2015年12月31日木曜日

The Sound of Silence サイモン・アンド・ガーファンクル (Simon & Garfunkel)

この曲は今まで何度も耳にしていますが内容を知ったのは今回が初めてです。これまでは彼らが作り出す美しいサウンドは好きだったのですが,この曲が伝えようとしているメッセージについては全くわかっていませんでした。聞きながら泣きそうになりました。特に「みんな一様に口だけは動いてるけど,話をしてるわけじゃない,声は聞こえているけれど,真面目に聞いてるわけじゃない曲を作っても誰の心にも響かない,「なにもない音」が溢れてるのに,勇気を出してそのことを変えるヤツはいないんだ (People talking without speaking, People hearing without listening, People writing songs that voices never share, And no one dared, Disturb the sound of silence)」の部分が胸にこたえました。
So many times I've heard this song before but it's the first time that I realize what it's talking about.  I loved the beautiful sound the duo created but was completely ignorant of the message they're trying to deliver by the song.  It almost brought me to tears listening to the song this time.  Especially lines like "People talking without speaking, People hearing without listening, People writing songs that voices never share, And no one dared, Disturb the sound of silence" are amazing and hit me deep in my soul.
The Sound of Silence  (Simon & Garfunkel)
Hello darkness, my old friend
I've come to talk with you again
Because a vision softly creeping
Left its seeds while I was sleeping
And the vision that was planted in my brain
Still remains
Within the sound of silence

In restless dreams I walked alone
Narrow streets of cobblestone
'Neath the halo of a street lamp
I turned my collar to the cold and damp
When my eyes were stabbed by the flash of a neon light
That split the night
And touched the sound of silence

And in the naked light I saw
Ten thousand people, maybe more
People talking without speaking
People hearing without listening
People writing songs that voices never share
And no one dared
Disturb the sound of silence

"Fools" said I
"You do not know, silence like a cancer grows
Hear my words that I might teach you
Take my arms that I might reach you"
But my words like silent raindrops fell
And echoed
In the wells of silence

And the people bowed and prayed
To the neon god they made
And the sign flashed out its warning
In the words that it was forming
And the signs said
"The words of the prophets are written on the subway walls
And tenement halls
And whisper'd in the sounds of silence

「暗闇」よお前とは
もう長い付き合いだから
また話をしに来たよ
マボロシが
知らないうちに忍び寄り
夜眠っている隙に
頭の中にその種を
残して行ってしまったせいで
いつまでも
そのマボロシが消えなくて
頭の中で音もなく
こだましているんだよ

次々と
移り変わる夢のさなかを
たったひとりで歩いてた
石畳の狭い通りを
ひとつしかない街灯の
光の暈(かさ)に照らされながら
周りの湿った冷たい風に
触れないように襟を立てたよ
目の中に刺すような
ネオンの灯りが飛び込んできて
夜なのに
そこだけパッと明るくなった
そしてその時に
音のない状態が
「なにもないの音」ってものが
どんなものなのか知ったんだ

そしてその剥き出しの
光の中に見えたんだ
1万人かそれよりもっと
それくらいの人の姿が
光の中に浮かんでた
みんな一様に
口だけは動いてるけど
話をしてるわけじゃない
声は聞こえているけれど
真面目に聞いてるわけじゃない
曲を作っても
誰の心にも響かない
「なにもない音」が溢れてるのに
勇気を出してそのことを
変えるヤツはいないんだ

「バカだよ
「気づいてないんだろ?
ちょうどガンと同じだよ
「黙殺」っていうヤツも
放っておいたらデカくなる
だから人の言うことは
真面目にちゃんと聞ておけ
手を差し伸べて貰ったら
邪険にせずに受け止めろ」
そう言ってみたけれど
音もなく
降り注ぐ雨と同じで
「黙殺」って名の井戸の中に
吸い込まれて行ったんだ

結局みんな有難がって
でっち上げたニセモノの
ネオンの神に祈ってた
強い口調でお告げの言葉が
警鐘を鳴らしてる
そこにはこう書いてある:
「預言者の言葉なら
地下鉄の壁の上とか
安アパートの玄関に
そういうところに書いてあるのに
耳元で聞こえてるのは
「なにもない音」それだけで
誰もちっとも気にしない」

(余談)

この曲に限らず有名な曲というのは,過去に何度も耳にしているだけに往々にして内容もわかっているような気になるものですが,実際にはそうでない場合がほとんどです。勿論内容を理解なさっている方もいらっしゃると思いますが,少なくとも私の場合はたまたま見たSongmeanings.comでこの曲が話題になっていたことで今回初めてこの曲の内容を知りましたが,予想以上に深い内容に圧倒されました。

4 件のコメント:

  1. Hotel Californiaでコメントを書かせていただきました。匿名だとわかりにくいので安直にこのHNでw
    大概僕が解釈するとDrug Songになってしまうんですがw、これも恐らくそうでしょう。Sound of Silenceって言うところからして怪しいですw 「沈黙の音」っていうのはまず、意識できないです。これはどちらかというと聴覚がさっわたっているときに感じられる感覚で、無音が聞けるのは恐らく、リチルギン酸系の薬物(LSD)のようですね。アンフェタミン系でも知覚過敏はでますが、当時の流行を考えるとLSDのほうでしょう。ですのでa visionはそのための幻視のようです。歌詞の中では詳しく書いてませんがw。
     2連の歌詞はこれも灯りに対する過敏性と音に対する過敏性の描写のようです。3連目はLSDの酩酊で言葉の意味論が失われて、言葉の「音」としての側面だけが大きく響く感じなんでしょう。少人数でも複視が出現して何人にも見えるっていうのは、まティモシー・フランシス・リアリー先生が確か何度も報告していたようなw
     というわけでトリップの歌詞をうまく人生のメタファーのように取れるような感じに書いていますが、まあ、この発想がほしくて当時のミュージシャンはこぞってラブアンドピースを推進したきらいがありますね。

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    1. コメントありがとうございます。お話を伺いその線があったかと目を開かれた思いがいたしました。また曲の解釈や理解にも一層深みが出たような気がいたします。ありがとうございました。

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    2. お返事ありがとうございます。僕のやっている解釈って結局「病跡学」に近いので、翻訳とはまた別の切り口かなともおもいます。まあ、いろいろ解釈できたほうが楽しいですし、作者もきっと喜んでくれそうですけどねw
       益々の名訳を楽しみにしております

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  2. 臨済禅の公案に「両手の鳴る音や知る。片手の鳴る音や如何に?(隻手音声)」というのがあります。
    サリンジャーの『ナイン・ストーリーズ』の刊行が1953年。
    その扉にこれが引用されているので、アメリカでも有名になったのでしょう。
    1950年の頃は鈴木大拙(臨済宗)が北東部、ニューヨークに住んでいます。

    で、それから10年後、sound of silenceのリリースは1964年。
    当時のアメリカはヒッピームーブメントなんですよね。
    この1967年の動画にはAllen Ginsbergも例の風貌で映っています。
    https://www.youtube.com/watch?v=yHZ4-4f2rUI
    西海岸、サンフランシスコ周辺は、鈴木俊隆(曹洞宗)で調べると興味深いです。

    実は日本人の足下にこそ情報があるように思えます。
    さて、どうでしょう?

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