2013年1月30日水曜日

Welcome To The Black Parade マイ・ケミカル・ロマンス (My Chemical Romance)

彼らのFamous Last Word同様,この曲も, 死を目前に控えたThe Patientという人物を主人公にした架空の物語の上に成り立っています。私が考えるこのアルバムのテーマは「(限りある人生を)精一杯生きる(そして満足して死を迎える)」。
というのも,日常我々が「死」について考えることはあまり多くありません。つまり「死にそう」「死ぬほど知りたい」などと口にしたりしますが,実際にそう思っているわけではないからです。しかし本当は誰しも死に向かっています。いつかその日は来ます。あまり考えたくはないことですが事実です。50年後かもしれませんし,もしかしたら今日かもしれません。そう考えた時,果たしてその覚悟ができているんでしょうか?
Like their Famous Last Word, this song is also written on a fictional story of The Patient who is going to die.  I think the underlying theme of the album containing these tracks is "Live life to the fullest (and die happy.)."  We usually don't think of dying very often.  I mean we often say "I'm gonna die" or "I'm dying to know" kind of things but we don't mean it.  However, we will die someday.  It's not a happy thought but true.  It could be 50 years later but could be today.  Are we prepared for it?
Welcome To The Black Parade  (My Chemical Romance)
When I was a young boy,
My father took me into the city
To see a marching band.

He said, "Son when you grow up,
would you be the saviour of the broken,
the beaten and the damned?"
He said "Will you defeat them,
your demons, and all the non-believers,
the plans that they have made?"
"Because one day I'll leave you,
A phantom to lead you in the summer,
To join The Black Parade."

When I was a young boy,
My father took me into the city
To see a marching band.
He said, "Son when you grow up,
would you be the saviour of the broken,
the beaten and the damned?"

Sometimes I get the feeling she's watching over me.
And other times I feel like I should go.
And through it all, the rise and fall, the bodies in the streets.
And when you're gone we want you all to know.

We'll carry on,
We'll carry on
And though you're dead and gone believe me
Your memory will carry on
We'll carry on
And in my heart I can't contain it
The anthem won't explain it.

A world that sends you reeling from decimated dreams
Your misery and hate will kill us all.
So paint it black and take it back
Let's shout it loud and clear
Do you fight it to the end? we hear the call

To carry on
We'll carry on
And though you're dead and gone believe me
Your memory will carry on
We'll carry on
And though you're broken and defeated
Your weary widow marches

On and on we carry through the fears
Ooh oh ohhhh
Disappointed faces of your peers
Ooh oh ohhhh
Take a look at me cause I could not care at all

Do or die, you'll never make me
Because the world will never take my heart
Go and try, you'll never break me
We want it all, we wanna play this part
I won't explain or say I'm sorry
I'm unashamed, I'm gonna show my scar
Give a cheer for all the broken
Listen here, because it's who we are
I'm just a man, I'm not a hero
Just a boy, who had to sing this song
I'm just a man, I'm not a hero
I! don't! care!

We'll carry on
We'll carry on
And though you're dead and gone believe me
Your memory will carry on
We'll carry on
And though you're broken and defeated
Your weary widow marches on

Do or die, you'll never make me
Because the world will never take my heart
Go and try, you'll never break me
We want it all, we wanna play this part (We'll carry on)

Do or die, you'll never make me (We'll carry on)
Because the world will never take my heart (We'll carry on)
Go and try, you'll never break me (We'll carry)
We want it all, we wanna play this part (We'll carry on)

まだ子どもの頃
オヤジが街に連れてってくれて
そこでマーチング・バンドってものを見た

オヤジはこう言ってたよ:
大人になったら
困ってる人や苦しんでる人の役に立ってくれ
こうも言ってた:
心の中の醜い自分に打ち勝って
周りからそんなの無駄だと言われても負けないで
そいつらを見返してやれるか?
だってな,いつかはお前一人になる時が来るんだ
そうなったらお前にしてやれることはもういくつもない
夏の世界に連れ出して
死のパレードに入れてやるくらいしかできないんだ

まだ子どもの頃
オヤジが街に連れてってくれて
そこでマーチング・バンドってものを見た
オヤジはこう言ってたよ:
大人になったら
困ってる人や苦しんでる人の役に立てる人間になってくれ

時にはこう感じるときもある
ああ見守られてるんだなって *
だけどもういいよって思う時もあるんだよ
辛い状況に陥ったり
浮き沈みを経験したり
舗道に転がってる死体を見たりすると
だけどこの世を去る時が来ても
どうかこれだけはわかって欲しい

