2012年11月29日木曜日

Supersonic オアシス/オエイシス (Oasis)

この曲の歌詞を見たとき,その訳のわからなさに困惑しましたが,ある海外の歌詞サイトで,これは労働階級の現実と退屈な人生を歌った曲であるとの解釈を見つけ,それでやっと疑問が解けました。その解釈によれば,そういった恵まれない環境で成長することに対する絶望や挫折感を歌っているそうです。この点を踏まえれば,以前投稿したLive Foreverの別ヴァージョンと言えるのかもしれません。http://oyogetaiyakukun.blogspot.jp/2012/08/live-forever-oasis.html
ところで,本館ではこれまで多くの曲,とりわけ英国の労働階級出身のアーティストの曲を取り上げてきましたが。その過程で,彼らの挫折感が日本では考えられないほど大きいということがわかってきました。
日本人アーティストで,英国や米国の音楽市場で活躍できる人は非常に少ないのですが,それはこういう理由なのかもと思い至りました。我々日本人は恵まれすぎているのかも。
I was completely riddled with the lyrics until I found an interesting interpretation that this song is about the reality and mundane life of working class on a website where people talk about song lyrics. According to the interpretation, the song describes despair and frustration of growing up in such a bleak environment.  Considering this, it could be another version of Live Forever I posted before. http://oyogetaiyakukun.blogspot.jp/2012/08/live-forever-oasis.html
Translating many English songs, especially artists from UK, I mean artists from working class, I came to realize that the frustration they hold is much greater than we had imagined here.
It makes me realize that very few Japanese artists have made their way in UK or US music market.  We might be too blessed.
Supersonic  (Oasis)
I need to be myself
I can't be no one else
I'm feeling supersonic
Give me gin and tonic
You can have it all but how much do you want it?
You make me laugh
Give me your autograph
Can I ride with you in your BMW ?
You can sail with me in my yellow submarine

You need to find out
'Cos no one's gonna tell you what I'm on about
You need to find a way for what you want to say
But before tomorrow

'Cos my friend said he'd take you home
He sits in a corner all alone
He lives under a waterfall
No body can see him
No body can ever hear him call

You need to be yourself
You can't be no one else
I know a girl called Elsa
She's into Alka Seltzer
She sniffs it through a cane on a supersonic train
She made me laugh
I got her autograph
She done it with a doctor on a helicopter
She's sniffin in her tissue
Sellin' the Big Issue

She needs to find out
'Cos no one's gonna tell you what I'm on about
She needs to find a way for what she wants to say
But before tomorrow

'Cos my friend said he'd take you home
He sits in a corner all alone
He lives under a waterfall
No body can see him
No body can ever hear him call

本当の俺はこんなんじゃない
だからこのままじゃいられない
他人のフリなんかはできないよ
超音速(スーパーソニック)でブッ飛ばしてる 今はそんな気分なんだ
安酒のジン・トニックを作ってくれよ*
その気になればなにもかも思い通りだけど
本当にそこまで思ってんのか?
お前は本当に笑わせてくれる
お前有名人なんだろ?サインをくれよ
BMWだって持ってんだろ?なあ俺も乗せてくれよ
だけど,お前だってやれるんだ
俺みたいに,自家用のイエロー・サブマリンに乗るような
そんな暮らしも夢じゃない

だけどここから抜け出す方法は,自分の頭で考えなきゃダメなんだ
他人は教えてくれないぞ
俺がこうして話してるのは,一体何の話なのか
それを自分の頭で考えてみろ
言いたいことがあるんなら
それをどうやって伝えればいいのか
自分で考えなきゃダメなんだ
しかもやるなら今日すぐだ モタモタしてちゃダメなんだ
時間が経って明日になったら,もうチャンスはなくなるんだから

昔ずっと俺につきまとって,友達みたいに思えてた
あの馴染んだ労働階級の暮らしに流されて
元の自分に逆戻りだ
そうだよ いつも一人ぼっちで隅に座って
滝のような酒を浴びるように飲んでる
そんな自分のままなんだ
誰も注目してくれない
何を言っても耳を貸してもらえない
いてもいなくてもわからない そんなヤツのままなんだ

だからそうなりたくないなら
自分らしく生きなきゃダメだ
流されるなんてバカげてる
知ってる子で,エルサってのがいるんだけど**
そいつはアルカ・セルツァーにハマってて***
超音速の電車の上で,杖を使ってそいつを吸ってる
笑えるよ
その子のサインももらったよ
ヘリコプターに乗せられて,医者の出す書類にサインしたヤツ
コカインを静脈に注射するようなヤツで
「ビッグ・イシュー」を売ってるホームレスだ

あの子だってお前と同じ
ここから抜け出す方法は,自分で考えなきゃダメなんだ
他人は教えてくれないぞ
俺がこうして話してるのは,一体何の話なのか
それを自分の頭で考えてみろ
言いたいことがあるんなら
それをどうやって伝えればいいのか
自分で考えなきゃダメなんだ
しかもやるなら今日すぐだ モタモタしてちゃダメなんだ

