2013年5月22日水曜日

Count On Me ブルーノ・マーズ (Bruno Mars)

友情をテーマにした曲というと何でしょうか?James TaylorのYou've got a Friend を挙げる方もおいでになるかもしれませんし,いやいやBill Withersの'Lean On Meだと仰る方もおいでになるでしょう。個人的には,James Morrisonの参加したJason Mrazの Details In The Fabricです。そうそうStand By Me も定番ですね。
What is a good friendship song?  Some would say, 'You've got a Friend' by James Taylor and others say, 'Lean On Me' by Bill Withers.  I'd say, 'Details In The Fabric' by Jason Mraz featuring James Morrison.  Yes, 'Stand By Me' is definitely a classic.
 Count On Me  (Bruno Mars)
[Verse 1:]
Oh uh-huh
If you ever find yourself stuck in the middle of the sea
I'll sail the world to find you
If you ever find yourself lost in the dark and you can't see
I'll be the light to guide you

Find out what we're made of
When we are called to help our friends in need

[Chorus:]
You can count on me like 1, 2, 3
I'll be there
And I know when I need it
I can count on you like 4, 3, 2
You'll be there
'Cause that's what friends are supposed to do, oh yeah
Ooooooh, oooohhh yeah, yeah

[Verse 2:]
If you're tossin' and you're turnin'
And you just can't fall asleep
I'll sing a song beside you
And if you ever forget how much you really mean to me
Every day I will remind you

Oooh
Find out what we're made of
When we are called to help our friends in need

[Chorus:]
You can count on me like 1, 2, 3
I'll be there
And I know when I need it
I can count on you like 4, 3, 2
You'll be there
'Cause that's what friends are supposed to do, oh yeah
Ooooooh, oooohhh yeah, yeah

You'll always have my shoulder when you cry
I'll never let go, never say goodbye
You know...

[Chorus:]
You can count on me like 1, 2, 3
I'll be there
And I know when I need it
I can count on you like 4, 3, 2
You'll be there
'Cause that's what friends are supposed to do, oh yeah
Ooooooh, oooohhh

You can count on me 'cause I can count on you

[Verse 1:]
大海原の真ん中で
一歩も動けなくなったとしても
世界中どこまでだって船を出して
きっと見つけてやるからな
暗闇の中で道に迷って
何も見えなくなった時も
行く手を照らす灯りになって
その場所にちゃんと連れてってやるからな

自分がどんなヤツなのかその時はっきりわかるんだ
追い詰められた友達に助けて欲しいって言われたら

[Chorus:]
何か問題が起こったら
とにかく「困った」って言えばいい
そうすりゃ1・2・3って数える間に
すぐにそこへ行ってやるから
そしてこっちが困った時は
今度はお前が来てくれる
友達ってそういうもんなんだから

[Verse 2:]
何度も寝返りを打ってるのに
それでもとにかく眠れない
そんな時はそこへ行って
そばで(寝るまで)歌ってやるよ
だけどこんなに大事にされてても
そのことを忘れちゃう時もある
だけどもしそうなっても
お前が大切なんだって
毎日ちゃんと教えてやるから
心配しなくていいからな

Oooh
自分がどんなヤツなのかその時はっきりわかるんだ
追い詰められた友達に助けて欲しいって言われたら

[Chorus:]
何か問題が起こったら
とにかく「困った」って言えばいい
そうすりゃ1・2・3って数える間に
すぐにそこへ行ってやるから
そしてこっちが困った時は
今度はお前が来てくれる
友達ってそういうもんなんだから

悲しいことがあった時は
いつでもそこに行ってやるから
この肩で思いっきり涙を流せ
決して見放さないし捨てたりもしない
だからわかってるよな

[Chorus:]
何か問題が起こったら
とにかく「困った」って言えばいい
そうすりゃ1・2・3って数える間に
すぐにそこへ行ってやるから
そしてこっちが困った時は
今度はお前が来てくれる
友達ってそういうもんなんだから

困ったらどんな時でも頼って来い
お互い様なんだから

(余談)

英語と違い,日本語は,言葉づかいで話者の性別のみならず,相手の性別や2人の関係性まである程度定義されてしまう非常にgender-consciousな言語です。今回はこの点に悩まされました。

仮にこれがラップなどによくあるような,相手を挑発したり罵ったりする曲であれば,さほど言葉づかいに悩まなくて済んだのかもしれません。ところが,これは友情を歌った曲であるため,相手に対する言葉にある程度の思いやりや愛情を込めねばなりません。

とはいうものの,あまりに愛情が溢れすぎる表現では,友情ではなく,ただの恋愛を歌った普通のラヴ・ソングになってしまいます。しかもミダス王の場合,白髪三千丈的表現はお約束。

