2013年5月19日日曜日

Next To Me エミリー・サンデイ (Emeli Sande)

そもそも「あの人」とは一体誰なんでしょうか?ここでは既に彼女のRead All About It, Astronaut, My Kind of Love, Read All About It Pt.III, Clownの5曲を取り上げていますが,この中で普通の恋愛関係を歌った曲はひとつもないと思います。
このことを考えると,この歌詞に登場する「あの人」は神を指していると思います。またこう考えると「この世の終わりが訪れて,建物がみんなあっけなく崩れていっても,土地は汚染され,海もみんな干上がって,どうすればいいのかわからなくて,周りの人がうろたえても大丈夫,そばにはあの人がついてるから,ここにいてくれるから」の部分がより説得力を持つような気がします。とはいっても私自身は不可知論者なんですけどね。
Who is 'he' in the first place?  I've already posted of 5 her songs, Read All About It, Astronaut, My Kind of Love, Read All About It Pt.III and Clown.  I think none of them is about an ordinary romantic relationship.  Taking this into consideration, I think 'he' in this lyrics refers to God.  According to the interpretation, lines like, "When the end has come and buildings falling down fast, When we’ve spoilt the land and dried up all the sea, When everyone has lost their heads around us, You will find him, you’ll find him next to me" sound more convincing.  I'm agnostic, though.
Next To Me  (Emeli Sande)
You won’t find him drinking at the table
Rolling dice and staying out ’til three
You won’t ever find him be unfaithful
You will find him, you’ll find him next to me

You won’t find him tryna chase the devil
For money, fame, for power, out of greed
You won’t ever find him where the rest go
You will find him, you’ll find him next to me

Next to me – ooh hooo
Next to me – ooh hooo
Next to me – ooh hooo
You will find him, you’ll find him next to me

When the money’s spent and all my friends have vanished
And I can’t seem to find no help or love for free
I know there’s no need for me to panic
Cause I’ll find him, I’ll find him next to me

When the skies are grey and all the doors are closing
And the rising pressure makes it hard to breathe
When all I need's a hand to stop the tears from falling
I will find him, I’ll find him next to me

Next to me – ooh hooo
Next to me – ooh hooo
Next to me – ooh hooo
I will find him, I’ll find him next to me

When the end has come and buildings falling down fast
When we’ve spoilt the land and dried up all the sea
When everyone has lost their heads around us
You will find him, you’ll find him next to me

Next to me – ooh hooo
Next to me – ooh hooo
Next to me – ooh hooo
You will find him, you’ll find him next to me

Next to me – ooh hooo
Next to me – ooh hooo
Next to me – ooh hooo
You will find him, you’ll find him next to me

あの人はテーブルで酒を飲みながら
サイコロを振ってギャンブルして
夜中の3時まで外で遊んでるような
そんなことする人じゃない
いつもここにいて,そばについててくれるんだから

あの人は悪魔に魂を売り渡して
金や名声や権力なんかを
欲に駆られて追いかける
そんなことする人じゃない
他の人が行くようなところに行ったりすることもない
ここにいて,そばについててくれるんだから

ここにいて
すぐそばに
ついててくれるんだ
あの人はすぐそばにいてくれる

お金が尽きて,それで友達が一人もいなくなって
何かしてもらったり,優しくしてもらうおうと思っても
お金がなきゃしてもらえない
そんな時でも
うろたえたりしなくていいってわかってる
だってあの人がすぐそばについててくれるんだから

曇り空のスッキリしないお天気で
どこの家にも歓迎されない
そんな風にこの先に大した希望も見えてこなくて
行き詰ってるように思える時も
周りのプレッシャーが大きくて
押しつぶされそうになってしまって
息が苦しくなった時も
辛さを受け止めてもらいたい
そんな気持ちになった時も
そばにはあの人がついててくれる