昔ずっと俺につきまとって,友達みたいに思えてた
あの馴染んだ労働階級の暮らしに流されて
元の自分に逆戻りだ
そうだよ いつも一人ぼっちで隅に座って
滝のような酒を浴びるように飲んでる
そんな自分のままなんだ
誰も注目してくれない
何を言っても耳を貸してもらえない
いてもいなくてもわからない そんなヤツのままなんだ

(補足)

*     ジン・アンド・トニック(ジントンック)は,労働階級の安酒としてのイメージが強い酒です      
**    このエルサ,実際は人間ではなく,犬だそうです
***   アルカ・セルツァーは,米国製の水に溶かして飲む発砲錠剤。頭痛・消化不良・胸焼けに効くそうです

(余談)

これまでかなりの数の英国アーティストの歌詞を訳してきたのですが,それで気づいたのが,彼らの歌詞には本当に意外なほど「酒」と「タバコ」が登場するということでした。

日本にいると海外(英語)情報のかなりの部分が米国発なのに加え,ここ本館で取り上げる曲がやや偏っているために,タバコをイメージさせられることはほぼありません。無論,実際にはアルコール依存症の問題がかなり広がっているのですが,少なくともミュージック・ヴィデオという表向きの世界では,アルコールはさほど前面に出ているとは思えません。

これに対して,英国の場合は,歌詞にdrunkや酒の固有名詞が頻繁に登場します。ネコに気を取られてヴィデオに集中できないEd SheeranのDrunkは,題名からして「酔っ払い(Drunk)」な上に,ヴィデオのなかでも,見ているこちらが酔いそうなほど次々と酒をあおっていますし,Amy WinehouseのYou Know I'm No Goodの歌詞には,タンカレーというジンのブランドが登場します。

なにしろposh(気取ってる)な喋り方のため,デビューが危ぶまれたという噂のあのJB(ここ本館にいうJBはJames Brownではなく,James Bluntです)でさえ,Carry You Homeのミュージック・ヴィデオではビールを飲んでいます。

またタバコに関しても,前述のEd Sheeranの歌詞には頻繁にsmokeという単語が登場しますし,アーティスト自身も喫煙者であることをさほど隠している様子はありません。

「酒」と「タバコ」という伝統的な悪習に対して,多神教的に「公に是とはしないが完全排除もしない」というスタンスの英国と,(表面的にでも)徹底的に排除する一神教的苛烈さを感じさせる米国との認識の違いを見るような気がしました。

・・・実は昨今のハード・スケジュールのため,さしものヨダン(詳細はTwitterのプロフィールをご覧ください)も体調を崩してしまったため,今回の余談は弟弟子のホソクが担当しております。ためにいつもの余談とはかなり雰囲気が違うかと存じます。ヨダンファンの皆様,大変申し訳ありません。

ただヨダンも遠からず復活すると思いますので,彼の体調回復を今しばらくお待ちくださいませ。

14 件のコメント:

  1. この曲も含めて1997.8年以前はノエルが
    ドラッグの力を借りて書いた曲がほとんどで、
    曰く「1998年以前までにドラッグに100万ポンドは使った」とのことです。
    勿論相当大げさに言ってることは間違いないでしょうが、
    お金が無かったときの思いを歌った歌詞なのはともかく
    「薬止めてからBMWに嫉妬しなさいよ!」とちょっと突っ込みたくなります。

    それはともかくとして家の両親は酒もタバコも一切やらない人で、
    酒やタバコと言った歌詞が出てくると
    どうも身近なものには感じれなかったりします。

    といっても父親は高校時代にグレて酒タバコは一生分くらいやったそうですが、
    そこから会計士になるまで勉強したことを考えれば
    『バンドマンみたいな人生過ごしてるなぁ』と思いました(笑)

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    1. コメントありがとうございます。彼のファンでいらっしゃるだけあって,どらもん様はさすがにお詳しい。そのお話は全く存じませんでした。
      海外の歌詞サイトでも,これはコカインについて歌った曲であるという意見が多数見られましたが,その説によると,最初の連「I need to be myself,I can't be no one else,I'm feeling supersonic,Give me gin and tonic 」は,コカインについて述べた箇所だそうです。

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  2. 初めまして。良い訳ですね、頭にすんなり入って来て昨夜安酒を飲み過ぎて二日酔いの身にしみます。スーパースターになっても相変わらずマンチェスターのクソガキといった感じのギャラガー兄弟は楽しくて好きです。
    体調を崩されているとの事、ご自愛ください。

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    1. コメント並びに温かいお言葉ありがとうございます。体調を崩しているのは私ではなくヨダンの方ですが,いずれ遠からず復活すると思います。
      ギャラガー兄弟,先日兄のノエルがどこかのパーティで備品を持ち出そうとして怒られたとか怒られなかったとか。「クソガキ」の名に相応しい武勇伝かと存じます。
      さて,別館(twitter)でも余談を展開しております。お時間があればそちらへもおいでください。お待ちしております。

