2014年1月15日水曜日

There Is A Light That Never Goes Out ザ・スミス (The Smiths)

この曲はあるライターの選ぶ「1月の憂鬱(January Blues)を吹き飛ばす20曲」(20 Love Songs To Cure Your January Blues)の1曲として挙がっていました。確かに一見するとシンプルなラヴ・ソングのように思えますがそれだけでしょうか?
この曲については,うつ病を患いながらやっとそこを抜けて人生を踏み出した人間について歌ったものとする説もあります。死にたいという気持ちを表したものとする説もあります。主人公が両親の住む自宅を追い出されており,主人公がさほど幸せには見えないためです。
A writer picked this up as one of 20 Love Songs To Cure Your January Blues.  It's true that the song sounds like a simple love song but is that all about it?  
Some say it's about people who have been struggling with their depression and finally broke out of it and into the world.  Others takes it as a sort of death wish.  The protagonist doesn't seem to be incredibly happy because he's kicked out of his house by his parents.   
There Is A Light That Never Goes Out  (The Smiths)
Take me out tonight 
Where there's music and there's people 
And they're young and alive 
Driving in your car 
I never never want to go home 
Because I haven't got one 
Anymore 

Take me out tonight 
Because I want to see people and I 
Want to see life 
Driving in your car 
Oh, please don't drop me home 
Because it's not my home, it's their
Home, and I'm welcome no more 

And if a double-decker bus 
Crashes into us 
To die by your side 
Is such a heavenly way to die 
And if a ten-ton truck 
Kills the both of us 
To die by your side 
Well, the pleasure - the privilege is mine 

Take me out tonight 
Take me anywhere, I don't care 
I don't care, I don't care 
And in the darkened underpass 
I thought oh God, my chance has come at last
(But then a strange fear gripped me and I 
Just couldn't ask) 

Take me out tonight 
Oh, take me anywhere, I don't care 
I don't care, I don't care 
Driving in your car 
I never never want to go home 
Because I haven't got one, da
Oh, I haven't got one 

And if a double-decker bus 
Crashes into us 
To die by your side 
Is such a heavenly way to die 
And if a ten-ton truck 
Kills the both of us 
To die by your side 
Well, the pleasure - the privilege is mine 

Oh, there is a light and it never goes out 
There is a light and it never goes out 
There is a light and it never goes out 
There is a light and it never goes out 
There is a light and it never goes out 
There is a light and it never goes out 
There is a light and it never goes out 
There is a light and it never goes out 
There is a light and it never goes out

連れて行ってよ
音楽があってたくさん人がいるとこに
そこではみんなが若くて
生き生きしてる
その車に一緒に乗ってる時は
家になんか帰りたくない
だってもう
帰るところなんてないんだから

今晩誘ってよ
みんなに会って
本当の人生ってものを知りたいから
車に一緒に乗ってる時は
もう家の前で降ろさないでよ
だってあそこはもう
自分の家じゃないんだから
あいつらが住んでる家だけど
もう邪魔者扱いされてるから

今ここで
二階建てバスが突っ込んで来て
一緒に死んじゃったとしたら
それはそれで幸せだよ
だって最高の死に方だから
それから10トントラックに
一緒に轢かれて死んじゃっても
そばで死ねるってことだから
それだって悪くない
特別な死に方って気がするよ

今晩出かけよう
行先なんてどこでもいいよ
気にしないし,どこでもいいんだ
とにかく出かけられれば
地下道の暗がりの中にいた時に
ああ神様ありがとう
やっとこの時がやってきました
そんな風に思ったのに
(なぜかとにかく怖くなっちゃって
聞きたいことも聞けなかった)

今晩誘ってよ
行先なんてどこでもいいよ
気にしないし,どこでもいいんだ
とにかく出かけられれば
その車に一緒に乗ってる時は
家になんか帰りたくない
だってもう
帰るところなんてないんだから

今ここで
二階建てバスが突っ込んで来て
一緒に死んじゃったとしたら
それはそれで幸せだよ
だって最高の死に方だから
それから10トントラックに
一緒に轢かれて死んじゃっても
そばで死ねるってことだから
それだって悪くない
特別な死に方って気がするよ

