2012年8月17日金曜日

You Found Me ザ・フレイ(The Fray)

不可知論者として,八百万の神の存在する日本に住んでいると,一神教の神(仮にキリストとしましょう)に出会うというのは,そうあることではありません。(実際,一度もないわけですが)。したがって,彼の地にはキリストとその存在を100%信じている人が今も少なからず存在するというのはやや驚きです。
歌詞には「もう少し早く来て欲しかった」という箇所が出てきますが,この部分は次のいずれの意味にも取れます。すなわち,a) (もっと早く来て欲しかった)のに会いに来なかったから間に合わなかった→この場合主人公は死んでいます。b) (もっと早く来て欲しかった)けど,それでも会えたからいい→この場合主人公はまだ生きています。ただ,以下の作曲者のコメントから判断すれば,後者が正しいと思って間違いないでしょう。
Songfacts.com.によれば,この曲について,作曲したThe FrayのIssac Sladeは,バンドのウェブサイトにヴィデオと共に以下のコメントを寄せたそうです:
「人生には,傷ついたり,落ち込んだり,辛い思いをすることがある。自分が誰かを傷つけることもある。誰になら心を許せるのか,誰なら信用できるのかがなかなかわからない。この曲は辛い時期に出来た曲で,今もその辛さは消えてない。ここ数年,家族や友人に次々と災難が降りかかって,それに打ちのめされそうになった。今もそのせいで辛くてしかたない。そんな状況で,それでも目に見えない「何か」を信じ続けるのは容易なことではない。勿論トンネルの向こうに一条の光が見える時もあるが,大抵は夜の暗闇が続くだけだ。この曲はそんな気持ちと,それでもまだ胸の奥にかすかに息づいている「希望」を歌ったもの。」
Being an agnostic and living in polytheistic Japan, seeing monotheistic God, let's say Jesus, is not my everyday event. Actually, I've never met him. So it's a bit surprising to find such a large number of people utterly believe in him and his existence there.
In the lyrics, a line "Just a little late" appears. It could be taken both ways. a) a little too late hence the protagonist died, b) a little late but not too late and he's still alive. Judging from the comment below, we can safely assume that the latter fits better.
According to Songfacts.com., the songwriter, Issac Slade of the band posted the following comment on their website along with the video :
"It's about the disappointment, the heart ache, the let down that comes with life. Sometimes you're let down, sometimes you're the one who lets someone else down. It gets hard to know who you can trust, who you can count on. This song came out of a tough time, and I'm still right in the thick of it. There's some difficult circumstances my family and friends have been going through over the past year or so and can be overwhelming. It wears on me. It demands so much of my faith to keep believing, keep hoping in the unseen. Sometimes the tunnel has a light at the end, but usually they just look black as night. This song is about that feeling, and the hope that I still have, buried deep in my chest."
You Found Me (The Fray)
(lyric video)
[Verse 1]
I found God
On the corner of First and Amistad
Where the west
Was all but won
All alone
Smoking his last cigarette
I said, "Where you been?"
He said, "Ask anything".

[Verse 2]
Where were you
When everything was falling apart?
All my days
Were spent by the telephone
That never rang
And all I needed was a call
That never came
To the corner of First and Amistad

[Chorus 1]
Lost and insecure
You found me, you found me
Lyin' on the floor
Surrounded, surrounded
Why'd you have to wait?
Where were you? Where were you?
Just a little late
You found me, you found me

[Verse 3]
In the end
Everyone ends up alone
Losing her
The only one who's ever known
Who I am
Who I'm not, who I wanna be
No way to know
How long she will be next to me

[Chorus 2]
Lost and insecure
You found me, you found me
Lyin' on the floor
Surrounded, surrounded
Why'd you have to wait?
Where were you? Where were you?
Just a little late
You found me, you found me

[Bridge]
Early morning
The city breaks
I've been callin'
For years and years and years and years
And you never left me no messages
Ya never send me no letters
You got some kinda nerve
Taking all I want

[Chorus 3 and outro]
Lost and insecure
You found me, you found me
Lyin' on the floor
Where were you? Where were you?
Lost and insecure
You found me, you found me
Lyin' on the floor
Surrounded, surrounded
Why'd you have to wait?
Where were you? Where were you?
Just a little late
You found me, you found me
Why'd you have to wait?
To find me, to find me

「神」に出会った
一番街とアミスタッド通りの交差する角のところ
「西」が
負けたも同然の場所だった
たったひとりで
タバコの最後の一本を吸ってたよ
「一体どこへ行ってたんですか」と思わず聞いてみた
「なんでも聞いてくれ」とヤツは言った