ここにいて
すぐそばに
ついててくれるんだ
あの人はすぐそばにいてくれる

この世の終わりが訪れて
建物がみんなあっけなく崩れていっても
土地は汚染され,海もみんな干上がって
どうすればいいのかわからなくて
周りの人がうろたえても大丈夫
そばにはあの人がついてるから
ここにいてくれるから

ここにいて
すぐそばに
ついててくれるんだ
あの人はすぐそばにいてくれる

ここにいて
すぐそばに
ついててくれるんだ
あの人はすぐそばにいてくれる

(余談)

この歌詞では「あの人は悪魔に魂を売り渡して,金や名声や権力なんかを,欲に駆られて追いかける,そんなことする人じゃない」と語られ,一般的にもそうあると信じられている「神」ですが,ギリシャやローマの神々はもっとずっと人間的,有体に言ってしまえばだらしない感じがします。

なにしろギリシャ神話ときたら,そこらのゴシップ誌かというくらいの話が山盛りで,全能の神ゼウス(英語だと発音はズースに近いかもしれません)に至っては,女には次々に手を出すわ,その浮気を妻に知られまいと画策するわの情けなさ。およそ高潔な人柄(←まあそもそも「人」ではありませんが)とは言えません。

ならばキリスト教的な神であればいいのかというと,またそうとも言い切れず,特に旧約聖書に登場する「神」は,子どものような頑なさで,唯一神として自分を信じない者は容赦なく罰します。私など「なにもそこまでしなくても」と思うのですが,そのような仏心(←神に仏心というのもおかしな話ですが)など微塵も見せず,街は焼き払うわ,厄災は引き起こすわ,疫病をはやらせるわのやりたい放題です。(なのに「神はあなたを愛しています」と言われても・・・・・。)

The FrayはYou Found Meの歌詞で「神に出会った,一番街とアミスタッド通りの交差する角のところ,「西」が負けたも同然の場所だった,たったひとりで,タバコの最後の一本を吸ってたよ」と歌っています。http://oyogetaiyakukun.blogspot.jp/2012/08/you-found-me-fray.html

このそこら辺によくいる競馬新聞を手にしたオヤジのようなイメージに,最初に聞いた時は多少戸惑いましたが,こうして考えてみると意外にこの辺りが正しい「神」の姿なのかもしれません。

・・・とはいうものの,これはあくまでも不可知論者としての私の考えに過ぎません。人間は神の存在を否定も肯定も出来ないという立場なので,神を信じておいでの皆様のお考えを否定するつもりは一切ありません。それだけはここで申し添えておきます。

8 件のコメント:

  1. お久しぶりです。覚えておいででしょうか? amです。
    多忙により、なかなかコメントできなくてすみません。
    Emeliは私のお気に入りのアーティストのひとりです。
    今回大好きなこの曲が投稿されていてとても嬉しいです。
    ついこの間、彼女のアルバムを買ったのですが、中に入っていた和訳の紙があまりにも直訳だったので、少し残念でした。
    やはり和訳は、このおよげ対訳くん!に限ります笑

    この曲ですが、彼女は今までの男運が悪くて、やっと運命の人にあったのか?と思っていたのですがあの人は「神」のことなんですね!
    なるほどです。
    私はミッションスクール生ですので、キリスト教の神の行いしか学んでいませんが、神というのにも様々な種類があり、すべてを許す神もいれば、忠実に信じる者だけに祝福を与える神もいるんですね。偏りすごいなー笑
    この歌詞のような、すばらしい男の人がいればいいのになあ…。

