2018年6月30日土曜日

London Calling ザ・クラッシュ (The Clash)

タイトルのLondon Callingは,第二次世界大戦中のBBC World Service局のお決まりであった「ロンドンからお伝えします(This is London calling …)」から取られているそうで,当時は占領国への放送で頻繁に使われていたようです。
It's said that the title "London Calling" is taken from BBC World Service’s station identification which was heard “This is London calling …” during WWII and often used in broadcasts to occupied countries.
London Calling  (The Clash)

London calling to the faraway towns
Now war is declared and battle come down
London calling to the underworld
Come outta' the cupboard, ya' boys and girls
London calling, now don't look to us
Phony Beatlemania has bitten the dust
London calling, see we ain't got no swing
'Cept for the ring of that truncheon thing

The ice age is coming, the sun's zoomin' in
Meltdown expected, the wheat is growin' thin
Engines stop running, but I have no fear
Cause London is drownin', I, live by the river

(London calling) to the imitation zone
Forget it, brother, you can go it alone
London calling to the zombies of death
Quit holdin' out and draw another breath
London calling and I don't want to shout
But while we were talking I saw you noddin' out
London calling, see we ain't got no high
'Cept for that one with the yellowy eyes

The ice age is coming, the sun's zoomin' in
Engines stop running, the wheat is growin' thin
A nuclear error, but I have no fear
Cause London is drowning, I, I live by the river
(x2)

Now get this
(London calling), yes, I was there, too
And ya' know what they said? Well, some of it was true!
(London calling) at the top of the dial
And after all this, won't you give me a smile?
(London calling)
I never felt so much alike alike alike

ロンドンからお伝えします,地方のヤツら聞いてるか?
宣戦布告で戦争だ,戦いが始まるぞ
ロンドンからお伝えします,日陰を歩いているヤツは
食器棚に隠れてないで,そんなとこから出てこいよ,ほらそこのお前たち
ロンドンからお伝えします,今更当てにすんじゃねえ
ビートルズの真似してるそんなヤツらはくたばった
ロンドンからお伝えします,あの頃の「勢い」なんてもうなくて
せいぜいが警棒持った警官に,取り囲まれて盾をつく,そんな「勢い」くらいだぜ

氷河期かと思うほど寒くなる一方で,ズーム・インしてくるように太陽が容赦なく照りつける
メルトダウンも起きそうで,小麦の出来もいまひとつ
エンジンだって故障したけど,そんなの気にもならねえよ
だってなにしろロンドンが水浸しだってのに,俺なんて川のそばに住んでんだから *

(ロンドンからお伝えします)パクってるヤツらに言っておくけど
いいからそんなの止めとけよ,お前ひとりでやってみろ
ロンドンからお伝えします,死にかけのゾンビたちに言っとくぞ
腕を伸ばすのはもう止めて,もう一回息をしろ **
ロンドンからお伝えします,大声なんか出したかねえが
折角話をしてたのに,お前がウトウトしてたんだ
ロンドンからお伝えします,わかるだろ?「ハイ」なんて俺たちにゃねえんだよ
そんなんは目ん玉が黄色くなったヤツだけだ ***

氷河期かと思うほど寒くなる一方で,ズーム・インしてくるように太陽が容赦なく照りつける
エンジンも止まったし,小麦の出来もいまひとつ
核で事故が起こっても,そんなの気にもならねえよ
だってなにしろロンドンが水浸しだってのに,俺なんて川のそばに住んでんだから

聞いてくれ
(ロンドンからお伝えします)ああそうだ,俺だってそこにいたんだ
ヤツらのセリフを覚えてるだろ?悪いけど,当たってるとこもあるんだよ!
(ロンドンからお伝えします)ダイヤルの天辺で
あんなに色々あったけど,俺に笑ってみせてくれ
(ロンドンからお伝えします)
今みたいな気分には一度もなったことないぜ ****

(補足)
* Cause London is drownin', I, live by the river ・・・ 訳文では「俺なんて川のそばに住んでんだから(=一番最初に被害を受けている)」としていますが,この「I, live by the river」を逆に「自分は(川のそばの高層アパートに住んでいるので)平気だ」と考える人もあるようです。

** Quit holdin' out and draw another breath ・・・ 「hold out」には「腕を伸ばす」という意味の他に「言わないでいる」という意味もあり,そちらの意味に取る人もありますが,ここでは主体が「ゾンビ」なので,ゾンビ特有の歩き方を連想させる「腕を伸ばす」という表現にしました。

*** 'Cept for that one with the yellowy eyes ・・・ 薬物摂取で肝炎を患い白目の部分に黄疸の症状が出た状態を表しているようです。
**** I never felt so much alike alike alike ・・・ この後にモールス信号が入っているのですが,その内容は「S.O.S.」であるようです。

(余談)

1979年にリリースされてからすでに40年近くが経過しているこの曲ですが,歌詞を見ると現在でも十分に通用しそうな内容であるのに驚きます。

ところで歌詞に登場する「meltdown」という言葉は,当時起こった原子力発電所の事故を指していると言われています。ただgenius.comのこの曲のエントリには,ここを「(経済的)崩壊」と捉える注釈がついています。

おそらくこの注釈をつけた人物は当時のThree Mile Islandの事故を知らなかったのでしょうが,仮にそうだとすると,いわゆる古典といわれる作品を現代の我々が解釈する場合にも,同じような勘違いをしている可能性が十分にあります。

さらに言えば,何百年後には言葉の意味自体が変化している可能性が高いため,同じ歌詞が今とは全く違った文脈で受け取られる可能性も出てきます。「言葉は生き物」であることを再認識した曲でした。

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