だから聞いてみた
一体どこへ行ってたんですか?
なにもかもがバラバラになろうって
この大変な時期に
一日中電話の側にすわって
あなたからの電話が
いつかかってくるかって
ずっと待ってたんですよ
なのに
鳴らないあなたからの電話だけを
必死になって待ってたのに
こんなところにいたなんて

それでも,自分を見失って不安だった時に
やっと出会えた
もう立ってられなくて,倒れ込み
周囲を人に取り囲まれた状態になってようやくだった
なんでこんなに時間がかかったんですか?
一体どこにいたんですか?
もう少し早く来て欲しかった
だけど,それでもどうにか会えたんだ

最後の最後には
みんな一人きりで死んでいく
あの人が遠くなっていく
この自分をわかってくれる
たった一人の人だったのに
今の自分がどんな人間で
どんな挫折をして
どうなりたいと望んでるのか,あの人だけはわかってくれてた
なのに気が付いたら
いつの間にか
いなくなってたなんて・・・

そのせいで,自分を見失って不安だった時に
やっと出会えた
もう立ってられなくて,倒れ込み
周囲を他人に取り囲まれた状態になってようやくだった
なんでこんなに時間がかかったんですか?
一体どこにいたんですか?
もう少し早く来てほしかった
だけど,それでもどうにか会えたんだ

朝早く
街が動き出す
ずっと電話をかけてた
何年も何年もずっと
なのに一度もメッセージさえ
残してくれなかった
手紙もくれなかった
一体なんてヤツなんだ
その上,人が大事にしてるものを残らず
一切合財奪っていくなんて

だけど,自分を見失って不安だった時に
やっと出会えた
もう立ってられなくて倒れ込んでたよ
一体どこにいたんですか?
自分を見失って不安だった時
やっとこうして出会えた
もう立ってられなくて倒れ込み
周囲を他人に取り囲まれてた
なんでこんなに時間がかかったんですか?
一体どこにいたんですか?
でももっと早く来て欲しかったけど
それでもやっとどうにか出会えたんだ
早く来てと,ずっと祈っていたんですよ
今日ここで出会えるまで

(補足)

第1連に出てくる「西」が具体的に一体何を意味するのかはわかりません。西洋理知主義による論理的思考を指すのか,合理性を指すのか。せめてこのFirstとAmistadの角がどこを指すのかわかれば,まだしも手がかりになると思うのですが,First Avenueなのか,First Streetなのか,First Boulevardなのか,またAmistad Streetなのか判然としません。当然どこの場所かもわかりません。テキサス州の田舎町にそういう場所があることはわかったのですが,これがいわば原野の真ん中。他にもいくつか候補があったのですが,どれもしっくりこない。おそらくここをお読みになった方は「どこなんだよ」とお考えでしょうが,私にもわからないということを先にお伝えしておきます。


8 件のコメント:

  1. 初めまして。いつもこのサイトに来させていただいてます、洋楽が大好きな女子中学生です。私は前からこの曲をよく聴いていて、歌詞の内容が知りたくなって、和訳サイトを見てみたのですが、一体何について歌った歌なのかぜんぜん分かりませんでした。でもvestige さんの和訳を見て、疑問がなくなってスッキリしました。本当にありがとうございます。リード文と和訳を見る限り、「主人公は神様に見放されたかのように、辛い思いばかりをしつづけたけれど、ついに幸せにめぐり合えた。こんなふうに、いくら辛くとも、いつかは幸せになれる。だから希望を持ち続けよう。」という歌なのかな、と私は思いました。(かなり勘違いしているかもしれないけれど)とにかく、vestigeさんに感謝したいと思います。長文失礼致しました。

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    1. コメントありがとうございます。この曲は,歌詞がかなり抽象的なため,これといった決定打の解釈を出すことが難しい曲ですが,それだけに聴く人によって,様々な解釈が可能になります。
      私はリード文にあるIssac Sladeの言葉の中の「希望」に重点を置いて解釈しましたが,全く正反対の解釈をなさる方もおいでになると思います。(実際,反抗期真っ盛りの中学時代の私であったなら「遅すぎた」と取っていたと思います)。
      しかしいずれにせよ,その人の解釈はその人だけのもの,匿名様がそのようにお考えになるのであれば,それが匿名様にとって唯一正しい解釈です。どうか自信をお持ちください。
      さて,このサイト匿名様が本当に多数おいでになります。お差し支えなければどのようなお名前でも結構ですので,何か名前を名乗っていただけると助かります。また,別館でも余談を展開しておりますので,お時間があればそちらへもおいでください。お待ちしております。

