2013年1月8日火曜日

It's Only Love マット・カードル (Matt Cardle)

歌詞の中で主人公は,鍵となる単語をあまり使わず,代わりに三人称単数の代名詞「It」を使っていますが,これがなかなか上手い。
歌詞で歌われているような状況になると,ともすればこんな風に考えてしまいがちです:こんなの辛すぎる。世界の終わりってこんな感じなんだな。
違います。そんなことありません。そのまま頑張っていれば,じきにもう終わったことだと思えるようになり,イヤな記憶も薄れ,さして気にもならなくなります。それほど心配する必要はありません。Kelly ClarksonのStronger http://oyogetaiyakukun.blogspot.jp/2012/02/stronger-what-doesnt-kill-you-kelly.html にもあるように,「人は傷つくと強くなるもの」なんですから。
In the lyrics, the protagonist doesn't use the actual keyword very often.  He just uses the third person pronoun singular, "it" instead to describe the word, which I think clever.
When we lost "it", we usually think this way:  Oh it hurts so much.  This is how the end of the world feels like.
No, no no!  Don't feel that way because that's not true.  Just hang in there and soon you'll see it's already a history.  Soon the bitter memories fade into insignificance.  Don't be scared too much. As Kelly Clarkson sings in her Stronger, http://oyogetaiyakukun.blogspot.jp/2012/02/stronger-what-doesnt-kill-you-kelly.html "What doesn't kill you (only) makes you stronger."
It's Only Love  (Matt Cardle)
It's a kick in the head so close your eyes
Some say it's dead, but we're alive
And it has no use anymore

It's a losing game that I won't play
I know full well, it isn't here to stay
It has no use anymore

Just get a hold of your heart and set it on fire
You don't need it now, you'll be alright cause

Did you think it would hold you?
Did you think it would carry you?
Did you think it would save you?
Did you think it would see you through?
It's only love, it's only love

Don't let it push you to your knees
You don't have to fall, lean on me
It has no use anymore

Just get a hold of your heart and set it on fire
You don't need it now, you'll be alright 'cause

Did you think it would hold you?
Did you think it would carry you?
Did you think it would save you?
Did you think it would see you through?
It's only love, it's only love

Did you think it would hold you?
Did you think it would carry you?
Did you think it would save you?
Did you think it would see you through?
It's only love, it's only love

It won't hold you
It won't carry you
It won't save you
It won't see you through
It's only love, it's only love

Did you think it would hold you?
Did you think it would carry you?
Did you think it would save you?
Did you think it would see you through?
It's only love, it's only love

It won't hold you
It won't carry you
It won't save you
It won't see you through
It's only love, it's only love

すごくショックだろうけど,それでも負けちゃダメだ
もう終わった,そんなものなんかないって言われても
まだこっちは終わりじゃない
そんなものなくたって
これから先も生きていくんだ

そんな勝ち目のない勝負
するつもりなんかもうないよ
それにイヤというほどわかってる
引き止められないってことくらい
そんなものなんか要らないよ

自分ってものをしっかり持って
負けそうになる気持を奮い立たせろ
今はなくてもいいものなんだ
そんなもの,たとえなくてもやっていける

それがあれば
支えになると思ってた?
力になってくれると思ってた?
救われると思ってた?
見守ってくれると思ってた?
そんなはずないよ
だってただの恋だから
なにも特別なものじゃない

だからそんなものに負けちゃダメだ
崩れ落ちそうになった時は 
こっちに寄りかかればいいんだから
もうそんなものに用はない

自分ってものをしっかり持って
負けそうになる気持を奮い立たせろ
今はなくてもいいものなんだ
そんなもの,たとえなくてもやっていける

それがあれば
支えになると思ってた?
力になってくれると思ってた?
救われると思ってた?
見守ってくれると思ってた?
そんなはずないよ
だってただの恋だから
なにも特別なものじゃない

そんなものたとえ今あったとしても
支えになんかならないし
力になってもくれないよ
救ってくれることもない
見守ってくれるはずもない
そんなはずないよ
だってただの恋なんだから
ただそれだけのものなんだから

それがあれば
支えになると思ってた?
力になってくれると思ってた?
救われると思ってた?
見守ってくれると思ってた?
そんなはずないよ
だってただの恋だから
なにも特別なものじゃない

そんなものたとえ今あったとしても
支えになんかならないし
力になってもくれないよ
救ってくれることもない
見守ってくれるはずもない
そんなはずないよ
だってただの恋なんだから
ただそれだけのものなんだから

(補足)

この曲,歌詞の内容はさほど難しくないのですが,自然な日本語にするのが意外に難しい。なにしろ最後の最後まで「It」で通しているところがこの曲のいわば「核心」なわけですから,ここを早々に「恋」としてしまっては,元の歌詞の持ち味を台無しにしてしまいます。

しかしだからといって,「It」に当たる部分をすべて「それ」としてしまうと,想像に難くないとは思いますが,非常に煩わしい訳文になってしまいます。仮に次の部分のItをすべて律儀に「それ」に置き換えると:

Did you think it would hold you?
Did you think it would carry you?
Did you think it would save you?
Did you think it would see you through?
It's only love, it's only love

それが支えてくれると思ってた?
それが力になってくれると思ってた?
それが救ってくれると思ってた?
それが見守ってくれると思ってた?
それはただの恋だ それはただの恋だ

微妙にストーカーチックです。しかもこの曲はストーカーとは対極にある曲のはず。そこで数学のab + ac = a(b + c)方式を採用しました。

本人によると,歌詞に登場する「It's a losing game that I won't play」という箇所は,Amy WinehouseのLove Is A Losing Game,そして,彼女がジャズに親しむきっかけになった人物Frank Sinatra(彼女のデビューアルバムのタイトルがFrank)を意識したものなんだとか。

(余談)

たまたまこの曲を見つけたものの,個人的に思うところがあって投稿するかどうか迷いました。ただそれでも歌詞が面白いと思ったので取り上げています。

この曲,歌詞を額面通りとれば普通のbreakupソングです。ただ,Matt Cardle自身は否定しているものの,itの部分が人間(「それ」「そんなもの」ではなく「そいつ」「そんなヤツ」)だと思って読むと,その人物に対する三行半(みくだりはん)になるからです。

実はこのMatt Cardle,最初はXファクターの優勝者として鳴り物入りで売り出したのですが,その後は色々あったようです。そのせいもあって,彼には是非リベンジを果たしてもらいたいと思っていました。どうかこのまま走り続けてほしいと思います。


2 件のコメント:

  1. ビデオを見てUKのバンド、elbowのpowder blueと言う曲を思い出しました
    殺風景な荒野に青く染まった空が印象的なビデオです
    日本に無い風景には憧れます

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    1. コメントありがとうございます。Dog Days Are Overにコメントをくださった方でしょうか?
      さて,ミュージック・ヴィデオを見る楽しみのひとつが,自分の周囲にはない風景を見ることかもしれません。私もBon IverのHoloceneのヴィデオを見た時には,その美しい景色に目を奪われました。koji様もお時間があれば是非ご覧ください。

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