それでも世の中は動いていく
残った者の人生も,そこで終わるわけじゃない
その後も続いていくってことを
体は死んで消えていっても
思い出だけはそのまま残る 消えたりしない
そしてその思い出を抱いたまま,残った者は生きていくんだ
こんなこと秘密になんてしておけない
いくら国歌を聞いたって
それじゃわかりっこないんだから 

生きていれば物事に幻滅することもある
だけどそれにショックを受けて
苦しんだり,恨んだりしていると
それを見て,周りにいる人間も同じように苦しむんだ
だからそんなことくらいで動揺するな
はっきり声に出して言うんだ
最後まで戦い抜く覚悟があるのか?
そしたらこう聞こえてくる 

それでも世の中は動いていく
残った者の人生も,そこで終わるわけじゃない 
その後も続いていくってことを
たとえ体は死んで消えていっても
思い出だけはそのまま残る 消えたりしない
そしてその思い出を抱いたまま,人生はまた続いていく
たとえ自分は衰弱して力尽きてしまっても
残された方はそれからも一歩ずつ人生を歩いていく

不安を抱えながらそれでも人間は生きていく
周りは落ちこんでいるけれど
ほら見てよ こっちはそんなの気にしてないから

力づくで人を動かすことなんてできないよ
どうやったってこの気持は変わらない
なんならやってみればいい だけど決して負けたりしない
欲張りなんだよ こういう人間として生きたいんだ
言い訳するつもりもないし,謝るつもりだってない
自分を恥じたりしてないから,傷だって隠すつもりもない
苦しんでる人を励ますんだ
よく聞いてよ だってそれが本当の自分なんだから
ただの平凡な人間だし,別にヒーローってわけでもない
そこらの若いにいちゃんだけど
この歌を歌うために生まれてきたんだ
よくいる普通の人間で,大したことのないヤツだけど
そんなの気にしないよ 関係ない

それでも世の中は動いていく
(残された人の)人生はその後も続いていくんだって
そして,たとえその体は死んで消えてしまっても
思い出だけはそのまま残る 消えたりしない
そしてその思い出と一緒に,人生はまた続いていく
たとえ自分は衰弱して力尽きてしまっても
残された方はそれからも一歩ずつ人生を歩いていく

力づくで人を動かすことなんてできないよ
どうやったってこの気持は変わらない
なんならやってみればいい だけど決して負けたりしない
欲張りなんだよ こういう人間として生きたいんだ

力づくで人を動かすことなんてできないよ
どうやったってこの気持は変わらない
なんならやってみればいい だけど決して負けたりしない
欲張りなんだよ こういう人間として生きたいんだ

(補足)

* 歌詞中に登場する「Sometimes I get the feeling she's watching over me」の箇所。このsheが誰を表すのかについては,妻・母・神と諸説あるのですが,仮に最後の神であるとすると興味深い。
なぜなら「人を超越した存在」を表現する時,英語では男性の三人称を使うのですが,この曲ではsheと女性の三人称を使っているからです。

(余談)

この曲,「夏」という一般的には「生命」を感じさせる言葉を使って「死(の世界)」を表現しているところが独特ですが,個人的にこの感じは大変よくわかります。

というのも,実は夏は冬よりもはるかに「死」に近い季節だからです。蝉の死骸,道端で干からびたミミズ,街灯の周りで死んでいる蛾などよく見ると,そこかしこに「死」が溢れています。生命に満ち溢れた世界のなかには,同じだけの死が潜んでおり,実は自分もその一部だということを否応なく認識させられます。

そういう意味で,この曲の歌詞には他にはない深さがあるような気がします。


15 件のコメント:

  1. これ!好きです。アップテンポな曲ですが、死というものに言及している。叶わなかったこととは言え、一度は演奏してみようと思っていた曲なだけに、やっぱり思い入れがあります。ここで取り上げられて感激しています!

    ところで先月、1月から、ほとんどと言っていい程この本館にお邪魔できていません・・・。部活が忙しいのですが、充実しているなとも感じています。現在部長を務めていまして、責任の問われる立場ではありますが、精一杯やっています。部内では洋楽が好きな人も多くて、部室で音楽をかけたりしていますよ!Bruno Mars, Maroon5, Kimbra... vestigeさんのおかげである程度は話にもついていけますし(笑)、盛り上がります^^ ありがとうございます!

