothing to prevent it, Death is on the roof of my mother's house, Will sit on my roof some day" instead.  
Lazarus Heart  (Sting)


[Verse 1]
He looked beneath his shirt today
There was a wound in his flesh so deep and wide
From the wound a lovely flower grew
From somewhere deep inside
He turned around to face his mother
To show her the wound in his breast that burned like a brand
But the sword that cut him open
Was the sword in his mother's hand

[Chorus]
Every day another miracle
Only death will tear us apart
To sacrifice a life for yours
I'd be the blood of the Lazarus heart
The blood of the Lazarus heart

[Verse 2]
Though the sword was his protection
The wound itself would give him power
The power to remake himself at the time of his darkest hour
She said the wound would give him courage and pain
The kind of pain that you can't hide
From the wound a lovely flower grew
From somewhere deep inside

[Chorus]

[Verse 3]
Birds on the roof of my mother's house
I've no stones that chase them away
Birds on the roof of my mother's house
Will sit on my roof some day
They fly at the window, they fly at the door
Where does she get the strength to fight them anymore
She counts all her children as a shield against the pain
Lifts her eyes to the sky like a flower in the rain

[Chorus]

[Verse 1]
今日あいつが着ているシャツの中をちょっと覗いてみたら
すごく深くて大きな傷が体の上に出来ていて
一本の可憐な花がその傷から咲いていた
体のどこか内側の奥のとこから生えていた
それであいつは振り返り母親の方を見て
焼印を押されたようにヒリヒリと痛んでる胸の傷を見せたけど
その傷をつけた刀は母親が手に持っていた




[Chorus]
毎日が奇跡みたいで
お互いが生きてる限り
2人の絆は切れたりしない
相手のためなら人生だって
惜しげもなく差し出して
あのラザロを生き返らせる
心臓の血になるよ

[Verse 2]
これまでは刀が守ってくれたけど
今度はあいつの体の傷が
あいつに力を与えてくれて
人生で最悪のことが起こった時だって
自分を変える力をくれる
母親はこう言った
その傷がついているから勇気だって出てくるの
辛いのもそのせいでお前が何をやったってその辛さは隠せないけど
傷のあるところから可憐な花が咲いてくる
体のどこか内側の奥のとこから生えてくる

[Chorus]

[Verse 3]
母の家の屋根の上には
カラスが何羽も止まってる
追っ払いたいと思っても
投げつける石がない
母の家の屋根の上には
カラスが何羽も止まってるけど
いつかは俺のところにも
あいつらがやって来て
窓やドアにぶつかってくる
もう母にあいつらと戦う力は残っていない
子どものことを考えてそれを自分の盾にしてそうして痛みに耐えながら
雨に打たれる小花のように空の方を眺めてる

[Chorus]

(余談)

この曲はStingが母親の亡くなる直前に見た夢をもとに作ったそうです。そのため,最初歌詞を読んだ時は,コーラスでStingが母親に語りかけていると思ったのですが,第1連と第2連を見ると,彼は第三者の視点からこの歌詞を書いています。また,コーラスの「相手のためなら人生だって惜しげもなく差し出して」という部分が親の愛情を連想させたため,ここは彼の母が彼に向かって語りかけていると解釈して訳しています。

このように考えると,歌詞の登場する「刀」は「母の存在」あるいは「親の愛」のメタファーでしょう。確かに「親の存在」や「親の愛」というものは,時に子どもの自由を束縛したり邪魔したりして子どもを傷つけることもありますが,そうすることで子どもを守っていることも間違いありません。そして(親の死という)「傷」から生えている一本の花は,親の死を乗り越えることで生まれる子どもの強さや自信を表しているのではないかと思います。

・・・いつになく真面目な余談で申し訳ありません。

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