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  2. こんにちは、昨日コメントした者です。
    先ほどこの記事を目にして、あやうく飲んでいたコーラを吹きだすところでした。なんてタイムリーなんだろうと。
    この曲も大変気に入っているのですが、私にはこの「神」が何らかのメタファーに思えて仕方がありません。「友達」とか「恋人」とか(彼と言っているので少々無理があるかもしれませんが)、そういった存在が苦しく自分以外何もない環境からやっと見つけ出して救ってくれた、と言っているように感じました。でもそれにはちょっとばかし遅かったけどね、というような。
    (この曲を聴いたときに観ていた海外ドラマがあまりにも歌詞の内容とシンクロしていたのでそう思えるのかもしれません)
    声を絞り出すように歌っているところも胸を打ちますね。

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    1. コメントありがとうございます。「神」については,実は私もメタファー説です。煙草を吸っていたという下りがあるので,人間以外のものだと考えると,訳文に齟齬が生じるのですが,和訳を離れて解釈してよいのであれば,いわばその人なりの「心の拠り所」がここで言う「神」だと思います。
      あのGotyeにとってドラムが心の拠り所であったように,その時だけは無心になれる「何か」,それを支えに生きていける「何か」がここでいう「神」であり,主人公は,悩み抜いてやっとその「心の拠り所」を見つけたのではないかと考えています。

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  3. 私は初詣にも墓参りにもクリスマスパーティにも行く、ごく普通の日本人で、ある特定の宗教を信仰してもいないのですが、私の心には神がいます。いつの頃からか自然に存在を思うようになりました。神の存在を感じないと、死ぬのがものすごく怖いと思うし、死ぬのが怖ければ、怖くて生きられない気がします。そんな私にとって、この歌の中のyouは神様以外の何ものでもありません。
    疑問に思ったのは、全知全能であるところの神様(=you)が、You found me、というのは、あると思うのですが、I found Godということがあるだろうか、ということです。第一連がやはり謎です。が、現時点ではこう思っています:私にとっては、人との出会いというのも神さまのはからいによるもので、人生の必要な時に必要な人に出会うことになっているんではないかと思います。そして、この人にとっては、街角でタバコを吸っている男の人との出会いが、何かの救いになる。それが神様の采配によるものであるとしたら、神に出会ったといえるのではないか、と。(・・・もう少し考えたら、違う意見になるかもしれませんが。)
    また、長くなってしまってスミマセン。しかも、信仰告白で。これも、ここがヴァーチャルな空間だからこそできることだと思います。(この次は、きっと手土産に豆大福を持ってきます)

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    1. コメントありがとうございます。私は不可知論者(agnostic)なので神を否定しませんが,仮に神がいて,いくら神の方でこちらに気付いていてくれたとしても,こちらが気づかなければ神はいないのと同じことなので,個人的にはI found Godこそが正しいと思っています。

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  4. はじめてコメントいたします。
    以前に何かの記事で、メンバーが「1st and Amstadは実在の地名だ」というものを読んだ気がします。また、Godと直接出てきますが、「あなたが私を見つけた」という主題は、旧約聖書(迷った羊を探しにいくとか、放蕩の限りを尽くした息子が帰ってくるとか)のエピソードを感じます。
    やっぱり、キリスト教圏で育つと、作詞する時に普通に出てくるものなんでしょうか。

    私はこの曲を、Ugly Bettyで使われたことがあって知りました。なんとなくiPodに入れていたのですが、あるとき近親者が亡くなって、人の声を聞きたくない、音楽もラジオも聞きたくない状況がしばらく続いた時に、くりかえし聴いていたのが、この曲とSixx:A.M.の「Life is beautiful」でした。なんででしょうね、そのときは、死に別れた人間に対する思いを歌った歌詞や、メッセージ性の強いもの(ひとりじゃないよ、だいじょうぶだよ、的な)は「知ったようなことをいうなぁぁぁぁ」と感情的になってなってしかたなかったのです。
    私はクリスチャンではありませんし、この2曲のどこが私の琴線に触れた(かつ、地雷を踏まなかった)のか、考えてみると不思議です。



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    1. コメントありがとうございます。投稿した当時は「最終的に神が助けてくれた」のだと考えておりましたが,あれからほぼ1年を経て私の見方もかなり変わって参りました。
      確かに凡そ英語圏で生活する以上,キリスト教的世界観と無縁ではいられないとは思いますが,現在の私の感じるところでは,この曲で歌われているのは,むしろその世界との断絶の方,いわば「神にはあまり期待できない」というメッセージであるような気がして仕方ありません。(歌詞の中に登場する神の姿,すなわち街角で煙草を吸っているという姿もその点を暗示しているような気がいたします)。
      仮にそうだとすれば,そういった「神への落胆」のようなものが感じられるために,この曲に共感なさったのかもしれませんが,とはいうものの正確なところはご本人にしかわからないと思われます。

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