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  3. この曲、かっこいいですよね。ボーカルの人の個性もいいし、No body can see himからの後のターンタタンターララララララララン(←わからないって!)っていうギターが最高にクールでしびれます。適当に50曲くらい選んで作ったプレイリストに、この曲を入れているのですが、シャッフルして聴いていて、この曲のイントロのドラムの音が聞こえてくると、テンションがあがってしまう。Oasisの名前はさすがに知っていましたが、ちゃんと聞いたことはありませんでした。やっぱり聞く価値があるんだなあ、CDをちゃんと聴こう、と思っているところです。内容はじっくり読んでもこれはさっぱりです。随分行間を埋めていただいて、リードと補足も読んでやっとそういう歌だったか、と思いました。でも、逆にいえば、「しかもやるなら今日すぐだ モタモタしてちゃダメなんだ」というようなメッセージをBut before tomorrow だけで伝えてくる、っていうのもなんともかっこいいじゃないか、と思いました。

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    1. コメントありがとうございます。仰る通り,But before tomorrowの3語で表現しているところが大変クールなこの曲ですが,それだけに和訳は大変でした。直訳にすればそのクールさは残るのでしょうが,それでは内容が容易に理解できる訳にするという本館の趣旨にもとります。逆に理解しやすさを追及し過剰に内容を補ってしまうと,独断や偏見,あるいは意訳し過ぎとの批判を受けることになります。そのせめぎあいのなかで,どこで線を引くかが和訳する上での最大の難関であるような気がいたします。

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  4. はじめまして。自分はこの曲が好きでよく聞いているんですが解釈がまちがっていました。サビの部分の「自分のあり方は他人が教えてくれない」You need to find out
    'Cos no one's gonna tell you what I'm on about
    You need to find a way for what you want to say
    But before tomorrow というのを受けてそのあとの友人の話は世間体や他人の価値観から離れ無心で何かに打ち込んでる人、つまりいい例だととらえていました。

    この記事はだいぶ前のもののようですが書き込みさせていただきました。
    失礼しました。

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    1. コメントありがとうございます。ただこの解釈も海外の歌詞サイトにあったものを採用しているだけですし,それをさらに私というフィルタを通して皆様にお見せしているものなので,当然のことながら様々なバイアスがかかっています。
      決して「正しい」解釈という訳でもありませんし,そもそも歌詞の解釈に「正解」などないと思っております。
      解釈はその曲をお聴きになった方お一人お一人のものです。お話しの解釈もart様だけのもの。どうか同じように大切になさってください。

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  5. >我々日本人は恵まれすぎているのかも。
    そんなことはないと思いますよ。この曲を聴いて、友人の中にも思い当たる人間が何人かいます。一人は自殺しました。すごく仲が良かったんで、死んだ後部屋に部屋に入らせてもらったのですが、床にウィスキーの瓶が何本も転がっていたのを憶えています。昔は、別に頭が悪いわけでも怠け者でもない、いいい奴だったけど、ある時を境に徐々におかしくなって結局は酒びたりになってしまいました。どこだかの新聞社の奨学生制度で働きながら大学に通っていたんですが、結局ライン作業とかそういう仕事ばっかりしていましたね。最後にコールセンターだかの面接に落ちた後「俺のどこが悪いんだろう」って言葉です。ほとんど泣きそうな様子で言われて、言葉がありませんでした。もちろん、大抵の人にはそういう知り合いがいません。なぜなら、この歌詞にあるとおり、そういう奴らは滝の下に住んでいて、いくら悲鳴を上げても誰にも聞こえないからです。解釈がどうという問題ではなく、この曲はそういう人間を歌ったものだと思います。

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  6. 薬剤師をしているこちらのページのファンです。アルカセルツァーの注釈に発泡胃薬とありましたが、基本的にはそれ目的で飲む人は少ないかと思います。アスピリンが主成分ですので頭痛やその他の痛みを取る目的で しかも効き目を早くするため発泡性にしてあります。要するに炭酸ガスですが、これが胃にたまたま効くという仕組みです。ちなみにアルカセルツァーモーニングリリーフというカフェイン配合の二日酔いによる頭痛に効く薬も人気があるみたいです。こちらのページが大好きで、エドシーランやoasisの対訳をよく読んでます!

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    1. コメント並びに詳細な情報をありがとうございます。早速補足の部分を修正いたしましたのでご確認ください。今後もエリザベス様がお詳しい分野のことで,何か私が思い違いをしている点がありましたら是非またお知らせください。

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  7. 「supersonic」には、スラングで「ドラッグ」「覚せい剤」「ドラッグをキメた状態の」という意味があります。
    即効で効くという過程の意味を踏まずとも、直接的意味で使います。
    もちろん、歌や映画などには、「速度の速さ」の意味とかける場合があります。
    普通の辞書では確認できないと思います。

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  8. なんで,直訳しないんですか?

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    1. コメントありがとうございます。理由は私自身が「どちらかと言えば直訳でないものを読みたい」と思うからです。

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