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    1. コメントありがとうございます。nakko様は,私がまだ路上でブランド品のバッタもんを売っていた頃からの上得意のお客様です。本館が少しでもお役に立っていると伺いこれ以上の喜びはございません。部長と言うお立場上,なかなかお忙しいとは存じますが,今後もお時間が出来た折にはまたこちらへもお越しください。

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  2. バッタもんだなんて。私は、何かその人にとって決定的なものに出会う時は、その場所や時間帯や精神的状態など、丁度いいタイミングがあるんだと考えています。丁度いいタイミングというか、それがその時その人に必要だったんだと。私がvestigeさんとこのサイトに巡り会ったのはそういうわけです。はっと私の目に止まったんです。その時のvestigeさんやこのサイトは、今のvestigeさんにとってまだまだだったのかもしれませんね。でも、私にはそんなことはわかりませんでしたし、こう言うと冷たいように聞こえるかもしれませんが、関係なかったんですよね。ただ私に必要だったんです。だから私にとっては、バッタもんなんかじゃないんですよ^^ ただただ感謝です。

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  3. はじめまして。英語を勉強しようとぶらぶらしていたら、このホームページに辿りつきました。
    vertigeさんの曲を歌手のつくりだす物語とらえる姿勢に感動しました。
    これからもちょくちょく寄らしていただきます。

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    1. コメント並びに過分なお褒めのお言葉ありがとうございます。さて,別館(twitter)でも余談を展開しております。まだおいでになっていなければ,お時間があればそちらへも。お待ちしております。

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  4. はじめまして。ひとつ気になった箇所があるので書かせていただきます。"phantom"という箇所がありますよね。この訳は、父の幻影、つまり思い出と訳出したほうがこの曲の趣旨にあっているのでは、ないでしょうか?それとも、管理人様が書かれているように訳出されたほうがしっくりくるという理由があるのでようか?お返事お待ちします。

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    1. コメントありがとうございます。右上で従前から申し上げているように,基本的に訳文のご説明はいたしません。ただ今回初めてコメントをくださったということなので特別にご説明いたします。
      さて,ご覧いただくとおわかりかと思いますが,この部分は主人公の父親が主人公に語っている形になっているため,それまでの訳文の流れに沿って和訳しております。
      仮にここを「思い出」と訳した場合,父親の言葉の中で主語が「(私の)思い出」になりますが,日本語の会話,とりわけ親子の会話において,「私の思い出がお前を夏の世界に連れ出して,死のパレードに入れてやるくらいしかできないんだ」と言うでしょうか?
      無論「言う」と仰る方もおいでかもしれませんが,少なくとも個人的にはあまりに堅苦しく,翻訳調に感じられ,とても言うとは思えなかったので訳文のようにいたしました。
      ただこれはあくまでも私個人の意見であり,こうでなければならぬというわけでは決してないことを申し添えておきます。

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    2. はじめまして。7月にこの曲をバンドでやることになり、どんな意味合いのことを歌っているのか調べていたところこちらのサイトにたどり着きました。「she」のところは気になっていたのですが神様なんて捉え方も面白いですね。英語はあまり得意ではないのですが、できればストーリーが頭の中で巡りめぐって歌になる状況を望んでいました。こちらのサイト様のおかげでとてもモチベーションが上がりましたし、曲の世界観が自分の中で固まり生きているのさえ楽しくなってきそうです。
      どうもありがとうございます。これからもがんばってください。

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    3. コメント並びに温かいお言葉ありがとうございます。この曲,メロディだけでなく歌詞も大変素晴らしい曲なのでお役に立ててなによりです。

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  5. 英語歌詞にミスを見つけました。2番の部分です。
    Do you fight it to the end
    ではなく
    Defiant to the end
    だと思います。

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  6. とても翻訳の難しい曲であるとは思いますが、大変勉強になります。一度自分でも曲の解釈を吟味した上で、貴方の対訳見させて頂いた時の納得とともにさらに深く、この歌詞に込められた彼らなりの意思を少し感じられた気がします。
    これからも頑張ってください。

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  7. 英語は全然わからないですが、

    夏の世界に連れ出して
    死のパレードに入れてやるくらいしかできないんだ

    という訳は日本の夏の過ごし方に通じるものがあり
    とっても共感できました。
    この歌と曲が更に好きになりました。
    ありがとう!!




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  8. こんにちは。Rheと申します。
    洋楽を聴くと時たま感じるのですが、日本よりも父子の関係が強調されているように感じます。

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    1. コメントありがとうございます。仰る通り北米及びヨーロッパ文化圏においては父子の関係が強調されていると感じますがおそらくその原因のひとつが「父と子(=神と人間)」というキリスト教的世界観にあるのではないかと思われます。

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