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    1. コメント並びに過分なお褒めのお言葉ありがとうございます。一方向のNobody ComparesとFrank OceanのSuper Rich Kidsにコメントを下さった方ですね。お元気そうでなによりです。
      ところで,歌詞に登場する「あの人」についてですが,それが「神」であるというのはあくまでも私個人のフィルタを通した考え方に過ぎません。
      「あの人」が父親であっても構わないわけですし,弟や友達であっても構わないと思います。飼い犬や飼い猫(オス)であっても構いません。
      それどころか,突き詰めて考えれば,生き物である必然性すらもなく,例えば「音楽」を擬人化したものと考えても構わないと思います。
      したがって,am様が最初にお考えになったように,それが彼女の「運命の人」であってもいささかも問題はないと思われますので,どうかこの解釈だけが正しいとお考えになりませんよう。

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  2. も~、どうしてEmeli Sandeはわたしの心に響くのかなあ、と思うのです。
    この曲のタイトルを一見すると恋人のことを歌っているようでいて、聴けば明らかにもっと大きな存在について歌っているところが、とても彼女らしいです。

    ゴスペルのような雰囲気の曲なので、やはり「神」について歌っているのでしょうが、「あの人」を音楽と考えるのもすごくいいですね!
    わたしにとっては特にEdの曲になりますが(笑)
    何に関しても、精神的に寄り添ってくれる存在が必要で、そういう存在がいると感じることができるかどうかは、とても重要なことだと思います。

    余談に出てきたギリシャ神話ですが、クリムトの「ダナエ」という絵のモチーフが、ゼウスに迫られて洞窟まで逃げた娘だと知ったとき、とても衝撃を受けたのを覚えています(笑)
    この絵のせいで、赤毛が好きになってしまいました。

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    1. コメントありがとうございます。仰る様に「精神的に寄り添ってくれる存在」は誰にとっても必要で,通常我々はそれを人間に求めますが,改めて考えてみるとそれが人間である必然性はそれほどないような気もいたします。それが動物であっても構わないでしょうし,音楽や絵画であっても構いません。自然であるかもしれません。そして仮にそうであるとするならば,それは大変心強いことだと思います。
      以前大病を克服した友人が「以前はああしたいこうしたいと考えていたけど,今はもうそんなことはどうでもよくなった。空が青いというそれだけで幸せになれる」と語っていたのを思い出しました。(ただしその友人も体調が回復するにつれて再び以前の煩悩に悩まされるようになったらしいので,やはり普通の人間にとって悟りへの道はなかなかに険しそうです。)

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  3. 『Glee』のフィン役コーリー・モンテースさんが亡くなり、『素敵な声を持った若い才能が・・・』といったコメントをニュースで聞きました。”素敵な声”に目がないので、録りためてる母からディスクを借りて、歌のとこだけ見ていました。残念ながら私は、フィン君の声にはあまり惹かれませんでしたが、この曲に出会いました。http://youtu.be/9qNOh3_LO7I

    原曲、本当にいい曲だったので、早速歌詞チェックにこちらにお邪魔させて頂きました。声フェチとしては、Official版PVよりAcoustic版の方が、声が断然素敵で好き。それともVEVOが音質を出し渋ってるんでしょうか(笑)http://youtu.be/rm1XDFU4FXE

    ところでこの曲、大きく分けると3っつのパートに分かれてて、パート毎のサビの主語がかわるところでまず、ん?ってなります。合わせて、其々のパートで、最初はYou、次はI、最後はWeで語ってて、なんかこんがらがってきます。よくよく聴くと、①で一般的な駄目人間、②でもっと個人的な絶望の時、③ではもう”人間”を超えて世界の終わりの時を語るんですね。主語の使い分けで、表す世界観を変えていて見事ですが、主語を使い分けないわれらが言語では表現できない複雑さ。難しいですね~。さすがです。

    よっぽど気にならないと”歌詞チェック”まで辿り着かない怠惰な聴き方をしているので、毎日のご苦労はいかほどかとお察し致します。

    私もvestigeさんと同じく不可知論者です。長年カトリックの学校に通っていた(わされていた)くせに、というか、だからこそ、というか。そんな私のフィルタを通してもやっぱり、歌詞がちょっぴり賛美歌の香りがする気がします。暗喩が、You raise me upとか、The Roseとか、That's what I think(cyndi lauper)と似ているような、”気”もしました。(ふと浮かんだ3つで、まだまだあると思います。)

