2012年10月27日土曜日

I'll Be Gone リンキン・パーク (Linkin Park)

本当にいかようにも解釈が可能な曲ですが,支持を集めているのは,現実にであれ比喩上であれ,「自殺」すなわち,今自分が持っているものを全て捨て去ることについて歌った曲だという説です。捨て去るものは,恋愛関係でもいいし結婚でもいい。あるいは仕事を辞めることを歌ったものかもしれません。
私個人の意見では,主人公はなんらかの宗教団体,例えば新興宗教から抜け出し,元の生活に戻ろうとしているように思えます。あるいは,主人公はオンライン・ゲームの依存症で,仮想のゲーム世界から現実の世界に戻ろうとしているのかもしれません。皆様はいかがお考えでしょうか?
This song could be interpreted so many ways.  The predominant one is that it's about 'suicide' both in literal and figurative ways.  That is "leaving everything he has behind."  It could be about  a breakup, a divorce or giving up one's career.
In my own opinion, the protagonist is leaving from some religious body, say a cult and coming back to where he used to be: home.  Or he could be an online game addict and be leaving from the virtual world and coming back to his real life.  What do you think?
I'll Be Gone  (Linkin Park)
Like shining oil, this night is dripping down
Stars are slipping down, glistening
And I'm trying not to think what I'm leaving now
No deceiving now, it's time you let me know.
Let me know

[Chorus]
When the lights go out and we open our eyes,
Out there in the silence, I'll be gone, I'll be gone.
Let the sun fade out and another one rise
Climbing through tomorrow, I'll be gone, I'll be gone.

This air between us is getting thinner now
Into winter now, bitter sweet
Across that horizon this sun is setting down
You're forgetting now, its time you let me go, let me go

[Chorus]
When the lights go out and we open our eyes,
Out there in the silence, I'll be gone, I'll be gone.
Let the sun fade out and another one rise
Climbing through tomorrow, I'll be gone, I'll be gone.

[Bridge]
And tell them I couldn't help myself
And tell them I was alone
Oh, tell me I am the only one
And there's nothing left to stop me.

[Chorus]
When the lights go out and we open our eyes,
Out there in the silence, I'll be gone, I'll be gone.
Let the sun fade out and another one rise
Climbing through tomorrow, I'll be gone, I'll be gone, I'll be gone.

ぬらぬらと輝く油のように,今夜は(時間が)少しずつゆっくり流れてゆく
夜空の星も滑り落ちてキラキラと光っている
心残りがないわけじゃないけど,なるべく考えないようにしてるんだ
もうキレイゴトを言う時期は過ぎたから
そろそろ本当のことを教えてよ
知りたいんだよ 頼むから

眩しい光が消えないと,本当のことが見えてこない
だからあの静寂の中へ ここを離れていくことにするよ
この太陽の光が消えたら,真実を照らす別の太陽が昇ってくる
だから明日が来る前に,もうあっちへ旅立つよ

もう思い残すこともなくなってきた
終わりが近づいてるんだ,切ないけど悪くない気持ちだよ
地平線を横切って,ちょうど日が沈んでいく
そろそろ記憶も薄れかけてきただろ?
もういいかげん諦めて
こっちのことは忘れてくれ

眩しい光が消えないと,本当のことが見えてこない
だからあの静寂の中へ ここを離れていくことにするよ
この太陽の光が消えたら,真実を照らす別の太陽が昇ってくる
だから明日が来る前に,もうあっちへ旅立つよ

みんなにはどうしようもなかったって言ってくれ
ひとりぼっちで他に方法がなかったんだって
あいつはおかしい,変わってるって言えばいい
だけどもう心残りなんか何もないよ

眩しい光が消えないと,本当のことが見えてこない
だからあの静寂の中へ ここを離れていくことにするよ
この太陽の光が消えたら,真実を照らす別の太陽が昇ってくる
だから明日が来る前に,もうあっちへ旅立つよ

(補足)

この曲,どうやら何かとの「別れ」を歌ったものであることは確かなようですが,一体何との別れであるのかは具体的に示されていません。恋愛関係,仕事,宗教,そして命。様々な解釈が可能です。

海外のサイトで見た解釈のなかで興味を引かれたのは,主人公が何らかの「災害・厄災」を予見しており,その前にそこから逃げ出そうとするという説でした。彼だけが,周囲から浮いており,それゆえバカにされていたのですが,最後に先んじて逃げ出すことによって,ある意味仕返しをしたことになるというものでした。

個人的には「宗教/信仰」からの脱却という考え方が面白いような気がします。それもオーソドックスなカトリックやプロテスタントなどといったものではなく(いや別に仏教でもゾロアスター教でもブードゥー教でも構わないのですが,アメリカ人のLinkin Parkがそれらを信仰している可能性は決して高くないと思います),いわゆる「カルト(新興宗教)」だと考えるとより一層興味深い。


12 件のコメント:

  1. お、Linkin park
    なるほど、宗教からの脱却•••信仰するものを太陽に例えることもありますからしっくりきますね
    逆にカルトなどに入っていったのではと思いましたがそうなると終わりが近づいている、ってとこがあわないですね
    最近大きな震災にあった日本人としては震災から逃げる説もおもしろいですね

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    1. コメントありがとうございます。本当にいかようにも解釈できる曲なので,お聴きなった方がお感じになった解釈が正しいのではないかと思います。
      それにしてもLinkin Parkの曲は難しい。これでも多少は慣れているはずなのですが,それでも毎回和訳する前には緊張するアーティストの一人(正確には一人ではありませんが)です。