一筋の灯りが見える
いつまでも決して消えない
そんな灯りが

(余談)

先日買い物に出たところ,デパートの食品売り場がそろそろヴァレンタインデー仕様になっていました。そこでこれからヴァレンタインデーまで少しずつラヴ・ソングでも取り上げるとかと思っていた時に目についたのがこの曲です。

確かにヴァレンタインデーに向けてという意味であれば,I love you, I need you, I can't live another day without you的な正統派のラヴ・ソングを取り上げるべきなのかもしれませんが,その場合あまりに和訳が大変なのでどうしてもこういう「色物」的なものになってしまいます。

そもそもI love you, I need you, I can't live another day without youなどと言うのは,あくまでもレトリックであり,いわば白髪三千丈的表現です。したがって大抵の場合は,言う方も言われる方もお互い「レトリックだよね」と薄々勘付きながらも「ここはひとつ事を荒立てずに流れに任せておこう」と考えて粛々とコトが運ぶわけですが,時にそれを額面通り取る人がいるためにコトが揉めるのではないかと思われます。

5 件のコメント:

  1. 普通のラブソングのようでもあり、よくある「ここではないどこかへ」ソングのようでもあり、深読みシリアス路線も捨てきれない。曲も明るいのか暗いのか不思議な響きで正体が見えない曲ですね。しかし「色物」系に目がない私にとって大好物であることは言うまでもありません。(もし単純なラブソングだとしても気持ちを伝えようとするとサビのような変に後ろ向きな言葉になってしまう主人公が私はたぶん好きです)

    「歯が浮く」という言葉がありますが、どうもラブソングについては私の歯は平均より早く浮き始めるような気がします。そのため「色物」や「ひねくれたヤツ」に出会うと安心するのかもしれません。ちなみに洋楽を聴き始めた頃、最初に私の歯がグラついた経験はこれでした。

    Baby I want you like the roses want the rain
    You know I need you like a poet needs the pain

    Bで始まるアメリカの大物ロックバンドの曲(たぶん失恋ソング)ですが、当初は、こう言って追いすがって来た男とヨリを戻してくれる女の人が果たしているのだろうかと脳内に疑問符が飛び交いました。しかし徹頭徹尾ベタベタな詞を散りばめられるとそのうち気にならなくなってくるあたりが人の順応力の恐ろしさかもしれません。

    返信削除
    返信
    1. コメントありがとうございます。以前どこかで読んだのですが,詐欺師のウソというのはそれが荒唐無稽であればあるほど人は信じやすいそうです。すなわち「いくらなんでもそこまでベタな話はないだろう → てことは本当じゃ?」と相手に思わせるのがコツらしく,仮にそうだとすれば,ああ見えて件の歌詞も,実際には綿密に計算されたものなのかもしれません。

      ただいずれにしろ,このような「飛び道具(=歌詞)」を手にした場合,そこで使うのを躊躇うか躊躇わないかで,人生の明暗が色んな意味で分かれるように思われますが,私の歯の比重もロメオ様に負けず劣らず軽いということだけはここで申し上げておきたいと思います。

      削除
  2. 素晴らしい対訳をありがとうございます。

    先日ケイト・ブランシェット主演の「キャロル」と云うそれはそれは素晴らしい映画を見て、今原作を読んでいるのですが、語り手のテレーズがこの歌のように「ドライブしている今この瞬間に事故って死んじゃえばいいのに」と密かに思うシーンが有り、元ネタはひょっとしたらこれだったか!と、非常に感動しております。

    映画を一緒に見て、原作本を貸してくれた恋人に、このページのURLを送りました。

    返信削除
    返信
    1. コメント並びに過分なお言葉ありがとうございます。寡聞にしてその映画のことは存じませんが,映画や音楽に登場する「本歌」がわかった時の嬉しさは私にも覚えがございます。zgok様のお役に立てたとすればなによりです。

      削除
  3. 2009年の500 day's of summerという映画で、この曲が革新的なシーンで使われております。2023年の今、これを書いているのはベーシストが先月亡くなったからです。

    返信削除