2014年1月11日土曜日

Synchronicity II ザ・ポリス (The Police)

Foster The PeopleのPumped Up Kicksと同様に,この曲を聞くと米国などで起こった銃乱射事件を思い出しますが,この2曲に共通しているのは,主人公が長い間「不満や怒り」を抑圧しているという点でしょう。この曲の場合,歌詞にはそういった凶悪事件の描写は一切登場しないのですが,それでも主人公が遠からず「爆発」してしまうような気がします。
Like Foster The People's "Pumped Up Kicks," this song reminds me of shooting sprees occurred in the US and other countries.  What these two songs have in common is underlying anger/frustration the protagonist has kept holding for a long time.  Although the lyrics lacks any specific description of such an atrocious act in this song, I think the protagonist is going to 'snap' soon.
Synchronicity II  (The Police)
(ii)
Another suburban family morning.
Grandmother screaming at the wall.

We have to shout above the din of our Rice Crispies
We can't hear anything at all.
Mother chants her litany of boredom and frustration,
But we know all her suicides are fake.

Daddy only stares into the distance
There's only so much more that he can take.
Many miles away something crawls from the slime
At the bottom of a dark Scottish lake.

Another industrial ugly morning
The factory belches filth into the sky.
He walks unhindered through the picket lines today,
He doesn't think to wonder why.
The secretaries pout and preen like cheap tarts in a red light street,
But all he ever thinks to do is watch.
And every single meeting with his so-called superior
Is a humiliating kick in the crotch.
Many miles away something crawls to the surface
Of a dark Scottish lake.

Another working day has ended.
Only the rush hour hell to face.
Packed like lemmings into shiny metal boxes.
Contestants in a suicidal race.
Daddy grips the wheel and stares alone into the distance,
He knows that something somewhere has to break.
He sees the family home now looming in the headlights,
the pain upstairs that makes his eyeballs ache.
Many miles away there's a shadow on the door
Of a cottage on the shore
Of a dark Scottish lake...............

Many miles away,
Many miles away...

郊外の街によくいるタイプの
ある一家の物語
ある日の朝,壁を相手に
おばあちゃんが叫んでる

シリアルが皿の中に入ってく
そのザラザラという音に
負けてしまわないように
声を張り上げなきゃならない
なにひとつ聞こえない
ママはだらだらと
毎日がつまらない,とにかくイヤでしょうがない
そんな風にグチってる
だけど周りはみんなわかってる
本気で死ぬつもりなんて
ヤツにはちっともないってことが

パパは遠くをぼんやり見つめるだけ
世の中は耐えられないことが多すぎる
ちょうどその時
ずっと遠くのある場所で
何か得体の知れないものが
泥のなかから這い出てくる
スコットランドの湖の
暗く沈んだ湖底から

工業の立ち並ぶ場所にありがちな
見苦しい朝の風景
工場が空に向かって
汚い煙を吐きだすなか
幾重にも張られたストライキの
ピケラインを横目にみながら
それでも立ち止まることもなく
あいつはそのまま進んでいく
疑問なんかは持たないヤツだ
秘書たちは
怪しい場所で体を売る
安っぽい女みたいに
誘ってる素振りを見せてるのに
あいつが思いつくことといったら
ただそれを見ることくらい
一応「上司」ってことになってる
やつと話をするたびに
急所に一撃喰らったような
そんな屈辱を味わってる
ちょうどその時
ずっと遠くのある場所で
何か得体の知れないものが
水面に向かって泳ぎ出す
暗く沈んだ
スコットランドの湖で

やっと一日が終わっても
まだ地獄のラッシュが待っている
ピカピカの金属製の
箱のような電車の中に
まるでレミングみたいに
ぎゅうぎゅう詰めで
どいつもこいつも
うっかり命を落としかねない
そんな競争に参加してる
パパはハンドルを握ったまま
一人でぼんやり遠くを見つめてる
だけどヤツにはわかってる
どこかでなにかを変えない限り
このままじゃダメだって
ヘッドライトの灯りのなかに
ぼんやり浮かぶ自宅を見てると
2階でのイヤな記憶が蘇り
目の奥がズキズキと痛み出す
ちょうどその時
ずっと遠くのある場所で
コテージのドアのところに
怪しい影が忍び寄る
暗く沈んだスコットランドの
湖畔のコテージのドアのところに・・・

どこか遠くの
はるか遠くのある場所で・・・

(余談)

「ストレスの原因でしかない家族」「人を人とも思わない上司」・・・この曲の主人公は家庭でも職場でも気の休まる時がありません。常に心の奥底に周囲の環境に対する「怒り」を抱えていますが,それを外に出すことはなく,必死に抑圧して日々を過ごしています。

そして深層心理にあるその「怒り」こそが,この曲の各連の最後に登場する,スコットランドの湖に住む「何か」の正体でしょう。

彼は一体これからどうするのか?郊外に住むホワイトカラーの会社員で,周囲からは「真面目な人」「目立たない人」「感じのいい人」などと評価されている人物のように思われますが,それだけに抑圧しているものは多そうです。

最初は泥の中にいた「何か」が最後にはコテージのドアの前にまで来てしまう。その不気味なイメージがこれから起こる「事件」を予感させます。

それにしてもこのテーマで曲を作れることが驚きです。

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