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  2. 新しいリンキンソングに反応しました!
    でもLiving Thingsの曲は、何か歌詞の意味がよく分かりません。
    数曲以外は、全体的にもやもやしています。
    ある雑誌では、インタビュアーが「最初にアルバムを聞いたときは、メンバーの誰かが離婚でもしたのかと思いましたよ(汗)」と言っていましたが、そんな印象すら沸きませんでした。だってアンテナが何にもキャッチしないのです。Lost in the echoも対訳さん頼りでした。
    インタビューでメンバーは「自分の気持ちとシンクロすれば泣けてきちゃう曲もあると思うから、みんなそれぞれに解釈していいんだよ~」と言っていました。
    「1対1の人間関係がテーマ」なアルバムだとも語っていましたが、だとするときっと私は、きっと1対1の人間関係があまり築けていないのだということが発覚しました。

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    1. コメントありがとうございます。なるほど「1対1の人間関係がテーマ」ですか。さすがはLinkin愛に溢れた豆様でいらっしゃいます。そのように伺えば,確かにその通り。Castle of Glassといい,In My Remainsといい,Lost in the Echoといい,まさしく「1対1の人間関係」を歌ったものですね。この曲も破局ソングと捉えればその範疇に入るかもしれません。
      ところで豆様は「1対1の人間関係があまり築けていない」と仰っておいでですが,私は逆に「1対1の人間関係がしっかり築けている」からこそ,このアルバムがいまひとつピンとこないのではないかと思っております。
      よく「勉強ができる子はできない子の気持ちがわからない」というではありませんか。私のように,どの曲を聴いても「あるある」と思ってしまう人間からすると,むしろおわかりにならない豆様が羨ましいとさえ思います。

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  3. それはちがいます~。単なる理解力の欠如です~。
    でもこの曲は、冒頭の油や星のキラキラのくだりが好きなのです。 drippingとslippingとglisteningが、もうなんとも言えず気持ちいいのです~。
    そして、新たな表現を覚えることが出来ました。
    ぬらぬら、です。ぬらぬら...
    前は「この曲リンキンが作る必要あるかなぁ...」なんて思っていたのですが、改めて聞くと、やっぱりリンキンの世界だなぁと思いました。
    そして「ぬらぬら」がとても気に入りました! 私も機会がありましたら「ぬらぬら」という表現を使いたいと思います。

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    1. コメントありがとうございます。「ぬらぬら」がそんなにお気に召しましたか。「ぬらぬら」を日常,とりわけ会議などで使うことはほとんどないかと存じますが,万が一近い将来そういう機会がございましたら,是非その経緯を用例つきで詳しくご報告ください。お待ちしております。

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  4. 2年前くらいだったでしょうか。新国立美術館でオルセー美術館展がありました。ちょうど、いろんなついでがあったこともあって、あの美術展を見る機会に恵まれました。一番印象に残ったのが、ゴッホの『星降る夜』という絵だったのですが、空の星と水面にキラキラと光る星が、流れているようで滴るようで、本当に美しかった。この詩の第一連目を読むと、あの絵のことを思い出しました。印象派の絵は光を扱っているものなので、写真などではなく実物を見ると本当に感激で、思い切って行ってよかったと今でもよく思います。 何かから離れようとする時に、"I'll be gone."などと宣言をする、というのはまだ余裕のある時だと思います。冷静な部分もあるし、引き止めてほしいとも思っている。また、引き止めてもらえた場合は幸運だと思います。遺書を残していじめを苦に自殺した子供の話を聞くと、誰も引き止めてあげる機会がなかったのか、引き止めてほしかっただろうに、と思います。本当に追いつめられていたら、何も言わずに、ただいなくなるような気がします。

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    1. コメントありがとうございます。私も全く同感です。本当に絶望した人は何も言わずに去ってしまいます。怒りや悲しみがあるのは生きる力が残っている証拠です。だからこそI'm sorryとI love youは,感じたその時に言わねばならないと思っています。もしかしたらその言葉がその人を引き留めるかもしれない。無論,引き止められないかもしれませんが,その場合でも言えなかったという思いをその後ずっと引きずるよりはるかに良いと思います。時間はどうやっても戻せませんから。

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  5. 私の説とは全く違った解釈ですが、それもいいと思いますが、それと逆の解釈もできます。
    私の解釈では自分から去ったのではなく、この世界ではない、神々の世界で、そこにいたかったけど嫌でも追い出されて下界に墜落したのだと思います。
    実は今日夢でLies greed miseryの続編だと言ってました、ただの夢かもしれませんが。
    Lies greed miseryの歌い手と対する人の立場の歌詞だと思います。

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    1. コメントありがとうございます。聞き手によって様々な解釈を許す歌詞であることがこの曲の優れた点のひとつであると思われます。

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  6. 最近この曲を聴き、このサイトにたどり着きました。丁寧な解説等を載せていただいて、とても参考になりました。
    私は、個人的にとある男性との別れを考えている最中にこの曲を聴き「I'll be gone」の部分がぐっさりと心に刺さりました。
    解釈はいろいろですが、私はこの語り手は、何かから離れたい。だけど、本当は誰かにそれを止めて欲しいと思っているのではないでしょうか?だから「行っちゃうよ」ということを伝えてる。本当に離れる決心がついているなら、何の言葉も残さずにさっさと行くだろう。でもそうではないから、必死に「I'll be gone」と叫んでいる。誰かに自分は旅立とうとしていることを伝えているのではないでしょうか?「このままだと本当に僕行っちゃうよ?君(達)はそれでもいいの?」と

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    1. コメント並びに温かいお言葉ありがとうございます。確かに仰る通り,もう心が決まっているのなら,何も言わずに相手から離れるでしょう。そう考えれば,I'll be goneと繰り返す主人公の言葉に何とも切ないものを感じます。

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