    それにしても、”神”または”だれか”がいてくれれば、絶望の時や終末の時にパニックにならず、心平穏に乗り切れるものですかねぇ。それとも裏の裏で、いつも見守ってくれている誰かがいるから、自分を信じて清く正しく生きてれば、どんな時も大丈夫と伝えたいのか。私が人間不信宗教不信なだけなのか。深いです。

    公式サイトによれば、2012年、彼女はだいぶブレイクしてたんですね。すでに5曲も訳されておられ、先見の明、ならぬ、先耳の明、さすがです。私は知らなかった事にちょっとショックでした。久々に素敵な歌手に出会えました。もっと頻繁にこちらにお邪魔しようと思った次第です。(それにしても、公式サイトの訳詞、あれはウケねらいですかね(笑))

    あ、あと自分じゃつぶやきませんが、vestigeさんのつぶやきは拝見させていただいてます;)長文失礼いたしました。

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    1. コメント並びに過分なお褒めのお言葉ありがとうございます。
      個人的には,この世の中で頼れるのは最終的には自分ひとりだと考えておりますが,追い詰められた時には,理性ではそんなものはいないとわかっていても,やはり「神」に祈ってしまいます。またそうすることで実際に不安が軽くなったこともございます。

      無論これはただ単に私が本当の意味での「窮地」,例えば生死の境目に追い込まれていないからで,仮にそういう事態になれば,みっともなく取り乱してしまうのかもしれませんし,「”神”または”だれか”がいてくれれば、絶望の時や終末の時にパニックにならず、心平穏に乗り切れるもの」ではないのかもしれませんが,ただ人間にはそういう「逃げ道」が必要なのではないでしょうか?

      そもそも世の中は,人間の理屈や理性ではいかんともしがたい「不合理」や「不平等」に満ちています。そういうものに直面した際に感じる無力感や憤りを埋め合わせ,人間がより楽に生存していくために「発明」したものこそが「神」ではないかと私は考えております。そして仮にそうだとすれば,この曲はその「逃げ道」があることを教えてくれているのかもしれません。

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  4. こんばんは!

    洋楽が好きで雑食的に色々聴いています。
    それを利用して洋楽で英語学習しています。
    “Next to me”の訳を調べていて、このサイトに辿り着きました。
    素晴らしい訳、本当に参考になります。

    この曲でどうしても理解できない部分があり、
    初めてコメント(というよりも、質問)させて頂きます。

    “I can’t seem to find no help or love for free”

    この一文、直訳すると、
    「無料(for free)ではNo helpもNo loveも見つけられそうもない(cannot seem to find)」となっており、二重否定になっています(cannotとnoが重なっています)。
    しかし、この文を素直に読むならば、「無料じゃ助けも愛も見つけられない」となります。

    どうしてもcannotと(helpとloveの前にある)noを上手く理解できないのですが、vestigeさんはどう解釈なさいますか?

    極めて初歩的な質問で恐縮なのですが、気になってしまいどうしようもありません。ご教示頂けますと幸いです。

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    1. コメント並びに過分なお言葉ありがとうございます。お尋ねの件ですが,自分の伝えたい言葉に力が入ってしまうのは,英語に限らずどんな言語にも共通することでしょう。この文の場合も,「(金を払わなければ)誰も何もしてくれない」という強いフラストレーションが話者にあるため,can'tと否定で文を始めたものの,それだけでは自分の言いたいことが伝わり切らないように感じられたため,さらにダメ押し的に「no help, no love」と「とにかくない」ということを強調しているのだと思われます。勿論文法的には正しくないわけですが,ビジネスや公的な文書などの改まった場合を除けば,英語圏でも一般的に用いられている表現であるように思われます。

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