2015年6月3日水曜日

Salted Wound シーア (Sia)

この世の中なんでも見たままというわけではありません。ここでは既に映画Fifty Shades of Greyのサウンドトラックからいくつか曲を取り上げているので,傍から見れば私はこの映画を強力に推しているように見えるかもしれませんが実際には違います。ご存知のようにいわゆる恋愛映画はあまり得意ではないのですが,最後にみたそのテの映画があの「タイタニック」です。かなり恥ずかしいのですが本当なので仕方ありません。(あの映画は恋愛映画というよりも人間ドラマと言った方がいいのかも。)
それはともかく「タイタニック」はいい映画で,船の巨大なエンジンが動く様子を見て,感動で泣けてきました。ただ問題は,周囲の観客からすすり泣く声が聞こえてきた頃にはその涙がすっかり乾いてしまっていたという点です。
Everything isn't always what it seems to be.  I've already picked up few songs from the soundtrack of Fifty Shades of Grey.  So I may look like an evangelist of the film but actually I'm not.  As you know, I'm not a big fan of so called romantic movie.  Ironically, the last one of that kind that I've ever seen was Titanic.  I know it's pretty embarrassing but that's what I did.  (Maybe I should call it a dramatic instead of romantic.)
Anyway, Titanic was fantastic and I was greatly impressed with the way the massive engines of the vessel worked.  It actually brought me to tears.  The problem was that my tears were dry when I heard sobs and sniffs coming from people around me.
Salted Wound  (Sia)
[Verse 1]
Don't let love get in the way
Feel the fear and do it anyway
Take the chance, no it wasn't what you know
Take her hand and don't let go

[Chorus]
Oh, yeah, and you can do it
Don't break, yeah you'll pull through it
You're safe, yes, you can do it
Don't break, yeah you'll pull through it
You're safe

[Verse 2]
Tell her all of how you feel
Give her everything she needs to hear
Give your heart, and say "come take it"
And she will see that you're a good man

[Chorus]

[Outro]
Yes, you can do it, don't break
Yeah, you'll pull through it, you're safe

[Verse 1]
誰かを好きになることを
重荷に感じることないよ
怖い気持ちもわかるけど
それでも一歩を踏み出して
とにかくやるだけやってみよう
そうだよ
今までとは違うんだ
あの子の手を握ったら
もう離しちゃダメだから

[Chorus]
そうだよ
もっと自信を持って
挫けたりしちゃダメなんだ
きっと乗り越えられるはず
怖がらなくても大丈夫
きっとちゃんとやれるはず
だからここで挫けちゃダメだ
きっと乗り越えられるはず
怖くなんかないんだから

[Verse 2]
今の気持ちを包み隠さず
みんなあの子に伝えてやって
言って欲しいと思ってる
ことをみんな聞かせてやって
想いをすっかり打ち明けて
「好きにして」って言うんだよ
そうすれば本当は
いい人だってわかってくれる

[Chorus]

[Outro]
そうだよ
もっと自信を持って
挫けたりしちゃダメなんだ
きっと乗り越えられるはず
心配しなくていいんだよ

(余談)

この映画の方向性については和訳する過程で色々と調べるうちになんとなくわかってきたのですが,それを考慮してもこの曲は多少毛色が違います。

まず最初に湧いてくるのが,この話者は一体何者なのかという疑問です。無論映画を観ればその点も明らかなのかもしれませんが,少なくとも歌詞だけを見ている限り,主役の2人ではないことは間違いありません。

特に興味深いのがこの語り口で,そのため全体からなんとなく母親が自分の子ども(ここではおそらく息子)に「女の子との付き合い方」のノウハウを仕込んでいるように思えます。

そしてこの場合,その母親が生きているかそうでないかで文脈はかなり違ってきます。まず母親がまだ生きていて息子にあれこれ指図している場合なら,彼女にはかなりの影響力があるに違いなく,したがって今後主人公2人の間がかなりの確率で「揉める」であろうことは想像に難くありません。

これに対して,母親がすでに他界している場合には,この話者はこの世のものではないことになります。仮にだとするならば,この曲におけるSiaの立場はまさに恐山のイタコ。そしてこの曲はイタコの口寄せということになります。

・・・ここに来て俄然この映画に興味が湧いてきました。

2 件のコメント:

  1. この対訳を書かれてからもうすぐ半年になろうとしていますが、
    その後、映画はご覧になられたでしょうか?

    私がこちらのサイトを知ったきっかけは、実はFifty Shades of Grayです。
    そしてこの曲の対訳と余談を読んだときの衝撃は無かったです。
    映画をご覧になっていなくとも、原作をお読みになられたんじゃないかと思うほど‼
    個人的には、まさにFiftyの世界!!!!なのです。

    ネタバレになってしまうので多くは書けませんが、
    なぜ彼が人を愛することができず、そういう嗜好を持ってしまったのか、
    彼が抱えている闇はなんなのか…
    原作を読み進めていくと出てくる母親との記憶。
    この曲は、続編の内容をヒント歌われているように思います。

    官能的な部分ばかりが取り上げられているようですが、
    そんなのはほんの一部にしかすぎませんし、
    さらには続編映画の公開は2017年ですから、
    ここはvestige様には是非原作を読んでいただきたいと思うところです。笑

    Fiftyシリーズ愛が強すぎて、
    何が言いたかったのか自分でもよく分からなくなってしまったのですが(スミマセン…)
    物語の世界観がそのままの、素敵な訳をありがとうございました。
    本当に感動しました。

    先日Twitterでもフォローさせて頂きました。
    本館同様、別館もちょこちょこ覗かせて頂きます♪

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    1. コメント並びに温かいお言葉と別館でのフォローありがとうございます。「Fiftyシリーズ愛が強すぎて、何が言いたかったのか自分でもよく分からなくなってしまったのですが(スミマセン…)」と仰っておいでですが,個人的に「熱い方」は大歓迎なのでどうかお気になさらず。映画の方は残念ながら時間が取れず未見ですが,原作の方は行きつけの〇ックオフのバーゲン洋書でチェックしたいと思います。

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