無論正統派剛速球ラヴソングであれば,それも一種のプレイとして許容できるのかもしれませんが,友情を歌った曲でそこまでの剛速球表現では,日本人のメンタリティとして,すでに「友情」を逸脱してしまいます。

このように考えていくと,最終的に言葉が乱暴過ぎてもまずい,かといって逆に丁寧過ぎても違和感があるということになります。また「友人」に対する曲なので,相手の性別にかかわらず,どちらの友人に話しかけていてもおかしくない言葉づかいにする必要もあります。

ところが,実際には,我々は日常ほぼ無意識に相手の性別によって言葉づかいを変えています。このため,いざ日本語にしようとすると,相手の性別が特定されそうになります。

例えば,最初の連ですが,これを

「大海原の真ん中で,一歩も動けなくなったとしても,世界中どこまでだって船を出して,きっと見つけてあげるから,暗闇の中で道に迷って,何も見えなくなった時も,行く手を照らす灯りになって,その場所にちゃんと連れてってあげるから」とするか

「大海原の真ん中で,一歩も動けなくなったとしても,世界中どこまでだって船を出して
きっと見つけてやるからな,暗闇の中で道に迷って,何も見えなくなった時も,行く手を照らす灯りになって,その場所にちゃんと連れてってやるからな

とするかで相手の性別が女性から男性に変わるような気がします。いやそんなことはないと仰る方もおいでになるかもしれませんが,少なくとも私にはそう思えました。

前者は女性に対して語りかけている気がします。しかも話者が比較的若い。これに対して,後者は相手が女性でも男性でも問題なさそうです。

そして次の表現になると,少年マンガの世界が展開するような気がします。相手は男性と思われます。

「お前が大海原の真ん中で,一歩も動けなくなったとしても,世界中どこまでだって船を出して
きっとお前を見つけてやるぜ,暗闇の中でお前が道に迷って,何も見えなくなった時も,行く手を照らす灯りになって,その場所にちゃんとお前を連れてってやるぜ

このように,①愛情や思いやりを感じさせつつ,②相手の性別を過剰に意識させないという2つの条件を満たし,なおかつ自然な言葉づかいを探し出すという作業に,今回は意外なほど苦労しました。

6 件のコメント:

  1. はじめまして。
    DefyingGravityの詳しい意味が知りたくてこちらのブログにたどりつきました。
    内容が分かるとすごく面白いです!

    今回の余談は興味深かったです。
    いくつかの和訳ブログを見て、同じ曲でも日本語が違っているのが理解できました。
    作者の気持ちをどうやって訳すのかは難しいのですね・・・。
    でも、そこに、人それぞれの良さがあるように感じました。

    個人的には、だいぶ前の シアラ>ギアラ>BodyPartyがツボでした!
    これからも対訳・余談ともに期待しています。

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    1. コメント並びに温かいお言葉ありがとうございます。和訳する場合,元の英語歌詞の内容がわからなければならないのは当然ですが,仮にそれがわかっていても,いざ文字にしてみると違和感を感じる。意味は間違っていないと思えるのに,なぜかしっくりこない。こういう状況を経験するたび,日本語の面白さを感じます。
      したがってこちらで皆様にご覧いただく訳文はあくまでも私個人というフィルタを通した歌詞世界です。これでなければならぬというわけでは決してありません。今回の曲でも,主人公の立場を「相手のことが好きなのに,今はまだ友達の域にとどまっている。しかしいつかは気持ちを打ち明けたいと思っている」と解釈すれば,最初の「あげる」が相応しいかもしれません。
      さて,別館(twitter)でも余談を展開しております。まだおいでになっていなければ,お時間があればそちらへも。お待ちしております。

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  2. 個人的に「少年マンガ」がツボでした!

    メロディが軽やかなので友情モノって線が一番しっくりくるようですが、、、、
    なんせ「あの」ミダス王ですからね(笑)気が抜けませんね。

    ちなみにミダス王は「ダフトパンク」が好きって話がありまして、なのでこの訳順にはしびれましたよ!
    bestige様の慧眼にはもう~やられました!

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    1. コメント並びに過分なお褒めのお言葉ありがとうございます。ただ残念ながらDaft Punk-Bruno Marsの流れは本当に偶然です。音楽情報に疎い私にそのような慧眼が備わっていようはずもございません。それどころかミダス王が彼らのファンだったことは今初めて知りました。

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  3. まっちゃん2015年4月24日 18:20

    練習で、この曲が必要だったので、すごく助かりました!!!
    本当にありがとうございました!

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    1. コメントありがとうございます。こちらこそお役に立ててなによりです。

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